2015年のまとめデータから
二宮 志郎
昨年一年間の測定データをまとめて、開室以来のデータに合わせて4年分のデータをまとめてみました。測定値に関しては、「土」、「きのこ類」、「きのこ除く食品」の3つのカテゴリーに分けてまとめています。
測定検体数はなんとか月30を維持
グラフ1に4年間の月別測定数の変遷を示しています。年間で平均にした数字の年別変化がグラフ2です。
昨年の同時期に「測定数の減少はなんとか底打ちにさせて、その底の部分の数字を息の長い活動で支えていけたら…」ということを書いたのですが、なんとかこの1年は支えることができたようです。1ヶ月あたりの測定数で、2014年の37から2015年は35と、微減と言える範囲にとどめています。グラフ3で検体種類別の測定検体数に注目しても、その傾向は覗えます。
「きのこ除く食品」が3年間一直線に減ってきていただけに、この種の測定がほとんどなくなっていくことが危惧されていましたが、2015年の結果ではその傾向を逃れることができています。
ただ、「きのこ除く食品」は、Cs134検出率が4%にまで下がってきていることと、検出されても限界値近辺の微量でしかないという事実があります。私達は、観察した事実をありのまま伝えていきますから「食品の安全性が心配だから」ということでの測定依頼が減っていくことは間違いないでしょう。2016年にどのくらいの測定依頼があるか、あまり楽観的な見通しはできないと言えます。
土の高い検出率は変化なし
グラフ4を見れば土に関するCs137の検出率は90%前後でほとんど変化していません。放射性セシウムで汚れた土が身の回りにあることに関しては、誰も否定できない事実です。後は、それをどう受け止めて、どう考えるか、という様な問題になってきます。そういう意味では、「測定」という行為が占めていた重要性が小さくなってきているのは否定しがたいところです。
土の測定には、「福島原発事故による放射能汚染があったことを忘れない」という点では引き続き大きな意味があります。理屈ではわかっていても、実際に「いかに減らないものであるのか」ということを実感するには、身近なところにある土を測定してみるのが一番です。ハカルワカルでは引き続き身近な場所の定点測定を呼びかけていくつもりです。
土の検出値平均が上がってしまった謎
最初の2年間は、汚染の高いところを探して測定依頼しに来る傾向が強かったため土の検出値平均が高く出ていたようでしたが、それが終わって2014年ころからは同じようなレベルの数字で推移するだろうと見ていました。グラフ5を見ると、2015年の結果は2014年に比べて2倍近い高い数値になっていることがわかります。細かくデータを調べると、汚染値の上位10検体程度がかなり高めの数値であったために平均値を上げてしまったようです。
「汚染の高いところを探してもってくる」という傾向が復活したとも見れますが、検体数が少ないので「たまたま」そういう結果が出たと見ておいた方がいいでしょう。
「測定」という行為の持つ意味がいろいろ変わっていくのはいいのですが、「脱原発」が遠のく一方なのが何とも悲しい限りです。「どこかで流れは変えられるはずで、変えるのは私達である」、昨年の「核分裂過程」上映会でも学びましたが、あきらめないことですね。
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