「日々の測定結果、2012年4月」への9件のフィードバック

  1. 4月最初の測定はいきなりコメントするのが難しい微妙な結果で始まりました。
    木質ペレットは3月にもCs137のみというのがあり、その時のスペクトルは
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=262
    これだったのですが、今日の測定で出たものは、
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=297
    これだけみるとほとんど山はない感じですが、
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=297,0
    としてバックグランドと見比べると、662kevのCs137の近辺がわずかに盛り上がっています。そのせいで10.7Bq/kgという検出値が出たのだと思いますが、非常に微妙なところです。

    木質ペレットの材料は100%国産なのかどうか、少し疑問がわくので一生懸命検索して、ついにこういう記事を見つけました。
    http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20120320a
    大館市でペレットの焼却灰から出た放射能の原因を調べたら「原因は原料に使われていたスウェーデン産のアカマツであることも分かった。」ということなんです。

    「やはり、あるか」という感じで、これを見つけて「木質ペレットの原材料が海外産ではないか」という疑いが、かなり確信に近くなってきました。

    今日は、他に狭山茶から670Bq/kgも出てびっくりしました。100ccの容器の測定だったので、「これだと100Bq/kg以上ないと検出できないけど…」と、少し測れるのかどうかに不安だったのですが、余計な不安でした。500Bq/kgの3月までの暫定基準を越えた食品を私たちのところで検出したのは初めてのことでした。

  2. 今日は暴風警報下ということで午前中だけの運営で、測定されたのはしいたけの1検体のみです。最近、しいたけの測定がよくあるのですが、いずれも検出の結果が出ています。今日の測定も例に漏れず、134と137合わせて179Bq/kgが検出されています。

    インターネットを見ていて、しいたけに関して興味深い実験の報告を見つけました。
    http://bq-maru.com/wp/?p=943

    汚染しいたけを使って料理をした場合、その具や煮汁にどのくらい汚染が移行するのかということを調べています。
    しいたけは、「生で600~1000Bq/Kg程度のもの」を使ったというのですから、かなりの汚染レベルですね。これで、2割近くが移行しているようです。
    厳密にどうなるかは、料理のしかたなどによっても変わってくると思いますが、大雑把な目安はつかめます。

  3. 今日は群馬県榛名産の米から検出されています。興味深いことに玄米と白米の両方が測られています。それとバックグラウンドの3つのグラフを重ねると
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=308,309,0
    これです。
    青いグラフの玄米は確実にありそうな感じがわかります。赤いのもバックグランド比べると微妙ながらもありそうです。

    文科省の航空機モニタリング調査の結果
    https://docs.google.com/viewer?url=http%3A%2F%2Fradioactivity.mext.go.jp%2Fold%2Fja%2F1910%2F2011%2F09%2F1910_092714.pdf
    を見ると、榛名湖周辺は少し汚染が高いです。土から1%程度の移行だとありえそうな数値です。

    限界値スレスレの微妙な数値なので、ここに出ている数値でもって玄米と白米の汚染比率を語ることはできませんが、スペクトルを見ても白米の方がかなり小さくなっているのがわかります。

  4. 今日は、5検体全て検出という日でした。
    始まりが6000Bq/kgを越える土でした。これも数日前の日野の土に匹敵する高レベルの濃縮が起こっているようです。枯れ草を積み上げたところだったらしいのですが、かなり大量につみあげていたのでしょうか、濃縮率が半端ではありません。

    「どんぐり粉」というめずらしい検体があったので、興味津々だったのですが、56Bq/kgというかなり高い数値が出ました。木の実というのも、油断してはいけないようです。果物関係で結構出ているのですから、当然と言えばそうなのかもしれません。実の部分だけを乾燥した粉末のようでしたから、水分がない分だけ濃縮されたようになっていた効果もあったのかもしれません。
    結果のデータはここで見れます。スペクトルはこれです。

  5. 今日は「野草の測定結果が微妙です」ということで、ビデオ電話で測定室とお話ししました。確かに微妙な結果です。コメントを書いておきましたので、測定結果公開シートの方を見てください。
    http://goo.gl/7Pj4C

    2つの野草測定の結果のスペクトルを重ね合わせたものが、次です。
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=338,337

    「野蒜を含む」の方は、662kevのCs137のふくらみと、Cs134の上の方の796kevのふくらみがわずかでもはっきりある感じがあります。その分で、そちらの判定は「微量に検出」となります。もう一方の方はそこのふくらみがあるのかないのかわからない程度なので、「検出」と判定するのは難しく、あいまい表現で「グレーゾーン」の中です。

  6. 昨日は筍から検出されています。生の筍と、ゆでた後の筍の両方を持ってきていただいたので、興味深い比較データを得ることができました。
    セシウムが合算で、生は23.7Bq/kg,ゆでた後は14.7Bq/kgという結果です。

    二つのスペクトルは、
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=345,346
    この様になります。

    ゆでただけでもかなり減っていますね。
    だし汁で煮たりしたらもっと減るかもしれませんね。そのかわりそのだし汁が他の具にしみこんでいくというのはあるでしょうが。

    「ベクまる」が、筍に関して興味深い測定を行っています。
    http://bq-maru.com/wp/?p=1105

  7. 今日の「つくし」と「筍」の測定結果ですが、どちらも500cc容器で検体重量が300グラム台、微量を検出するにはやや難しい条件です。測定結果の数値もかなり似たところです。

    こういう微量を見る時は、スペクトルの後ろに「,0」をつけて、バックグランドとくらべてみてください。

    つくしは、
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=352,0

    筍は、
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=355,0

    こうやってみると、800の少し下のところにもりあがりがあるかないかで明確に違いがあるのがわかります。この辺の差で、「筍の方は微量にありそうだが、つくしはあるとは言い難い」という見方をしています。

  8. 昨日のいわきのお米、不検出ですが若干カリウムが多いようです。
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=356,0
    バックグランドと比べたスペクトルを見ると、全体的にややバックグランドより上にあります。カリウムから出るガンマ線がコンプトン散乱を起こして1200keV以下くらいのところからバックグラウンドが少し盛り上がるような感じで出てきます。

    「やさしお」を測った時などは、
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=250,0
    このくらいはっきり出ています。

    AT1320Aはこのカリウムの影響分をちゃんと考慮して引き算してくれているので、このような場合にセシウムが正しく「不検出」になります。この機能がない測定器でスペクトルが見れない場合は、微量の値を評価するのが非常に難しくなります。

    同じ日にはかっている新潟産のお米だと、カリウムがそれほど多くないので、
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=360,0
    という感じでほとんどバックグランドと同じ線上にあります。

    参考までに、ちょっとだけ物理の話をします。
    ガンマ線やエックス線が電子にエネルギーを与える現象にコンプトン効果というのと光電効果というのがあります。
    「ガンマ線も、光や電波と同じく電磁波の一種」ということを聞いたことがあるかもしれません。たしかにそうなんですが、ガンマ線の様な非常に波長が短い電磁波は波というより粒子の性質をより強くもつようになります。アインシュタインが光量子仮説を出して最初にそのように考えました。粒子としての電磁波は光子(Photon)と呼ばれます。
    コンプトン効果というのは、光子が電子にぶつかる様なイメージなんですが、その時に電子にエネルギーを全て渡すのではなく、エネルギーを小さくした別の光子を出します。光子がエネルギーを失って、別の方向に跳ね飛ばされるようなイメージです。そのエネルギーを失った光子というのがエネルギーの小さなガンマ線です。それはまた別のコンプトン効果を起こす可能性があり、さらにエネルギーの小さくなったガンマ線が出るわけです。そういうのがどんどん検出されるので、低い所のスペクトルが盛り上がるわけです。

    そういう事が測定器の中で起こっている分にはいいのですが、体の中で起こるといろいろ問題を引き起こすわけです。

  9. 昨日のペレットの灰のスペクトルを見ていて、「カリウムがすごいなぁー」と思ったのですが、やさしおと比較してみると
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=368,250
    カリウム40のピークが同じくらいの高さですね。やさしおは27%がカリウムなんですから、それに匹敵するということですね。

    カリウムは灰の主成分の一つなんですから、考えてみればあたりまえのことですね。

    K40が崩壊する時、ベータ線を強く出しガンマ線は全体の10%程度しか出しません。同じベクレル数のCs137とK40があるとすると、Cs137からの662keVのガンマ線の本数に対してK40からの1461keVのガンマ線は12%程度になります。12%とは言っても、K40が大量にあるとそれは無視できない量になります。

    もし、線量計が662keVと1461keVを同じような感度で検出してしまうとすると、灰に線量計を当てて少し上がったと言っても、K40の寄与なのかCs137/134の寄与なのか、なんとも言えません。ベータを検出するような線量計だと、さらにわからなくなります。

    灰のセシウムを検出する場合、カリウムを分離できる測定器を使うことは必須ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です