広場だより15号 巻頭寄稿文 自然エネルギーを「選び取る」社会へ

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自然エネルギーを「選び取る」社会へ、一般家庭の電力自由化を考える

佐々木晃介

あの歴史的な地震・津波、原発事故の大災害から、4年が経ちました。国民一般の意識の中で、福島原発災害は忘れ去られようとしていますが、原発事故はまだ終わっていません。放射能の影響はこれからもずっと続きます。放射能は目に見えないばかりでなく、放射線の人の健康に及ぼす影響や汚染の拡散は私たちを言い知れぬ不安に陥れています。

東京電力福島第一原発事故は、日本のエネルギー政策の積もりに積もった「過ち」の結果といえます。軽んじられた安全規制や核廃棄物問題、意味もなく続けられる核燃料サイクルなどさまざまな「宿題」が置き去りにされ、国の原発への固執こそが、エネルギー安全保障や気候変動問題、電力システム改革などを阻害する要因となっています。

私たちは、過酷な原発事故により、目覚め、その「過ち」に気づきました。

この10年、世界では、環境エネルギー分野は「大転換」の時を迎えています。
資源的に石油がすでに「生産ピーク」を超えつつあり、他方で、世界の風力発電は原発の設備容量と肩を並べ、太陽光発電は原発の半分に達し、3年後には追い越す勢いです。「自然エネルギーは高い」は、すでに過去のものとなりつつあります。

もう一つの「大転換」は、大規模・集中・独占から、小規模・地域分散・ネットワーク型へのエネルギー体制のシフトがあります。本来小規模分散技術である自然エネルギーが低コスト化するにつれて、ご当地エネルギー会社や個人/地域でエネルギーを生み出し、自立する動きが出てきています。どの国でも電力会社は独占巨大資本なので、この大転換は構造変化を伴う大きな社会変容となります。

いよいよ2016年4月には電力小売り自由化、誰でも電力会社を選べるようになります。
2000年から始まった電力自由化がやっと一般家庭にまで及ぶことになります。

原発事故により目覚めた私たちは、どのようなエネルギー社会を目指すのでしょうか。
(1)原子力発電所を全廃する
(2)エネルギー大量消費社会から脱却する
(3)自然エネルギーを飛躍させ、分散型エネルギー社会を作る
(4)化石燃料依存から脱却し、気候変動を抑止する
(5)日本や世界の様々な環境破壊やエネルギー紛争の解決を目指す

一般家庭で電力会社が選べる、これは初めての画期的な出来事です。

それに備えて、原発の電気を買いたくない人に自然エネルギーを届けようと、小売電気事業を準備している会社や生協があります。ところがここに来て、自然エネルギーの電気だと言って売ってはならない、自然エネルギーも原発の電気も石炭火力の電気も、電気は電気、どれも同じものとして扱うという制度を国(経産省)が作ろうとしています。

私たちは、脱原発に向けて自然エネルギーを「選び取る」社会にしなければなりません。

ハカルワカル広場では「自然エネルギーのデンキエラベル勉強会」を7月と9月に行いました。
大勢の方に参加いただき、質問も活発で自分で「選び取る」強い意思が感じられました。
第3回は、12月12日(土)10:00~12:00を予定しています。
小売電気事業者登録状況、自然エネルギー会社紹介、料金システム、制度の問題点を勉強します。

  • 小売電気事業者は電気契約の際に電源構成の内訳の説明義務があります
  • 再生可能エネルギーなど、環境に優しい電力の購入ができます(小売電気事業者に確認)
  • 電源表示は、「FIT電気(固定価格買取制度で交付金を受けた再エネ電気)」は可、「グリーン電力」、「クリーン電力」、「きれいな電気」等の表示は不可

登録小売電気事業者 10月26日現在  48社(資源エネルギー庁ホームページより)
自然エネルギー供給をめざす電力会社紹介 5社(パワーシフトホームページより10/13現在)
自然エネルギーへの転換のために

  • 規模別太陽光発電や洋上風力発電などに対して新たな調達価格の区分を設ける。
  • 小売電気事業リスクを低減し資金調達や小売事業の運用を容易にするために制度を改善する。
  • 調達価格を定めるために必要なコストデータを着実に集積し情報公開を行う。
  • バイオマス発電について、規模や使用する燃料種別等によるきめ細かい条件を定める。
  • 発送電分離や電力取引を視野に、公共インフラとしての送電網への自然エネルギーの優先接続や優先給電を実現し、系統の増強・出力変動への対応などを積極的に行う。
  • 中長期的な自然エネルギー導入の目標を掲げ、実効的な自然エネルギー政策を行う。

最後に、公害による環境問題に関心を寄せ、成長優先の政策を批判し、効率重視の過度な市場競争は格差を拡大させ社会を不安定にすると論じた経済学者の宇沢弘文さんの「豊かさを支える社会システムとは」を掲げておきます。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

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