ハカってワカった話1号 測定限界値、測定結果、ホームページで公開

測定限界値、測定結果、ホームページで公開

二宮 志郎

測定限界値について

放射能や放射線の測定が身近な話題になってしまって、「測定限界値」とか「検出限界値」というような言葉も聞きなれた言葉になっている人が多いようです。実は、限界値というのは測定の度に変わってくるものなんです。それでは「測定器を買う時に何で性能を見ればいいのだ」というので、カタログ値らしきものは存在します。

私たちの測定室で使っているAT1320Aのカタログ値らしき「限界値」ですが、取説の中にあります。

「試料1時間測定、統計誤差50%(P=0.95)、バックグラウンド測定3時間」という条件下で

1000cc容器 Cs134:4.0 Bq/kg Cs137:5.7 Bq/kg
500cc 容器 Cs134:20 Bq/kg Cs137:20 Bq/kg
100cc容器 Cs134:50 Bq/kg Cs137:52 Bq/kg

最初にあげている条件が非常に重要で、これを変えれば大きく違った限界値になります。
実は、この数値は英文マニュアルの方には出ていません。そして、測定器が出してくる結果の数値は上の条件よりかなり甘いところ(統計誤差100%)で検出、不検出の判定をしています。

おそらく日本の代理店がいろいろ悩んだ挙句の上で独自に条件を設定して限界値を決めたのでしょう。

3ヶ月近く測定室を運営してみて、私たちもその悩みが十分共有できるようになってきました。測定器が出してくる数値をそのまま記述していたら、実質的には「不検出」のものも「検出」という扱いにしてしまいます。「とにかく危ないものははじき出す」という目的の検査であれば、それでいいのですが、できるだけ現実の汚染状況を正確に伝えたい私たちの目的にはそぐいません。

統計誤差が50%を越えていても、スペクトルをよく眺めてみると「これはある」と言えそうなものがあります。和文取説で採用している条件「統計誤差50%」ですぱっと不検出にしてしまうのもまた問題です。実は、私たちが公表している測定結果で「検出」になっているもののかなりは「統計誤差50%」を越えています。

というわけで、これと言った明解な「限界値」はないのです。それでも、「ごちゃごちゃ説明は抜きに、ハカルワカル広場で使っている測定器の限界値はいくつよ」と聞かれることはあります。そういう場合は「1000cc容器で30分の測定でCs134+Cs137合算で約10Bq/kg」と答えています。かなりいい加減ですが、「ごちゃごちゃ言うな」と言われた場合の話です。

測定結果通知書と結果説明

私たちは、ボランティア測定員が機械的に判断して測定結果を記入できる基準を作り、それにしたがって測定結果通知書を記入しています。後はその場のボランティア測定員の知識で説明できる限り口頭で説明しています。さらなる説明は私がスペクトルを眺めながら自宅からインターネットでデータ公開ページ上に書き込んでいます。公開ページ上では説明しきれない時は、ホームページのボランティアブログのところを使って補足しています。

「測定して出てきた結果を写し書きして終わり」という世界にしてしまえば楽です。測定器が出してくれる印刷出力をそのまま渡すだけというのはもっと楽です。しかし、手間暇かけてもそうしないでできるだけ正しい情報をお伝えするようにがんばっています。

微妙な領域でよくわからないことは正直によくわからないとお話しますし、時には依頼者の人たちと話し合いながら結果を吟味しています。

ボランティア測定員も日々経験を積んでいます。毎日の様にスペクトルを眺めて経験を積めば、人間が百数十万円の機械に負けるなどということはありません。「私は理系な話はまったくダメ」と言っていた人たちでも、セシウムのスペクトルピークをしっかり説明できるようになってきています。

測定結果通知書を受け取ったみなさんは、わからないことがあったらどんどんボランティア測定員に質問を投げてください。ボランティア測定員も投げられた質問を考えることで勉強を重ねます。

4月までの測定結果

4月11日までの測定結果をまとめたのがこのページ右の表です。インターネットをアクセスできる方は http://goo.gl/B4Jxp でグラフと一緒に見ることができます。

測定した総検体数は260です。簡単な事の様に聞こえますが260検体も測定するのはかなり大変なことで、ボランティアが人たちが毎日測り続けた、貴重な成果です。

そのうちセシウム137を検出しているのは84検体、セシウム134もほぼ同じ数字です。

検出率は約32%で、だいたい持ち込まれたものの1/3くらいからセシウム汚染が検出されているということになります。
測定した検体の36%が穀類で13%が土・砂になり、この二つが群を抜いて大きな比率を占めます。
一方で検出された検体の中では、34%が土・砂で17%が果実、穀類が9%、きのこ類が8%と続きます。

測定依頼される多くの人の関心の中心が主食の米にあることがわかります。続いては庭や畑の土になるようです。土に関しては、八王子周辺の土壌がだいたい100Bq/kg程度の放射性セシウムで汚染されていることはわかっていたことなんですが、それを裏付けるような結果が出てきています。たまに100倍というレベルの濃縮が起こったと見られるホットスポットの土も見つかっており、最高はセシウム134と137合わせて9850Bq/kgという数字でした。

土に関して、100Bq/kgや200Bq/kg程度の土を除染する必要があるかどうか聞かれることがありますが、そこいら中が100Bq/kgの世界に生きているのに、それと同レベルのものを除染することにあまり意味はありません。「そこいら中が100Bq/kgの世界」になってしまっていることが問題なんですが、それが悲しい現実です。

舞い上がる土埃を吸うことを心配される方もいますが、土埃を吸ってもミリグラムの単位ですから、量的には6桁程度下がり、摂取量は小数点以下の世界になります。セシウムの場合吸い込むことによる危険性が食べることよりも大きくなる度合いはせいぜい10倍程度までなので、どう考えても食品の影響の方が大きいです。(せいぜい10倍程度までという説が多少揺らいでも結論に差は出そうにないです。)

いくらマスクをして土埃を吸うのを防いでも、食品から数ベクレル摂取したらその努力も水の泡です。そう考えると、やはり注意を払うべき中心は食品ということなのだろうと思います。

セシウム以外の核種を気にされる人もいます。プルトニウムなどは、その吸引の危険性が非常に大きいというのは事実です。しかしながら、八王子近辺では存在比率を考えるとセシウムに比べれば非常に少ない量になります。そういう観点からセシウムを越える危険性をもたらすものではないと言えます。

食品の中では、お茶・果実(主に柑橘類)・きのこ類(主に椎茸)の3種類が非常に高い割合で検出されています。

これらの中でもお茶はかなり高い汚染が検出されており、一番高かったものは、セシウム137+134で676Bq/kgという、3月までの暫定基準値をも越えていました。お茶は汚染が高いとは言ってもお茶の葉をそのまま食べるわけではありません。お湯で出して一杯分で飲む量となると、かなり低くなるということはあります。

お茶の次に高いのは椎茸で、これは干し椎茸だけでなく生椎茸でもかなり出ています。4月からの新基準値の100Bq/kgを越えるものいくつかありました。八王子近辺で原木も地元のものでそういう数値が出ましたから、椎茸をはじめとするきのこ類はかなりセシウムを濃縮して取り込んでいるように思われます。

柑橘類関係はかなり微量で10Bq/kg~20Bq/kg程度なんですが、八王子近辺で採れたものからも出ています。皮に対して実の部分は6割程度の比率で出てきています。

穀類をたくさん測った中には、検出されたものもいくつかありました。かなり微妙な検出値が多く、検出されたものもほとんどが10Bq/kg~20Bq/kg程度のところでした。文科省の航空機モニタリング調査による土壌汚染マップで汚染が濃そうなところから出がちであるというのはありそうでした。

「10Bq/kg程度のものを食べて大丈夫かどうか」という問いには測定室見解としての回答は出ません。私は「ICRPの世界で大丈夫と考えるのでしたら、たぶん問題ないでしょう」と答えることもあります。ただしそういう時にはICRPがどういう組織なのか、預託実効線量という形でベクレルをシーベルトに変換することの怪しさも説明をするようにしています。

「汚染があるとわかったものはできるだけ食べたくはない」というのはみなさんが共通に思うことでしょうが、いろいろなものが汚染されているのでゼロを求めても無理ということはあります。ゼロが無理な時にゼロを求めて人間関係を壊したり、余分なストレスを蓄えてしまったら、元も子もありません。もちろんゼロ(事故による影響分)を無理にしてしまったことに対する「被害者としての責任」の追求と「加害者としての反省」が必要であることは言うまでもありません。

微量の検出値を公表すること自体を「風評被害を煽っている」と言う人たちもいます。汚染の実態を正しく知らせることがそういうことにつながるとは思いません。実態を正しく把握して、一人一人が自分の頭で考えられる様にすることこそが「風評被害」を防ぎます。「会津のお米10B/kg未満不検出」こういう事実を知らせることと、有名人がテレビで福島産を食べることと、どちらが「風評被害」を作るのでしょうか。「有名人にテレビで食べさせることで…」という発想には、「人々はアホで自分たちは賢い、原子力政策を決めるのは賢い自分たち」という原子力村の発想が見える気がします。

微量検出された食品に関してどうするのか、生産者とともに東京電力や政府に補償を求めるか、健康被害がゼロではないが生産者との痛み分けで食べるか、生産者には申し訳ないとは思いながらそういうものは避けるか・・・。人によっていろいろな対応、考え方があります。そこのところもオープンに話をしながら、それぞれの自己決定を尊重しつつも、「福島事故の後始末をみんなでどうやっていくのか」考えていけるところが私たちの測定室だと思っています。

ホームページでのデータ公開

この冊子の限られた紙面でたくさんの測定結果についてお伝えしきることはできません。毎日の測定データは、たいていその日のうちにホームページから「測定結果を見る」をクリックすることで見れる様にしています。インターネットにアクセスできる人は、ぜひ活用してみてください。

測定依頼の方の感想

ずっと不安を覚えつつ、行動を起こしてこなかったのですが,こちらの広場の存在を偶然知ったおかげで,ようやく測定していただくというアクションに移れました。ありがとうございました!皆様の行動力に敬服します。(Hさん)

地元(相模原市)でも測定室を作りたいと思いながらもなかなか一歩が踏み出せず‥‥お隣の八王子市でこのような場所を作ってくださりありがとうございます。これからいろいろ勉強していきたいと思います。何よりも確かな事実・情報が頼りになると思っていいます。測定結果の公表も助かります。がんばってください。(Yさん)

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

広場だより1号 巻頭寄稿文 ハカルワカル広場が測定活動開始!

ハカルワカル広場が測定活動開始!

西田 照子

        
会員の皆様!

お待たせしました!10月以来進めてきた設置運動が実り、1月29日に八王子市民放射能測定室《ハカルワカル広場》がオープンし、測定活動を始めております。みなさまのこれまでのご支援に感謝いたします!

私たちの測定室は次の三つがなにより大切と考えています。

*子どもたちを内部被ばくから守りたい
*ひとびとが集い交流できる広場にしたい
*市民が気軽に測れる低価格
~1件1000円 実現~           

この三つの目的を実現するために維持会員の皆様に運営をサポートしていただいています。

八王子市の片隅の小さな測定室。でも「子どもたちを内部被ばくから守りたい」という願いは熱く、その思いで、無償のボランティアが測定し、結果を説明しています。

非力な私たちですが、科学的に測定し、データを市民が持つことが、国や企業がデータを隠すことを監視できる方法だと信じています。まだまだ低線量の被ばくが人体に与える影響の全貌は解明できていません。私たちは食品を測定して、より安全なものを、子どもに与えたい。また、このような測定室が将来不要な時が来る、その日まで、皆さんとともに測定室活動をやって行きたいと考えています。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

メーリングリストについて

2014年5月28日でYahoo!グループがサービスを終了することになっています。それと同時にハカルワカル広場のメーリングリストも消滅します。

すでに運営に関する話し合いは「ボランティアBBS」の方に移行していますので、ハカルワカル広場のメーリングリストはYahoo!グループのサービス終了時にそのまま利用を止めます。新しいメーリングリストを作る予定はありませんので、「ボランティアBBS」の方をご利用ください。

「ボランティアBBS」の利用にはユーザー名、パスワードが必要となります。ハカルワカル広場に連絡先を登録している人にはすでにお知らせが行っているはずですが、「受け取ってない」あるいは「受け取ったけど忘れた」という方は「問い合わせ」ページからご連絡ください。

ボランティア登録されている方、会員登録されている方はすでに連絡先が登録されています。

ハカルワカル広場に連絡先を新しく登録されたい方は、ハカルワカル広場でスタッフに申し出てください。ボランティア・会員以外の方も連絡先の登録は行なっています。

よろしくお願いします。

 

2014年5月28日の前に現在のメーリングリストから登録解除したい方は、
hachisoku-unsubscribe@yahoogroups.jp
宛にメールを送ってください。

測定室の空間線量24時間測定を開始しました

測定結果はこのページで見れます。

測定室での測定を開始したのは23日の午後からです。
その前は、私の自宅で測定していましたが、19日午前3時からアルミの箱に入れました。それ以前は紙の箱に入れていました。

アルミの箱に入れてからの話で、私の自宅での平均値は965CPHで、測定室では今までのところ1034CPHです。私の自宅より7%程度測定室が高いということになります。

ここからは、一部の興味がある人のための話です。
since_date,to_date,mva,skiplt,skipgtというオプションがあり、
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/gmdata.cgi?since_date=2012-4-19_03:00&to_date=2012-4-23_12:00
このようにURLに書けば区間を限定できます。
mvaというのは、指定区間平均をとりながらプロットします。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/gmdata.cgi?mva=4
こう書けば、4区間分の平均をとりながらプロットするわけです。電気の得意な人にはローパスフィルターを入れていると言えばわかりやすいでしょう。
skiplt,skipgtは小さすぎる値や大きすぎるを値を無視するためのオプションです。skiplt=800とか入れると800未満の数値は無視します。

線量計は窓際の書類棚背面と窓の間にあります。自分の線量計を持ってきた人は、書類棚の上あたりで測定して、結果をここにコメントで書いてもらえればと思います。そのうちみんなが書き込める表を作るつもりです。線量計の機種名、測定値、測定時刻、測定時間、誤差範囲、その他参考になりそうな情報は何でも書いておいてもらえると役立ちます。

八王子市民放射能測定室設置運動の歩み

1.測定室がほしい!
2011年7月23日・・・・「子どもたちの未来と自然エネルギーを考える八王子市民講座(以後、市民講座と略する)」の第3回講座の分科会で、「食の安全」をテーマに学習し発表しました。そこで原発事故由来の放射能による食物の汚染の深刻さを学び、調べ、そして、内部被ばくの恐ろしさも知りました。外部被曝も恐ろしいけれど、食品を通して体内に入って、臓器に付着し、放射線を出し続ける内部被ばく。小さな子供ほど、細胞分裂が激しいために、内部被ばくの影響は大きいということも知りました。また、日本の基準が諸外国に比べ高いこと、国や自治体の検査をすり抜けて汚染された食品が出回っていることも知りました。知れば知るほど、「自分たちで測りたい]という思いは強くなっていきました。そこにお呼びしていたのが「小金井市民放射能測定連絡協議会」の方達だったのです。そのお話を聞いて、分科会では、「測定器で実際に測りたい!」 「本当のことは測定しないとわからない」 「市民で測定したい」と、半ば叶わぬ夢を語るように、語っていました。

2.小金井市民測定室見学

2011年8月4日・・・市民講座の反省会で、「小金井市民測定室を実際に見学に行こう!」という話になり、8月4日に見学に行きました。それが、多分測定室設置運動の事実上のスタートとなりました。チェルノブイリ以降、小金井市と協力しながら、市民の手で黙々と測定してこられたという事実に、そしてこうして市民がボランティアで測定できているという事実にどれだけの勇気と示唆を頂いたかはかり知れません。「私達にもできるのではないか」という気持ちが大きく私たちの中に芽生えたのでした。2時間ほど、矢継ぎ早に質問をし、誠実にお答えをいただき、最後に「23年間、市民で測定できたのは、お互いの信頼関係があったから。市との共働事業というのも良かった。また、地味な測定活動だが、反原発の拠点という意識でやってきた。」と話されました。帰途に立ち寄った喫茶店で、「測定室を作りたい!」と熱く語りあいました。この見学会が運動の始まりでした。

3.測定室プロジェクト立ち上げ

8月18日・・・第1回測定室プロジェクト会議  市民講座の中で「測定室プロジェクト」を立ち上げました。この頃は小金井方式で行きたい(測定器、場所は市が提供し、市民が測定する方式)を考えていました。八王子市に、小金井市のような市と市民の協働型の測定室の設置や、消費者庁の食品放射能測定器貸与に応募して欲しいとお願いしました。しかし、市の回答は「国や都が検査しているので大丈夫」の一辺倒で、消費者庁からの食品放射能測定器の貸与にすら応募しませんでした(2011年9月時点において。2012年1月には応募し貸与が決まっている)。 ついに「自分たちで作るほうがはやい!こどもの成長に間に合わない!」と、設置運動を始めることにしました。

4.メーカー見学会

9月14日、15日・・・メーカー見学会 まだ残暑厳しい9月半ば、14日は福生の応用光研に、15日は 浅草橋のベルトールド社に、また、末広町のアドフューテックに見学に行きました。その最後の会社が、測定機AT1320Aを扱っていた会社で、これも運命的な出会いでした。私たちの測定室の科学的な大黒柱の、二宮さんが非常に気に入り、私達も、よくわからないけれど担当者の熱意とか、科学的に専門性があるというところに魅力を感じました。何より値段が性能に対し、格段に安かったのです。そして、無謀にも9月30日、1円も持っていない私達は発注してしまいました。

5.寄付集めなどの活動

10月1日・・・AT1320A発注翌日からが本格的な設置運動の始まりでした。ほぼ毎週末、八王子駅前や南大沢駅前で街頭に立ち、チラシを配り、カンパを訴え、500円一口の寄付を集め始めました。最初はなかなか寄付が集まらず先行きが不安で、正直、この先のことを考えると眠れない日もありました。でも、「もう引き返せない、やるしかない!」そういう思いで、あらゆるつてを頼り、そして、特に「八王子こどもの未来を守る会」の方々の強力な支援に後押しされて、この運動を進めました。(*「八王子こどもの未来を守る会」とは、3.11後、子どもたちへの放射能の影響を心配する保護者や地域の大人の方がインターネットのメーリングリスト上に集まって情報交換をしていくうちに、「ゆるくつながりながら子どもたちの健康と安全を守るために出来ることをやっていこう」と立ち上げたネットワークです。)

6.測定会(ゼロ☆ヒャクにて)

11月21日~27日・・・スペースゼロヒャクを借りて1週間限定の測定イベントを行いました。これが大きな転機となりました。二宮さんが友人と共同購入された測定器をご好意でお借りして、測定会をやりました。市内はもとより、市外からも多くの方が測定に来られ、大盛況でした。ボランティアで測定し、測定結果について話し合う、不安な方と共に語りあう集いの場になりました。最終日、測定会の反省会でプロジェクトチームの林さんが測定会の印象を「宮沢賢治のポラーノ広場のよう」と、「ポラーノ広場」の一節を朗唱されました。 その作品の一節のように、私達の測定室は、「みんなが集い、そして元気になって帰っていく広場」のイメージが出来ました。私たちの測定室は「市民による市民のための測定室でありたい!そう、こんな感じなんだ!というイメージが出来ました。大きな転機でした。どんな時もその気持ちを忘れずにいるために、現在も測定室の壁にその一節を掲げています。(ご支援くださる書道家の方からご好意で作品をご寄付いただきました。是非ご覧ください!)

 7.場所決まる!

もう一つの大きな転機はこの場所をお借りできたことです。プロジェクトチームのメンバーの榎本さんがが友人から「中央診療所の2階が空いているよ」と教えていただき、更に別のメンバーの井上さんが中央診療所の事務長と昔からの知り合いで、話がとんとん拍子に進みました。その上、私たちの趣旨を理解してくださり、ご好意で法外の安値で貸してくださいました。広い場所、安い家賃、そして家主が、山田真先生という子どもの内部被曝に最も理解のある小児科医の先生だという幸運に恵まれました。12月19日・・・場所の契約を済ませ、ホッとすると同時に、「さぁこれからオープンに向けてがんばろう!」という気持ちが高まりました。

8.リフォーム大作戦

12月19日~22日・・・契約のその日から、猛烈なスピードでリフォームを始めました。この場所は長く使用されていなかったため、壁にはカビや染みがあり、そのままでは測定室としては使えませんでした。そこでリフォーム作戦が始まりました。お金のない私たちですから、リフォームも全てボランティアを募り、人海戦術で行いました。ペンションを手作りで建てたこともあるという玄人はだしのメンバーのjirochoさんに陣頭指揮をお願いし、人海戦術で(10人以上集まった日もあった)、壁と天井の掃除、ペンキ塗り、それが終わると6畳の「ちゃぶ台スペース」(靴を脱いでくつろげる”あがり”スペース)を作り、見事に生まれ変わりました!たった4日間の早技でした。守る会のお母さんたち数人がカーテンを縫ってくださったり、デスクやキャビネット、冷蔵庫やプリンター、傘立てや電気ポット、お湯飲みなどの備品に至るまで、ほとんど全て、支援して下さる皆様からの寄付で出来上がりました!測定室の愛らしいロゴのデザイン、窓の飾り文字とウェルカムボードを作って寄付してくださったのは、「八王子こどもの未来を守る会」に参加されているプロのイラストレーターのミツヨさんです。他にもお名前を上げることができないほどたくさんの方の愛情のこもった、正真正銘手作りの測定室です。

 

9.オープニングセレモニー

そしていよいよ1月29日、測定室の開室を迎えました。リフォームが12月に一応終わって、1カ月余はオープンの準備や、オープニングセレモニーの参加者への案内状作成、郵送などに追われました。高名な方などは招待せずに、この測定室を作るために動いてくださった方、支援してくださった方をお呼びする、草の根の、手作りのオープニングセレモニーをと願いました。

予想より多くの参加者が見込まれたため、2部構成にし、1部は八教組を始め外部から支えてくださった方々、2部は内輪の、「八王子子どもの未来を守る会」の方たちを中心に、こどもづれOKの会にしました。

みかさんたち、セレモニー担当班の周到な準備のおかげで、セレモニーはスムーズに進行しました。子どもたちのくす玉割りで開会。測定済みの手作りクッキー、測定済みのおにぎりなど、手作りのもてなし、二宮さんの測定器デモンストレーション、西田によるこれまでの設置運動の歩みの話、参加者のスピーチなど、盛りだくさん。最後に林洋子さんが宮澤賢治の「ポラーノ広場」の一節を朗唱してくださいました。そして、八王子テレメディア、各新聞社の取材などもあり、感動的な、温かなセレモニーとなりました。

2部では子供向けの紙芝居を林洋子さんがしてくださり、より温かな、ほのぼのなものになりました。お互いのこれまでの労をねぎらい、開室を喜び合うものとなりました。

10.これからの課題

さて、1月30日から通常の測定室業務が始まりました。1日5検体測定。測定結果は原則すべて公開。10時~16時の開室。1検体1000円、会員は500円の測定料。破格の値段にしているのは、誰でも気軽に測定に来てほしいためです。お金に余裕のある人だけが測定できるのではなく誰でも測ってもらいたい。その願いを込めましたが、この料金では運営ができないので、運営費をサポートする維持会員を募集しています。

人材面でも、課題は山積しています。ボランティアで測定し、また運営しているために、ボランティアの方々の協力が必須です。

「子どもの内部被ばくを、食品を測定することで防ぎたい」という願いで始めた測定室設置運動。 私たちには何一つなく、あるのは強い思いだけでした。その思いが形になったと言う感動! しかし、喜びもつかの間、金銭面でも、人材面でも、課題は山積みです。でも引き返すわけにはいきません。 よちよち歩きの測定室ですが、何とか運営を継続し、長く続けて行きたいと願っています。いつか、食品の放射能汚染が消え、測定室が不要となるその日まで、多くの方と力を合わせ、次世代の子どもたちの未来のために、継続して行きたいと願っています。ささやかな、しかし具体的な測定という行動を通して、市民の役に立ちたい、市民と繋がっていきたい、そして、反原発の市井の拠点となりたいと強く願っています。

2012.3.20 西田照子記

 

雑談をはじめましょう2

「雑談をはじめましょう」も月が変わったので新しい投稿をしておきます。
今後月ごとに更新するかどうかは不明なので、’2’をつけたタイトルにしておきました。

「二宮」ばかりでなく、もう少しいろいろな人たちからコメントを欲しいところなんですが、こういうのはあせってもすぐにどうこうなるものでもないので、気長にやります。

2月分データの並べ替え

本日(3月3日)のお茶会に参加していただいたみなさん、ありがとうございました。
スタッフも入れて28人集まる盛況でした。

測定データをダウンロードして、いろいろなやり方でデータを並べ替えるのをお見せしようと思ったのですが、測定室のパソコンで思うようにそれができなくて少しとまどってしまいました。
今日お見せしたようにOpenOfficeフォーマットでダウンロードした場合、Google Docフォーマットからの変換のせいで、多少見にくくなるところが出てしまいました。
Google Docのまま自分のGoogleアカウント上にコピーを作り、そこでいじくればフォーマットの変換がおこらないのでいいようです。
並べ替えたシートをみなさんが見えるように共有しておきます。

2月のデータを検出値の高い方から並べ替えたシート

2月のデータを検体の分類の順番で並べ替えたシート

南相馬の土の測定で作った、線量計による表面測定との対応グラフも共有しておきます。