2020年総会のご案内:6月6日(土)10時~

2020年ハカルワカル広場総会を、テレサービスzoomを使って開催いたします。直接に集うことは出来ませんが、いつものようにハカルワカル広場の「核なき世界」を目指す活動が活発になるよう、意見交換ができれば幸いです。どうぞご参加くださいませ。

テレ総会開始30分前の当日朝9時半頃に、このページ(テレ総会参加について)に、テレ総会へのリンクを載せます。総会に参加される方は、当日朝に、リンクをクリックして参加するようにしてください。「テレ総会の参加の流れと注意事項」についてのページはこちらです。

なお、テレサービスを使うことができない環境の方は、同日ハカルワカル広場に来ていただければ、テレ総会にご参加になれます。測定室での参加を御希望の人は、お手数をおかけいたしますが、メール:hachisoku@gmail.com もしくは、電話:042-686-0820 宛に事前に連絡をお願いいたします。

ハカルワカル広場

2020.5.16

ハカルワカル映画会『太陽が落ちた日』の中止のお知らせ

3月に予定していたハカルワカル広場主催の映画会『太陽が落ちた日』は、新型コロナウィルス感染の広がりを鑑み延期させていただいておりました。しかし、今後一挙にこの状況が改善されるとの見通しがつかず、狭い会場に多くの方を集めての映画会は困難との判断に至りました。

 私共としても皆さまに是非ご覧いただいて、共に核について考えていきたいと思い準備を進めておりましたので、中止という判断は大変苦渋の判断でした。皆さまにはご迷惑をおかけすることとなりますが、ご理解いただければ幸いです。本当に申し訳ございません。

 なお、会場での映画会は中止ですが、インターネットなどを使った『太陽が落ちた日』の観賞を皆様にお願いし、その後のトークセッション等は実施予定でおります。その折はまたご連絡いたしますので、是非ご参加ください。ホームページ、会員メール等でお知らせする予定です。

*インターネットでのご視聴の方法はこのページの末尾にご案内しています。
*視聴したいがネットでの視聴ができないという方はハカルワカル広場(042-686-0820)までご連絡ください。小さな映画会を(席をまばらにしてハカルワカル広場で、状況が少し落ち着いた時点で)実施できればと思っております。

 また、チケットをご購入いただいた皆さまには、チケット代金を返金させていただきます(一枚800円)せっかくご購入いただきながら、中止となり本当に申し訳ありません。チケットを持ちながら、7月になっても、私共から返金についての連絡がない方は、ハカルワカル広場(電話: 042-686-0820, メール: hachisoku@gmail.com)までご連絡ください。至急返金させていただきます。

この感染症がいつ終息を迎えるのか、もしかすると今までと違う形の社会や文化ができつつあるのか、今はこの後に来るものが予想できませんが、大切なものを見失うことなく、これからもハカルワカル広場の活動を続けていきたいと思っています。今後もますますのご支援をお願いいたします。

ハカルワカル広場
2020.5.14

【インターネットによる「太陽が落ちた日」の視聴方法】

「アジアンドキュメンタリーズ」で今のところ、9月30日までは確実に「太陽が落ちた日」を配信中。(その先はまだ未定)

映画を視聴するには会員登録をして、
 *1作品だけ購入をする「単品購入」(495円税込)で7日間視聴できる。
 *「月額見放題」月990円(税込)に登録しますと、他の作品(約100のドキュメンタリー映画)が見放題。
(※月替り自動更新です。1ヶ月で解約すれば990円ですが、月が替わりますと毎月990円かかります。)
支払いはクレジットカードのみ。

●「アジアンドキュメンタリーズ」配信サイト
https://asiandocs.co.jp
 ・「新規登録」からメールアドレスを入力し、送信すると「招待状」メールが届きます。
 ・メールのリンクから、お名前、パスワードなど入力し登録します。
 ・映画の購入、視聴の際は「ログイン」からメールアドレスとパスワードで入力しログインする。登録の名前が表示されている時がログイン状態です。

●映画「太陽が落ちた日」作品ページ
https://asiandocs.co.jp/con/227?from_category_id=
  ログイン後、こちらのページを開き、
 ・「単品購入」495円(税込):「購入する」から進み、クレジットカード情報を入力し、決済が完了すると視聴可能。
  ・「月額見放題で見る」: 990円(税込)と1100円(税込)の2コースがあり、1100円のコースでは、プログラムガイドが郵送されます。どちらかのコースを選び、クレジットカード情報を入力し、決済が完了すると視聴可能。

視聴に際してのご不明点は、
「お問い合わせ」 https://asiandocs.co.jp/inquiry/input まで。

以上

「太陽が落ちた日」予告編【日本初配信】

休室延長のお知らせ

ハカルワカル広場は緊急事態宣言を受け、5月6日まで休室としておりましたが、それが5月31日まで延長されましたので、休室を5月31日まで延長させていただきます。皆さまにはご不便をおかけしますがコロナウィルス予防のためご理解とご協力をお願いいたします。

大変、気の重い日々とは思いますが、どうか健康にご留意され、お元気でいてくださいますようにお願いいたします。

なお、ご連絡などがございましたら、電話:042-686-0820、メール:hachisoku@gmail.com までお願いいたします。

ハカルワカル広場

2020.5.4

5月度テレお茶会「ダイオキシンの危険性」録画動画

テレお茶会の録画動画を掲載します。動画は講演の部分のみで、講演の中で紹介されたビデオと講演後の質問会の部分は入っていません。途中52分37秒からの「中国からAIDSが、、、」という部分は「中国から新型コロナウイルスが、、、」の間違いです。お詫びして訂正させていただきます。

テレお茶会参加の流れと注意事項

1.ハカルワカル広場から届いたお知らせメールにある参加方法、もしくは当日の朝にホームページ上にあるテレお茶会参加についてのページを参照して参加します。朝9時半以前、および、終了後の参加は出来ません。当日のスムーズな運営を可能にするため、開始の朝10時までに参加するようお願いします。

2.参加にはzoomというアプリを使用します。zoomがインストールされていない人は、参加用のリンクをクリックした時点でインストールするよう聞かれるので、インストールしてください。事前にzoomアプリをインストールしておき、カメラとマイクのセルフテストを実施することも可能です。zoomアプリはここからダウンロード出来ます。(最近、偽のzoomがダウンロードされることがあるらしいので、ダウンロードは必ずここからお願いします。)

3.zoomのインストール後、自分の名前を入力する画面が出ますので、自分の名前を漢字で入力してください。運営を円滑にするためにも、支障のない限り本名でお願いします。名前を入力したら、プレビューの画面に変わるので、「コンピューターでオーディオに参加」をクリックして入室します。

4.音声の問題を避けるため、入室時に参加者の音声はミュート状態になっています。発言が必要な場合や、ホストに何かを伝えたい場合は、基本的にチャットを通じて行ってください。入室された方には、ホストからチャットで挨拶するようにいたしますので、チャットによる返事をお願いします

5.zoomでは、発言する際に手を挙げたり、共有画面上に文字や記号を書き込んだりすることが可能です。事前に実施するリハーサルでは、ミュートの外し方やビデオ表示のON・OFF、チャットの使い方等のzoomの基本操作に加えて、zoomを有効活用するための色々な使い方の練習をする予定です。参加可能な方は、リハーサルにも参加してみてください。(注)事前リハーサルをするかどうかは、その時々によって異なります

  • zoomを使うために参考になりそうな動画を以下に紹介します。時間のある方は御覧ください。

ハカルワカル広場の休室のお知らせ

 今夕の「緊急事態宣言」を受け、ハカルワカル広場は4月8日(水)~5月6日(水)まで休室とさせていただきます。皆さまの外出の機会を減らすことができれば幸いです。どうぞご理解とご支援をお願いいたします。

また、5月9日(土)のお茶会「ダイオキシンの危険性」(講師:渡辺敦雄さん)はテレお茶会(スマホ、パソコンへ配信)とさせていただきます。

このテレお茶会はzoomというツールを使ってのお茶会ですので、慣れていただくために4月25日(土)10時~12時と5月2日(土)10時~12時を練習日としております。ぜひご参加ください。

これに続く6月6日(土)の総会、7月4日(土)のお茶会もテレサービスで行う予定です。どうぞご協力をお願いいたします。

ご質問、ご意見があれば、ハカルワカル広場 (電話:042-686-0820、メール:hachisoku@gmail.com ) までお願いいたします

困難な状況ですが、皆さまのご健康を心よりお祈りしております。

ハカルワカル広場

2020.4.7

5月9日(土)10時からのテレお茶会は「ダイオキシンの危険性」です。

4月4日(土)に予定しておりましたお茶会「ダイオキシンの危険性」は5月9日(土) 10時~12時に延期といたしました。

人類が生み出した最恐の毒物と言われる「ダイオキシンの危険性」について渡辺敦雄さんに講師をお願いしております

ただ、コロナウィルスの感染予防のため、ハカルワカル広場での通常のお茶会ではなく、「テレお茶会」とさせていただきます。測定室は閉室しますので、くれぐれも測定室に来られないようお願いします。

「テレお茶会」とは、パソコンまたはスマホを使い、講師の渡辺さんの講演に自宅から参加いただくものです。講師の渡辺さんも、御自宅から「テレお茶会」を通じて講演されます。「テレお茶会」への参加方法については、こちらのページをご覧ください。

皆さまの「テレお茶会」への御参加を心よりお待ちしております。

【講演概要】

1.今なぜダイオキシンか?

2.ダイオキシン問題の歴史

3.ダイオキシンとは何か?

4.ダイオキシンとは環境ホルモンの一つ

5. ダイオキシン類の毒性

6. ダイオキシンはどのように発生するか? (廃棄物処理施設との関係)

7. 毒は地球を回る

「ダイオキシンの危険性」チラシ

【渡辺敦雄さんプロフィール】

ダイオキシンの無害化処理の研究で博士号取得。その後も企業と大学でダイオキシン類の毒性について研究を続ける。1947年上野原市生まれ。東大卒後、東芝を経て、沼津高専教授。現在山梨地方自治研究所副理事長。

ハカルワカル広場

2020.4.4

4月1日(水)以降のハカルワカル広場の活動について

みなさま、
日頃ハカルワカル広場をご支援いただきありがとうございます! コロナウィルスという感染症のために大変な日々をお過ごしではないでしょうか? これからも予測できない事態が起こるかもしれませんが、共に無事に乗り切っていきましょう!くれぐれもお身体をお大切にお過ごしください!

さて、3月31日(今日)までハカルワカル広場の測定室は休室をしておりました。今後ですが、次のようにして脱原発への活動を続けていきたいと思います。現状ではコロナウィルスへの対応が最優先ですが、放射能への対応もできる範囲で続けていきたいと思います。

 方針としては、「テレサービスを使いながら、ハカルワカルからの情報発信、会員との交流を絶やさないようにする。お茶会もテレお茶会とし、測定活動も感染予防対策を取りながら時間短縮で続ける」です。

1)お茶会について

  1. お茶会は当分の間、テレお茶会(自宅でパソコン、スマホで参加できるお茶会)の形態で行う。
  2. 4月4日(土)の「ダイオキシンの危険性」(講師:渡辺敦雄さん)は5月9日(土)10時からテレお茶会として行う。

*テレお茶会の参加の仕方(簡単です!)については、後程また詳細をメールします。
*4月25日(土)、5月2日(土)の10時からテレお茶会の練習をします。
ぜひご参加ください!(Zoomというツールを使います。簡単です!)

2)測定活動、測定室の開室について

  1. 当分の間午前中(10時~12時)のみ、火曜、水曜、木曜、土曜日の開室とする。
  2. 感染予防のため一人ボランティア態勢とする。(テレボランティアが補助する:Zoomを使った遠隔地ボラ)
  3. 測定は感染予防のためのルールに沿っておこなう(電話で予約確認、依頼者は隣の部屋でアルコール消毒ののち測定依頼書を書く、常に2メートルの間隔を取って対応するなど)
  4. 微量放射能監視プロジェクトのモニターの方は、公共の交通機関を使わないなどご本人が無理なくできると思われる場合、できる範囲で続けていただく。そのほか何らかの理由でリスクを伴うと思われる場合は、当分の間測定検査はお休みされてかまいません。雨どいの下にそのまま置いておいて下さい。
  5. 都市封鎖〈ロックダウン〉などの措置が取られた場合は休室とする。

大変困難な局面ですが、会員、測定に来る方、また、ボランティアの感染予防を第一に考え、上のような結論となりました。 どうぞご理解とご協力をお願いいたします。また、疑問やこうして欲しいなどのご意見があれば電話やメールでご遠慮なくお聞かせください。

最後に、くれぐれも気を付けて、お身体大切にお過ごしください! 皆さまのご健康を心よりお祈りしております。

ハカルワカル広場事務局
2020.3.31

ハカってワカった話 原木しいたけ4検体

二宮 志郎

 世の中コロナウィルス騒動で大変ですが、コロナウィルスに感染しているかどうかの検査にはPCR法というのが使われています。私は全然知らなかったのですが、今は高校の生物の授業でも教えている、基本的なバイオテクノロジーの一つのようです。「特定のDNAだけ増殖させる」ということができるのですから、バイオの世界は大したものです。

 しかし、バイオの世界でも誤判定というのはつきまとうようで、「偽陽性」「偽陰性」という誤った結果が一定程度出てしまうのは避けがたいようです。それでも「検査して判定を知る」ことができることのメリットは絶大で、100%の正確さでなくても客観的事実に近づければ、有効な対策も打ちやすくなるということでしょう。ハカルワカルの測定にも共通するものがあるように思えます。

原木しいたけ4検体

測定番号 検体産地 Cs137 (Bq/kg)
19121702 東京都、日の出町 10.9
20020402 東京都、八王子産 37.3
20022001 秋田県、購入八王子 誤検出(11.7)
20022101 秋田県、購入八王子 不検出
(上記を洗浄後再測)

 微妙なところで検出、不検出に分かれている結果です。秋田県の検体のスペクトルを以下に示します。

 青線のスペクトルを見れば明らかにウラン系列の自然放射能による誤検出であることがわかりますが、洗浄して再測定した結果の赤線はほとんどバックグランドと重なっていますから、自然放射能の原因は付着物にあったことがわかります。

八王子産は検出

 八王子産は37.3Bq/kgとやや大きな数値が出ています。誤差範囲の13Bq/kgを考慮に入れてもセシウム137による汚染が少なからずあるようです。

 この検体と日の出町産の検体のスペクトルの660keV付近を拡大したものを以下に示します。

 八王子産が赤線ですが、660の線のところまで山が広がっているところから見ても、自然放射能の影響だけではなくCs137が存在していることを示しています。青線の日の出町産はCs137の存在は微妙です。誤差範囲は4.5Bq/kgで限界値ギリギリのところでの検出になっています。

 林野庁のホームページに行くと、「きのこや山菜の出荷制限等の状況について」という情報があり、まだまだ多くの市町村で原木しいたけに対して出荷制限がかかっていることがわかります。福島原発事故から9年、放射能はまだまだ人を苦しめ続けているという現実がそこにあります。

 ハカルワカルの測定で原木シイタケから放射能の検出がなくなる時が来たら、少し喜んでいいのかもしれません。もちろん、目を背けることでなくなるのでなく、測り続けることで「本当になくなった」ことを知るのでないと喜べません。

⇒ ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスはここにあります。

ビキニ事件とは何か?-第五福竜丸事件を越えて

石井 暁子

  ビキニ事件というと「アメリカの水爆実験により第五福竜丸が被爆した事件」と思って終わりにしていないだろうか。教科書でもそう習うことが多いのだが、実際にはどういう事件だったのか、改めて調べてみた。

 まず、なぜマーシャル諸島ビキニ環礁(核実験はエニウェトク環礁でも行われた)だったのか? 1880年代以降、ドイツはビスマルク諸島、カロリン、マリアナ、マーシャル、パラオ各諸島を獲得していた。そして第一次世界大戦の結果、ヴェルサイユ条約により日本が赤道より北にある旧ドイツ領南洋諸島の委任統治権を得た。このため、マーシャル諸島は第二次世界大戦中、日米の戦争に巻き込まれ、戦争被害を受けた。1944年の戦いからアメリカの占領下に置かれ(戦後アメリカの信託統治領となる)、いくつかの条件に当てはまったため核実験場にされることとなり、ビキニ環礁の住民はなかば強制的に移住させられた。

 マーシャル諸島におけるアメリカの核実験は、広島、長崎の翌年、1946年7月1日から始まり、1958年まで合計67回も行われた。1952年のアイビー作戦から、核爆発エネルギーの規模が桁違い(キロトン級から1000倍のメガトン級)に大きくなり、第五福竜丸が被ばくした1954年のキャッスル作戦第1回目ブラボー実験にいたっては、15メガトンという最大級の爆発力であった。これは広島原爆の約1000倍の大きさにあたり、キノコ雲の高さは30kmを超え、成層圏にまで達した。このため、キャッスル作戦による放射性降下物は世界中にまわり、日本やアメリカ、アフリカ大陸にも降った。このことは、1984年にアメリカが機密解除した公文書にまとめられており、2010年に日本の研究者がその全文を米エネルギー省ホームページで発見してから研究がすすめられている。それによると、死の灰はビキニ環礁から東西に長い楕円状に広がり、その総量は22.73メガキュリーと算出された。アメリカ南西部が日本の約5倍も死の灰を受けたとの記述もあり、アメリカ自身がビキニ水爆実験の被災国であったことがわかる。

 当時の状況を見てみよう。3月1日に始まったキャッスル作戦(〜5/14)では、アメリカの予想以上に汚染海域が広がり、3月19日にはアメリカの指定する危険区域が約8倍に拡大されたが、そのことを知らずに操業していた漁船も多かった。日本の漁船では、第五福竜丸を含む5隻が3〜5シーベルト/時相当の場所にいた。第五福竜丸が水爆実験を目撃し、放射能症に苦しみながら一路日本に向かい、3月14日に焼津に帰港したことはよく知られているが、そのことが読売新聞にスクープされ、日本中が大騒ぎになっていた間も、多くの漁船が操業を続け、マーシャル諸島での核実験が終わる1958年までに、何度も被災していたということはあまり知られていない。被災した船はのべ1000隻を超えるという。

 水産庁と厚生省(当時)は、初めはマグロの水揚げを5港に指定して検査を指示し、汚染魚の廃棄を指導したり、調査船「俊鶻丸」に放射能調査をさせたりしたが、日米政府間の政治的な取引が進むにつれ次第に消極的になり、まだ船からも魚からも汚染が確認されていた1954年12月に、マグロの放射能検査と廃棄を年内で中止することを決定してしまった。これにより、汚染マグロは検査なしで流通し、第五福竜丸以外の被災した漁船員の調査も行われなくなってしまった。翌年1月、日米交換文書により、アメリカが慰謝料200万ドル(約7億2000万円)を払い政治決着とされた。その慰謝料の大部分(63%)は「魚価低落によるまぐろ生産者の損害」に当てられた。漁船員の「治療費」「慰謝料および傷病手当」は合わせても11%だったが、そのほとんどが第五福竜丸の乗組員に当てられたため、ねたみや羨望の的となり、漁船員が分断され声を上げ辛い状況が作られたのではないだろうか。

 被ばくした船員たちはその後どうなったのか。映画「放射線を浴びたX年後」で元船員を訪ね、話を聞いていた山下正寿さんと高校生たちのおかげで、事件から30年以上たってようやく元船員や家族の証言を知ることができるようになった。当時のマグロ漁は過酷で、操業中、普段は海水風呂、雨が降ると裸で飛び出し、雨水を洗濯物や洗い物に使っていたという。また、マグロを刺身にして内臓なども食べていた。死の灰が降って来た時、擦るとシミのようになったが風呂に入れなかったので洗い流すこともできなかったという証言もある。操業中から具合が悪くなり、パラオの病院に緊急入院したがそのまま亡くなった若い船員もいたという。操業中と帰路の2回、核実験の死の灰をかぶった漁船では、被ばくの2年後ごろから突発的に病気になったり急死する船員が増えたという。詳しくは山下正寿さんの著書『核の海の証言』を読んでほしい。

 また沖縄は、当時はアメリカの占領下で、水爆実験のことはあまり知らされていなかった。米軍の放射能検査を受けたマグロ漁船もあったが、結果は知らされず魚の廃棄命令もなかった。健康被害を受けていても水爆実験との関係を知らず、健康管理も不十分だった。

 マーシャル諸島の中でも最も酷かったロンゲラップ島は爆心地から180kmのところ(第五福竜丸は160kmの地点で被ばく)にあり、大人も子どもも、いつも通りに生活しながら水爆実験の被害に遭った。被災後、島民は米軍の基地に隔離され、さまざまな検査を受けさせられ生態学的なデータをとられるなど、モルモットのように扱われた。

 ほかにも日本の貨物船、客船、捕鯨船、韓国、台湾、フィリピンのマグロ漁船なども被ばくしている。1954年5月16日〜28日にかけては、日本で放射能雨が降り、降雨1リットル当たり、京都86,000カウント、静岡19,500カウント、東京10,000カウントと報道され大問題になった。また、ほとんど無防備で核実験に参加させられたアメリカ兵士も核実験の被害者といえる。

 このように国や立場を超えて広がるビキニ事件の被害を、より広くさまざまな面から捉え直してその実態を可視化することは、核兵器使用が世界に及ぼす影響を明らかにし、核兵器廃絶を実現するための力となるであろう。

典:『核の海の証言』

【参考資料】『核の海の証言―ビキニ事件は終わらない』山下正寿著 新日本出版社2012.9.25/「視えない核被害―マーシャル諸島米核実験被害の実態を踏まえて」早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学専攻 竹峰誠一郎 2011年度博士学位申請論文/『ビキニ核被災ノート-隠された60年の真実を追う』「ビキニ被災ノート」編集委員会[編]2017.3.1発行

【お茶会参加者感想】

  • 第五福竜丸のことを知っている知人は沢山いるが、ビキニ事件としてとらえている人は本当に少ない。人として扱われなかった多くの人々の声を掘り起こし、真実を知る努力をしたい。
  • 人類すべてに関わる悪が、歴史上、ヒロシマ、ナガサキ‥‥ビキニと脈々とつながり絶えることがない。何故?過去を隠し、問題とせず、なかったことにするから。
  • あらためて戦後の核の歴史を学ぶことができました。いまだに私たちは、未解決のまま今日を過ごしているわけで、一日も早い核廃絶の実現のために、ささやかな努力をしたいと思いました。
  • 日本の核、原発の歴史に学ぶ必要、それがとても大切と改めて痛感しました。世界の流れの中で、どうもいつも後ろであいまいな日本をもっとハッキリ知らなくてはならない!「知っているつもり」はとても危険。
  • 第五福竜丸展示館の写真展示の乗組員1938年生まれの人などみな若い!そしてつくづく思った。私達は被ばく者、同時代人‥‥。
  • この事件は過去ではなく、これからの反原発、反放射能運動の重要な資料になると思います。
  • キャッスルとか、ブラボーとか、ヤンキーとか、このネイミングにアメリカの核実験や核兵器に対する姿勢が表れていて、言葉にならない怒りを感じます。一方、日本が韓国に対して被ばく船を売ったということに、あいた口がふさがりません。
  • アメリカの非道さ、それに迎合してしまった日本政府にも、あらためて憤りを覚えました。現在もほとんど変わりませんね‥。一歩でも二歩でも知って、行動していくしかないですね。
  • 「X年後」で解っていたつもりの事件でしたが、その裏側にはまだまだ知らされていないことがたくさんあるとわかりました。アメリカの為政者の、島の人々への差別感が大きく存在していると思う。

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