ハカってワカった話24号 2017年データのまとめ、検出値年間トップの歴史

2017年データのまとめ

二宮 志郎

年初の号ですので、昨年のデータのまとめを紹介しておきます。まとめのデータは、ハカルワカル広場ホームページのカテゴリーの項目から「資料室」を選び、「測定結果まとめなど、資料的文書のリスト」から「2017年測定結果単一シートまとめ」を選ぶことで参照できます。おなじリストの中に、「開室以来測定結果まとめ」というのもあります。長期間の測定傾向を参照したい方はそちらもご覧ください。ハカルワカル広場では測定依頼者が持ち込んだ検体のみを測定しているので、その結果が必ずしも地域や検体カテゴリーの一般傾向を示しているわけではありません。この点は測定データを統計処理した結果を見る時には心に留めておいてください。

検出値年間トップの歴史

場所 検体 Cs137 Cs134 比率
2012 福島県 6750 5600 0.83
2013 福島県 9820 5260 0.54
2014 福島県 落ち葉 10800 4570 0.42
2015 八王子市 2270 764 0.34
2016 三郷市 7590 1520 0.20
2017 八王子市 16600 2790 0.17

(Cs137,Cs134の単位はBq/kg, 比率はCs134/Cs137)

上の表に2012年からの年間測定データリストのトップに来たものをまとめてみました。トップに来るようなデータは、特別に汚染がひどくなっているような場所のデータなので、増えたり減ったりの数値は採取した場所のセシウム濃縮度に依存していて、かなり偶然に左右されています。2012年に福島の土を測って合計で1万を超えてびっくりしたことを覚えていますが、それをCs137だけで超えてしまう検体が2017年の八王子にあったのですから、場所による濃縮というのはあなどれないです。非常に濃縮の高い土はすでに適切に処理されているべきなのでしょうが、気がついてきてない場所はまだまだあるでしょう。八王子市内の土からでも非常に高い汚染値が出てくることはこれから先も続くだろうと思われます。

経時変化の方はCs137とCs134の比率にきちんと現れています。物理的な半減期の違いから出てくる比率の変化にほぼ近い変化が測定結果に現れています。2018年はCs134はCs137に対して2割を切って1割に近づいていく状況になっていきますから、汚染値が低い検体ではほとんど不検出になっていくでしょう。

きのこ除く食品類の汚染はほぼ検出不能

喜ばしいことは、最近ではハカルワカル広場の測定器で検出できるレベルの汚染は、きのこを除く食品類にはほぼ見られなくなったということです。2017年の測定データでは、きのこを除く食品類は77検体測定していて、そのうちセシウムの汚染が検出されたのは2検体だけです。そのうち1検体の玄米は不検出にしてもよいレベルの微妙な数値だったもので、残りの1検体は筍でした。

ハカルワカル広場の測定器で検出できないレベルの微量汚染に目をつぶるなら、きのこ類以外の食品に関しては、「ほぼ汚染はない」と考えてもよいでしょう。この状況は「汚染食品を流通させてない」という結果から来ているものでしょうから、「自然にそうなってきた」というよりも「多くの人たちの努力でそうすることができた」と考えたほうがいいでしょう。ハカルワカル広場のような市民測定所の存在もその努力の一旦を担っていると信じたいです。

ハカルワカルだよりの読者の人たちはみなさんご存知だと思いますが、ハカルワカル広場では「あの惨事を世界中のどこであろうとも、二度と繰り返さない」ということのためにできる測定活動はまだまだあると考えています。「きのこ以外の食品に関してはほとんど心配しなくてよくなった」というのを一つの通過点として、2018年もみなさんの知恵をお借りしながら測定を続けていければと思っています。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

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