2000検体目の測定

みなさん、いよいよ記念すべき2000検体目の測定が近づいています。9月3日の測定を終えて、1981検体の測定が終わっています。後19検体で2000に到達です。

1000検体目を測定したのが2012年10月18日でした。この最初の1000検体の測定には8ヶ月半かかっています。

2000検体目が9月中旬だと仮定して、次の1000検体には11ヶ月かかったことになります。ペースがかなり落ちてきているのはしょうがないですね。一般の食品に関してはほとんど心配しなくていい、という状況がわかってきたのが反映していると思います。私達が積み上げた2000検体の測定がそういう状況を作るのに貢献してきたことは確かだろうと思います。

おそらく3000検体目にたどり着くには、この先1年以上かかり、2015年以降になることでしょう。測定の数が減っても、脱原発社会の実現にはたくさんの課題がありますから、測定室の活動を停滞させないように努めて、みなさんと一緒に3000検体目の測定日を迎えることを目指していきたいです。

そのためには、たくさんの人達に様々なアイデアを持ち寄っていただきながら測定室を盛り上げていくことが重要になります。みなさんぜひよろしくお願いします。

映画「標的の村」を見て

ポレポレ東中野で上映中の「標的の村」を見ました。話は、沖縄高江の集落での、ヘリポート建設反対から始まります。高江集落の周りを取り囲むようににヘリポートの建設が突如、何の説明もないまま始まったことに、住民は座り込みをして反対します。生活の基盤が失われるからです。国は座り込みをした人たちを(7歳の少女をも)裁判に訴えます。いわゆるスラップ訴訟という、強大な力のある方が弱いものを訴えて脅す手法です。

「標的の村」という題名は、米軍が高江を敵の集落とみなして、標的として、訓練をすることからつけられています。現実にそこで暮らしている生身の人間がいるのに、戦争の、模擬標的として訓練するのです。また、この村はベトナム戦争の時、「ベトナム村」として、村民にベトナムの服を着せ、襲撃の練習もしたということです。

オスプレイが配備されるとき。普天間の門を沖縄の人たちが封鎖して抵抗します。(大手メディアはほとんど報道していませんが)。機動隊が実力行使で排除します。生活が成り立たなくなるのは住民の方なのに、国は守ってくれるどころか、実力で執行する。原発と同じ構図を感じました。ポレポレ東中野で10月18日までロングランが決まったそうです。多くの人に見ていただきたい映画だと思いました。ドキュメンタリーとしても優れていて、この映画監督は実力派だと感じました。

予告編:
http://www.youtube.com/watch?v=IWCoNxPMk50

ポレポレ東中野上映時間: http://movie.walkerplus.com/th567/schedule.html

三上智恵監督インタビュー

西田

北茨城市で一時的な高線量が確認された件について

二宮さんに、質問です。

先月、北茨城市で毎時7マイクロシーベルトの高線量が検出されたそうです。
http://www.city-kitaibaraki.jp/modules/info/index.php?content_id=716

市の発表によると、工場で放射線を用いた非破壊検査が行われていたため、ということですが、
そんなことが実際あり得るものなのでしょうか?
これが事実だとすると、僕たちは普段から身を守るために線量計を持ち歩かなければなりません。

そもそも、市と原子力規制庁が、7月12日に走行サーベイを実施して、異常に高い線量を計測していながら、
それを、12日も後の7月24日に確認した、というところが、規制庁の無能さを露呈しています。

ハカってワカった話6号 驚くような測定データはもうない、室内のほこり

驚くような測定データはもうない、室内のほこり

二宮 志郎

5月1日~7月24日 測定結果

検体種類 検体数 Cs137 Cs134
土・砂 78 68 68
土混じり植物 3 3 2
土・その他 6 5 5
泥、泥水 6 6 6
池水、川水 0 0 0
雨水・雪 0 0 0
水・その他 3 0 0
葉菜 16 1 0
根菜 10 0 0
果実・果菜 37 1 0
穀類 22 1 0
きのこ類 17 13 9
魚介類 1 0 0
肉類 1 0 0
卵類 0 0 0
水産加工品 5 0 0
肉類加工品 0 0 0
野菜・果実類加工品 9 0 0
穀類加工品 9 0 0
飲料 3 0 0
食品混合 1 0 0
茶葉 8 1 1
ペットフード 1 0 0
芽・茎野菜 12 2 0
海草類 0 0 0
食品・その他 2 0 0
植物葉 11 2 2
植物茎・枝 0 0 0
植物根 0 0 0
木質ペレット 0 0 0
植物・その他 2 1 1
2 2 2
1 1 0
その他 9 4 5
総計 275 112 101

【驚くような測定データはもうない】

今回集計したデータを見ると、土・落ち葉関連以外で検出されているのはきのこ類がほとんどです。サニーレタスでわずかに検出されていますが、これは土がたくさんこびりついていたようなのでその影響が大きかったように思えます。町田産のレモンから微量にCs137のみが検出されていますが、これは「柑橘類要注意」と前から言っていたものの現れでしょう。それでも1検体だけでした。

日光産の白米から微量のCs137が検出されていますが、これは誤検出にすべきかどうか悩むレベルで、はっきり検出とは断定できないものでした。筍から2検体検出が出ています。「筍だからしょうがない」というのもなんですが、筍から微量に検出されるのはある程度予想されています。

7検体測定している筍のうち2検体から検出値が出ているというのも、第5号で「約1/4の筍検体から検出値が出ている」と報告した内容に合っています。

「植物葉・植物その他」で出ているのは、落ち葉や苔などで、これらは土に準じて当然のように検出されます。

「灰・炭」も普通の木材からかなりの濃縮が入るので出てきます。

「その他」に分類されているもので検出されているのは、ほとんどが掃除機のゴミです。これも出てくることはわかっているのですが、未だにやや大き目の数値が出るのがちょっと気にかかるところです。

以上、全体を見渡してさほど驚くようなデータはありません。それだけ私達が汚染状況を把握していて、それに見合う内容が測定結果として出てきていると言えます。

【室内のホコリ】

八王子の掃除機のゴミから300Bq/kgを越える数値が検出されています。一般的な土のレベルと同じレベルですが、「それがホコリになって家のなかに溜まるものだろうか?」という点を少し考えてみたいと思います。

厚生労働省のホームページで「建築物環境衛生管理基準」を調べると「浮遊粉塵の量は0.15mg/m3以下」というのがあります。この基準が守られていると仮定しましょう。家の中の空気は建築基準法では1時間あたり0.5回は入れ替わるように換気設備が義務付けられています。この0.5回が一日中守られていると仮定します。床面積100m2で天井高2mの家であれば、200m3の空気が家の中にあり、それが上記仮定によれば一日に12回入れ替わるということになります。

そうすると家の中に外から入ってくる空気は一日あたり2,400m3となります。0.15mg/m3と仮定した浮遊粉塵のうち何割くらいが外からの土埃になるのか、そしてその何割が静電気で家の中のものにくっついたり、重さで床に積もったりするのか? ここのところがいろいろ調べてもなかなかわかりません。掃除機メーカーホームページには「繊維ごみ〈綿、紙、毛髪等〉1/3質量、砂ごみ2/3質量」というのを試験ゴミとして使っているという情報があったのを参考に、思い切った仮定をすることにして、浮遊粉塵の6割が土埃でそのまた半分が家の中に溜まるとしましょう。そうすると3割がどんどん溜まっていくことになります。

一日で溜まる量は、

2400×0.15×0.3=108mg

となります。100g溜まるのに必要な期間は約2年半ということになります。大まかな目処に過ぎませんが、こういう感じで家の中に外からの土埃を溜めているということでしょう。

ちなみに、0.15mg/m3の空気を1時間に1/m3(かなり激しい呼吸の量)で1年間吸い続けると1.3gになります。300Bq/kgのホコリだとすると、肺に入れる量は4Bq/年程度です。これがプルトニウムならかなり気になる量ですが、セシウムの場合はほとんど気にしなくてもいいレベルと言えるでしょう。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

広場だより6号 巻頭寄稿文 「ハカってワカろう、親子放射能測定体験」報告

「ハカってワカろう、親子放射能測定体験」報告

ハカルワカルが野外に飛び出した!

火曜日測定リーダー 佐々木晃介

 今回の親子体験は、子供たちに放射能汚染の実態を、自分で実際に測ることによって、机上ではなく、野外で体験してもらいたいと企画したものです。参加の親子、場所を提供してくださった維持会員、ハカルワカルのボランティアのコラボで実現できました。ハカルワカルはこのような活動をしていく使命もあると思っています(以下報告)。

 さて、測定フィールドは京王八王子から歩いて30分のお寺。浅川大橋から北に目を遣ると目的地の赤い瓦の大屋根が見える。境内から南の方に目を転じると眼下に八王子の街並みが一望できる素晴らしい場所だ。気温はぐんぐん上がって来ているが、曇り空で助かる。熱中症にならないように参加者に声かけしよう。

親子野外測定体験   二宮さんの放射線の説明、セシウムのガンマ線の話、測定器の簡単な説明

*日時:7月6日(土)9:00~11:30 天気晴れ
*参加者:家族、子供 5人+(学齢以下2人)、大人 9人、スタッフ10人、の計26人
*班分け:AチームとBチームの2班に分かれて測定
*測定:子供達に測定器で自主測定と記録。約1時間
*Aチーム測定器:テクノエーピーTC200S/Bチーム測定器:テクノエーピーTC300S
*A班16カ所、B班14カ所、計30カ所
*発 表:AチームとBチームに分かれて子供たちが発表

?二宮さんの解説

 雨どいの下など、一度除染は済ませているのに、再度また濃縮してしまっているのがわかります。本堂階段下は、気が付きにくいホットスポットでした。雨水の流れ跡を注意深く観察すれば多少は察しがついたかもしれませんが、測ってみないとなかなか気が付きにくい場所だと言えるでしょう。

 0.05〜0.08μSv/h程度の範囲が一般的な場所と思われる汚染値で、一部御影石の影響と思われる高い数字もありますが、ほとんどの高い数値は福島原発事故由来のセシウムの影響だと言えるでしょう。

 参加した子供たちにまとめ表作り、測定結果の発表などを実際にやってもらうことができたのがとてもよかったです。(注:この本堂下のホットスポットは2374ベクレル/kg でした)

 ここで興味をもってくれた子どもたちが、「これらの数字の持つ意味をもう少し深く理解したい」と思ってくれれば、今回の成果は非常に大きいでしょう。

?参加者とスタッフのコメント

☀小学5年生 参加者:
 自分が気になったところを、沢山の人と一緒に測れておもしろかった。またやってみたいです。

☀参加者:
 測定会の様子をみていたご近所さんと、放射能について話すき っかけになりました。『皆で堂々と楽しく測る』のが良かったようです。

☀スタッフ:
 大人も子供も、興味津々で測る様子が良かったです。何度か経験する内に高い場所が予想できて、そこに近づかなくなることでしょう。初回としては大成功!

☀スタッフ:
 測定をはじめてすぐにこの企画はいいと感じました。測定器の 性能もいいのですぐに測定できる。お寺の敷地内の広さも丁度良く測定したい場所もたくさんある。測定、記録、自前の測定器との測定値の比較は子供だけでなく、大人も十分楽しめる。次回はもっと多くの人の参加を!

 もっとたくさんの子どもたちに参加してもらえるイベントを目指して、また第二回目を企画したいと思っていますのでみなさんよろしくお願いします。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

初めての測定ボランティア

本日、初めてボランティア研修を受けさせていただきました。自分の家の庭土の測定もしてみました。震災後に建てた家だったので、まさか検出されないだろうと高をくくっていましたが、結果は57Bq検出されました。八王子の土にしては低い値でしたが、原発事故がなければ検出されるはずのない放射能だと、思うと安心などしていられない数値でした。でもこれからもっと放射能のことを勉強し、正確な情報を知りたいなと思うようになりました。

2013070415450000

震災前の人工放射線核種を知る為の資料ご紹介

震災前にはどれだけ放射性物質があったのか?
などとご質問を頂くことがございますので
参考までに震災前の情報のリンクを置いておきます。

−農環研における放射能モニタリング−
http://www.niaes.affrc.go.jp/topics/radioactivity.html

●わが国の米、小麦および土壌における90Sr と137Cs 濃度の長期モニタリングと変動解析(PDF)
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010724549.pdf

●主要穀物に含まれる人工放射性核種
137Cs(セシウム137)および90Sr(ストロンチウム90)の
経年評価あり、単位がmBq/kgなので、見る時にはお気をつけ下さい。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/pdf/seika06_63.pdf

などがあり、勉強になります。

その他、黄砂とともに飛来する放射性セシウム( 137Cs ) なども情報も
興味深いので、お時間のある方は是非どうぞ。