不検出になってくれない原木椎茸
二宮 志郎
6月、7月の測定結果の中で、原木椎茸の2検体からセシウム137が約30Bq/kg検出されています。セシウム134の方は限界値以下不検出です。スペクトルを眺めてみても、セシウム137を示す662keVのところの膨らみははっきりしていて、セシウム137の存在は否定しようがないです。
原木椎茸に関しても「ほとんど全てが不検出」になる日がやってくることを期待しているのですが、なかなかそうなってくれません。厚生労働省の調査結果などを見ても、関東・東北エリアの原木椎茸からセシウム137が検出されるのは止まっていません。
汚染のない原木を調達するのが困難な状況が続いているのではないかと推測します。血のにじむ努力を続けている椎茸農家の人たちには本当に気の毒な状況です。福島原発事故の悲劇は、まだまだ続いているということですね。
椎茸をどのくらい食べている?
関東・東北の原木椎茸は多少のセシウム汚染があることは覚悟するとして、はたしてどの程度の量食べていて、結果的にどの程度の放射性セシウムを体内に取り込んでいると見積もればいいのでしょうか。もちろん人によって椎茸の好き嫌いもありますし、一概に言えるものではありませんが、日本人の平均的な食べ方でみたらどうなるのでしょうか。
林野庁のホームページに「きのこ関係資料」というのがあります。ここで引用したグラフで、きのこを食べる量の見当がつきます。20年くらい前からは3.3kg程度で落ち着いています。福島原発事故の後、食べ控えが起こっているのかもしれませんが、だいたいこの程度が目安なんでしょう。
さらに、この年代別消費量のグラフで椎茸とその他のきのこ類の比率がわかります。年代による差が少しあるようですが、2〜3割程度が椎茸のようです。大雑把に見て1人が年間に食べる椎茸の量は1kg程度ということになります。
50Bq/kg汚染の椎茸を平均的な量食べた場合、年間で体内に摂取する量が50Bq程度ということになります。
ICRPの預託実効線量を使った計算では年間1ミリシーベルトの許容量に達する量の1/1000以下ということなります。もちろん、椎茸以外から一切影響を受けてないということはありませんし、住む場所によっては外部被曝の影響分も加味しないといけません。
ICRPより100倍厳しい基準で見るとしても椎茸を食べる分からの被曝は現状それほど厳しく考えなくてもいいような気がします。ただ、こんな状況を二度と作らない様に努力することは次世代に対する私達の責任でしょう。