ハカってワカった話12号 過去3年分のデータの振り返り

過去3年分のデータの振り返り

二宮 志郎

今回は、過去3 年分のデータを少し振り返って分析してみます。

【検体数の減少】


開室初年度の2012 年は1 ヶ月あたり100 を超えていた検体数は見事に減少の一途で、2014 年は月当たりの平均は37 検体でした。そして、2015 年1 月の検体数は28 でした。

「身の回りの土壌や、普段口にする食品に対する不安から測定してみたい」という理由での測定依頼が減少していくことは最初から予想されていたことなので、この減少をもってそれほど悲観的になることもありません。
ある程度のところで底打ちするはずだと思いますが、その底の部分を決めるのは、
?福島事故の影響が続いていることをはっきりと世の中に示し続けるために測定したい
?第二の福島事故を絶対許さないためにも日頃の監視としての測定をしたい
そういう人々の気持ちでしょう。みなんさんと一緒に、その底の部分を支えていく息の長い活動ができたらと思います。

【種類別検体数】


採取場所が東京になっている測定検体数を種類別に見てみると、きのこを除く食品は全検体数の減少と同様に一直線に減っているのですが、土・きのこ類などの汚染の高いものに関しては2 年くらいは検体数が減りませんでした。人々の測定して確認しておきたいという不安な意識は汚染が高いものに対しては長く続いたのではないかと思われます。

【種類別Cs137検出率】


同じく採取場所が東京での測定した検体のセシウム137 の検出率のグラフです。ハカルワカルに持ち込まれた検体の中での検出率になりますから、これは必ずしも世の中の汚染度を反映しているというわけではありません。人々が「これはちょっと測ってみたい」と思ってハカルワカルに測定依頼をしたものの中では、この3 年間でそれほど検出率に違いが出ていないということを表しています。

土の検出率が下がらないのは土壌汚染がそう簡単には消えてくれないことを考えると当然のことのように思われます。

【種類別Cs137検出値】


これは採取場所が東京でセシウム137 が検出された検体の中での平均検出値のグラフです。

きのこ以外の食品に関しては、検出限界値に近い測定値が多いので、このグラフはあまり動きようがなく、多くの意味を持ちません。
きのこ類は検体数があまり大きくないので、「それほど大きく変わっていない」という程度のことが窺えるだけです。

土の汚染の減り具合がかなり大きいです。表土の移動によりCs137 の物理半減期より早く減っている効果も多少は出ているのであろうと思いますが、それ以上に「ホットスポットを探して来て測定する」というのが一段落して、最近は普通の場所の測定が一般的になっているのが効いているのではないかと思えます。

開室一年目のころは、「うちの雨樋の下は8000 ベクレル!」みたいな結果が出るたびに、みなさんびっくりして、自分の身近なところにそういう怖い場所がないか一生懸命探していたようなところがありました。最近は、「ホットスポットは当然高い」という知識をつけてきた人が多く、怖いところをわざわざ探してきて測定するという人は減ってきている感じがします。

【これからは量から質へ】

ハカルワカルの測定は学術的な目的ではないので、一つ一つの測定の条件を厳しくそろえるというようなことはしていません。(やろうと思ってもできません。)そういう測定データをもとにいろいろ比較データを作っていくのは難しいところですが、それでも数がたくさんあれば統計的数値の中には何かが見えます。

3年間で測った総検体数が2653 という実績を活用するには、もう少し違う角度からの分析も必要かもしれません。また、何か思いつくことがあったらスプレッドシートのマクロを書いていろいろやってみることにします。

しかし、これから先は大量の測定データをもとに統計処理して何かを見るということは難しくなってきそうなので、狙いを絞った質の高い測定に移行していければと思います。測定検体が減ってもまだまだハカルワカルは続きますので、みなさんご心配なく。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

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