「微量放射能漏れ監視プロジェクト」
二宮 志郎
今年の4月から「微量放射能漏れ監視プロジェクト」を始めました。空から降下してきた放射性セシウムが非常に高い率で濃縮される雨樋の排水口付近にセシウムを強く吸着するゼオライトを配置して、それを定期的にハカルワカル広場で測定することで、微量に降下してくるセシウムをとらえよう。というのが測定上の主な狙いです。
まずは地表にある放射性セシウムが再浮遊・再降下の現象でどの程度検出値に出てくるのかを把握して、その後は原発事故や核爆発などで新たな放射能が来たら、微量であっても確実にいち早くキャッチできる体制にもっていきたいと思っています。もちろん、そんな事態を期待しているわけではありません。「そんな事態と紙一重」のような状況に生きていることを忘れずに、そして「そんな心配のない世界にできることをあきらめない」ために、そういう思いがこもっているプロジェクトなのです。
現在17ヶ所の測定点にゼオライトが配置されていて、一回目の測定結果が出揃ってきた状況です。測定結果公開シートのリンクがホームページにあり、それを見れば詳細がわかります。
測定結果を見ると、かなりのばらつきが出ています。浜岡原発のある御前崎市は全く不検出、八王子市内でもいくつかの場所は全くの不検出、しかし出ているところではかなり出ています。Cs137だけで100Bq/kgを超えたのが東浅川町と西浅川町の2ヶ所でした。そのスペクトルは右上図のようになっています。このスペクトルは3本の線が重なっていて、西浅川、東浅川、そして初期測定(ゼオライトを配置する前に測定したもの)です。
西浅川Cs137:132Bq/kg, Cs134:35.8Bq/kg
東浅川 Cs137:141Bq/kg, Cs134:26.8Bq/kg
という検出値が出ています。Cs137,Cs134のピークは2本のスペクトルはほとんど重なっていて、同じような検出量であることを示しています。
100倍近い濃縮が効いているとするなら、1Bq/kg程度に表土を汚染するレベルでも、このくらいの数値は出ます。そういう濃縮がたまたま浅川を地名に持つ2ヶ所で出たということかもしれません。今後の測定の継続でさらに詳しくわかることだろうと思います。
この2ヶ所以外にも、元本郷 Cs137:70Bq/kg、横川町Cs137:46Bq/kg、散田町 Cs137:24Bq/kg、という具合に不検出との間に測定値の分布があります。
今までの測定結果ではまだあまりたくさんのことを語ることは難しいですが、放射性セシウムの「再浮遊・再降下」という現象は確実に起こっているということは言えるでしょう。
高い数値が出る場所は一貫して高いのか、季節による違いがどのくらい出てくるのか、そういうことを観察する上で2回目以降の測定値を見るのがとても楽しみになってきました。このプロジェクトにたくさんの人が参加してくれていることに感謝しています。継続して測定する手間は大変だと思いますが是非よろしくお願いします。またこれからでも新規に参加できますので、興味のある方はご相談ください。測定結果は毎月第一土曜日にハカルワカル広場で行っているお茶会での測定結果のおさらいの時にも紹介していくつもりです。