食品汚染はかなり減少、米ぬか要注意、タンポポ酒/梅酒から微量に検出
二宮 志郎
7月11日~10月13日測定結果
今号でもまず測定データの集計表(7/11~10/12)からお伝えします。
検体種類 | 検体数 | Cs137 | Cs134 |
土・砂 | 89 | 79 | 78 |
土混じり植物 | 8 | 6 | 6 |
土・その他 | 6 | 5 | 5 |
泥、泥水 | 0 | 0 | 0 |
池水、川水 | 5 | 0 | 0 |
雨水・雪 | 1 | 0 | 0 |
水・その他 | 11 | 0 | 0 |
葉菜 | 16 | 0 | 0 |
根菜 | 23 | 0 | 0 |
果実・果菜 | 49 | 2 | 2 |
穀類 | 46 | 3 | 2 |
きのこ類 | 19 | 11 | 9 |
魚介類 | 5 | 0 | 0 |
肉類 | 4 | 0 | 0 |
卵類 | 2 | 0 | 0 |
水産加工品 | 4 | 0 | 0 |
肉類加工品 | 3 | 0 | 0 |
野菜・果実類加工品 | 4 | 0 | 0 |
穀類加工品 | 8 | 0 | 0 |
飲料 | 14 | 2 | 1 |
食品混合 | 2 | 0 | 0 |
茶葉 | 9 | 3 | 3 |
ペットフード | 1 | 0 | 0 |
芽・茎野菜 | 4 | 0 | 0 |
海草類 | 0 | 0 | 0 |
食品・その他 | 4 | 0 | 0 |
植物葉 | 10 | 5 | 4 |
植物茎・枝 | 1 | 0 | 1 |
植物根 | 0 | 0 | 0 |
木質ペレット | 0 | 0 | 0 |
植物・その他 | 2 | 2 | 2 |
灰 | 1 | 1 | 1 |
炭 | 2 | 1 | 0 |
その他 | 6 | 1 | 2 |
総計 | 359 | 121 | 116 |
測定した総検体数は359です。この3ヶ月間も引き続き予約がいっぱいの状況が続いていますので、フル稼働でびっしり測定した結果の数字になっています。
結果を集計表にする上で、今回からは明らかに誤検出と思われるものは、検出数に入れないように処理してあります。誤検出処理をするとCs137の検出数の方がCs134のそれより若干多いという現実を正しく反映した結果になっています。Cs134の半減期は2年なのに比べてCs137は30年ですから、Cs137の方が検出されやすいという傾向は今後さらに激しくなっていくでしょう。
【食品汚染はかなり減少】
必ずしも一般の食品全般に対して言えることではありませんが、測定室に持ち込まれた検体に関して言えば、食品関連の汚染はかなり減っています。前号で紹介した内容の期間は筍の汚染がかなりあったのですが、筍シーズンが終わってしまって食品汚染の検出率を大きく上げるようなものがなくなったことが大きいでしょう。ただ筍は缶詰や加工食品となってあちこちに散らばって行っただろうと思われますから、汚染は検出されにくいところに隠れてしまっただけとも考えられます。
きのこが相変わらず高い検出率を示しています。椎茸やその他のきのこ類に関してはまだまだ要注意の状況が続くだろうと思われます。最近のきのこの測定結果からは、核実験の影響が強く出ているものも見つかっています。ある種のきのこはかなりセシウムを濃縮して取り込むようなので、福島の事故前からあった核実験由来のCs137でかなり汚染されているものがあるようです。
核実験の影響と比べて福島事故の影響を意図的に過小評価しようとする人たちがいますが、それは明らかに間違いで福島事故の影響が過去の核実験の影響がピークだった1960年代のころの放射能汚染と比較してもはるかに大きなものであることは間違いありません。しかし、核実験の影響が小さかったわけではないのも事実で、その影響はきのこの様なものを測定すれば今でもはっきりわかるわけです。
【米ぬか要注意】
幸いなことに、お米を測定して検出されることはかなりまれという状況が続いています。しかし、米ぬかの部分にはかなりセシウム濃度が高くなる傾向があるようで、玄米で測定して不検出であってもその米ぬかを測ると検出されるということがあります。農林水産省も米ぬかのセシウムに関しては、玄米に対して8倍という係数を設定しています。
セシウムで汚染された米ぬかでぬか漬けを作った場合、ぬか床のセシウムがかなり漬物の方に移行するということがわかっているようで、長く漬け込んでいると漬物はぬか床のセシウムレベルにかなり近いレベルにまでいくようです。ぬか漬けを作る時には米ぬかが高く汚染されていないかどうか、少し気を使った方がよさそうです。
【タンポポ酒、梅酒などから微量に検出】
昨年採取した汚染されていただあろうと思われる材料を使って作ったお酒から、非常に微量ではありますが検出されました。
薬用酒や果実酒など、その材料からエキスがしみ出してくれるからこそ、その効果や味わいが現れるわけですから、セシウムが入っていたらそれも一緒にしみ出ているのは当然だろうと思われます。焼酎をいれたり氷砂糖を入れたり、汚染されていないものをかなり加えることで薄めているということがあり、測定室の測定器では検出できるギリギリぐらいの低い汚染値になったようです。
せっかく丹精込めて作ったお酒がセシウムで汚染されているという事実は実に悲しいことだろうと思います。ただ今回タンポポ酒や梅酒で検出されている数値は10Bq/kg程度ですから1リットル飲んで10Bqの摂取というレベルです。どんなに微量でも健康に被害を及ぼす放射能ですが、よほど飲みすぎない限りその影響はかなり小さいことは間違いないでしょう。飲みすぎた場合はアルコールの害の方がより心配になってくることでしょう。
【2回目の収穫の秋を迎えます】
昨年検出された食品がどのくらい減ってくれているのか、みなさん今後の測定結果に注目してください。気になる食品はぜひ測定室に持ち込んで測定してみてください。