5年間、原木椎茸測定記録
二宮 志郎
相模原市の方が5年間同じ場所で採取した原木生椎茸の測定を続けてくれています。その測定結果を測った年との相関で示したグラフが以下です。
年々減って来て、今年の測定では測定限界に近いところまで減ってきています。2014年の段階では、Cs137は半減期が長いので減ってくれないのか、と思われましたが、今年の測定値ではかなり減ってくれています。
椎茸栽培の原木は5年程度が寿命で、そのくらい経つと椎茸に栄養を吸い取られた原木はカスカスになってしまうということですから、セシウムのかなりの部分が椎茸に吸い取られてしまったということでしょう。
そうすると、「これから先は5年前の放射能が飛来してきた時からの原木で栽培された椎茸というのはどんどん減ってくるから、それほど椎茸のことを心配する必要もなくなるだろう」、とそう考えたいところです。新しい原木がきれいな原木であれば、それは間違いないことでしょう。
新しい原木はきれいなのだろうか?
そういう疑問が当然出てきます。
椎茸の原木に向いているのはクヌギ・ナラ類ということですが、これから原木として切り出されるこういう木は、おそらく樹齢10年程度かそれ以上でしょう。そうなると、やはりあの時に汚れた木ということになります。
そういうことをお茶会の時にいろいろ議論したりしていたら、ちょうどいいタイミングで、昨年「核分裂過程」の上映会でお世話になった飯能の小林大木企画の方々から柿の木の表皮を剥ぎとったという検体の測定依頼がありました。
その測定結果が Cs137:156Bq/kg, Cs134:44Bq/kg
合わせて200Bq/kgです。もしこの木で椎茸を育てたらかなり高濃度に汚染された椎茸になるでしょう。柿の木で椎茸栽培というのはあまり聞きませんが、調べてみたらエノキ茸の栽培には適しているということです。
柿の木の表皮がこの程度汚染されているのであれば、クヌギの表皮も似た感じなのではないでしょうか。いずれにしても、「椎茸はもう安心」と言うのはちょっとまだ早すぎるようです。
そもそも「木を汚す」ということが問題なわけで、汚してしまったことを反省して「二度と汚さないようにしよう」と考えて行動することこそが、何よりも重要ですね。