昨年の一ヶ月あたりの測定検体数
二宮 志郎
1月のお茶会の時に2016年の測定データについての総まとめの話をしました。その一部について再度ここで紹介してみたいと思います。
はじめに一ヶ月あたりの検体数ですが、まず開室以来の変遷に注目してください。次のグラフです。
開室後3年間くらい急激に落ち込んで、その後は低迷しながらも微減傾向を維持していると言えなくもありません。しかし、2014年からの3年間の傾向を下のグラフのようにして示してみたらどうでしょう。
2016年は2014年からの微減傾向では持ちこたえておらずがくんと落ち込んでいるとも言えます。
要するにどうとも言えるわけで、「測定数の減少に歯止めをかけてがんばっている」と言いたければ、上のグラフだけ見せ、「再び急激に落ち込んできている」と危機感を煽りたければ、下のグラフだけ見せればいいわけです。
政府や大企業が何か統計数字を発表する時は、「何を見せたいか」という意志が必ず働いているでしょうから、こういう細かい操作がいたるところで行われていると思っておいた方がいいでしょう。統計結果の数字で判断するというのも、なかなか一筋縄ではないですね。でも、だからと言って「感覚だけで勝負」という方向に行くのはもっと危険ですから、あくまで注意深くデータを見るということで対処するしかないと思います。
Cs137、100Bq/kgの世界は続く
測定年 | 検体数 | Cs137 (Bq/kg)検出値平均 |
2012 | 188 | 273 |
2013 | 188 | 237 |
2014 | 73 | 115 |
2015 | 67 | 106 |
2016 | 38 | 110 |
上の表は東京都内で採取した土のCs137の測定データをまとめたものです。条件を統一して測定しているわけではないし、検体数も小さいので、断定的なことが言えるわけではありませんが、Cs137が100Bq/kg程度、表土に平均的に存在している世界に私達が住んでいて、これからも住み続けるということを物語っています。
「どうにもならないことを考えてくよくよしてもしょうがない」、私もそう言える性格でありたいと思うのですが、100Bq/kgの世界から200Bq/kgの世界へ、そしてさらに積み上がっていく世界へと、そういう方向に行く心配は、原発のない世界にならないと消せません。
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