10月22日(日)おしどりマコ&ケンさん講演会(5周年イベント)のご案内

皆さま、お待たせしました!

10月22日(日)午後2時よりおしどりマコ&ケンさんの講演会です!

ハカルワカル広場は今年の1月29日で開室5周年を迎えました。5周年イベントにはおしどりマコ&ケンさんをお迎えし講演会を実施いたします。お2人は福島原発事故の事実の解明、また、放射能の危険性について地道な調査、取材活動を続けておられます。東電の記者会見にも毎回通われ、記者以上の鋭い質問を投げかけ、いくつもの隠された事実を掘り起こされました。事実を自分の手で明らかにする、自分で考え、自分で判断するというお二人の姿勢に多くの学ぶべきものがあると考え、講演をお願いしました。ぜひご参加ください!

【要項】
とき:10月22日(日)午後2時~4時(開場:午後1時30分)
ところ:クリエイトホール(八王子生涯学習センター)5階ホール
(JR八王子駅、京王八王子駅より徒歩4分、チラシ地図参照)
入場料:1000円(大学生以下、障がいのある方は無料)、お子様連れ入場OK

お申し込み方法:ハカルワカル広場にお電話、またはメールにてお申し込みください。定員になり次第締め切らせていただきます。電話:042-686-0820 メール:hachisoku@gmail.com (なお、大学生以下、また、障がいのある方には無料券を発行いたしますので、電話、メールにてお申し込みください!)

詳しくは下のチラシをご参照ください。

皆様のご参加を心からお待ちしております!

ハカルワカル広場



おしどりマコ&ケンさん講演会チラシpdf 2ページ

ハカってワカった話22号 不検出になってくれない原木椎茸

不検出になってくれない原木椎茸

二宮 志郎

6月、7月の測定結果の中で、原木椎茸の2検体からセシウム137が約30Bq/kg検出されています。セシウム134の方は限界値以下不検出です。スペクトルを眺めてみても、セシウム137を示す662keVのところの膨らみははっきりしていて、セシウム137の存在は否定しようがないです。

原木椎茸に関しても「ほとんど全てが不検出」になる日がやってくることを期待しているのですが、なかなかそうなってくれません。厚生労働省の調査結果などを見ても、関東・東北エリアの原木椎茸からセシウム137が検出されるのは止まっていません。

汚染のない原木を調達するのが困難な状況が続いているのではないかと推測します。血のにじむ努力を続けている椎茸農家の人たちには本当に気の毒な状況です。福島原発事故の悲劇は、まだまだ続いているということですね。

椎茸をどのくらい食べている?

関東・東北の原木椎茸は多少のセシウム汚染があることは覚悟するとして、はたしてどの程度の量食べていて、結果的にどの程度の放射性セシウムを体内に取り込んでいると見積もればいいのでしょうか。もちろん人によって椎茸の好き嫌いもありますし、一概に言えるものではありませんが、日本人の平均的な食べ方でみたらどうなるのでしょうか。

林野庁のホームページに「きのこ関係資料」というのがあります。ここで引用したグラフで、きのこを食べる量の見当がつきます。20年くらい前からは3.3kg程度で落ち着いています。福島原発事故の後、食べ控えが起こっているのかもしれませんが、だいたいこの程度が目安なんでしょう。

さらに、この年代別消費量のグラフで椎茸とその他のきのこ類の比率がわかります。年代による差が少しあるようですが、2〜3割程度が椎茸のようです。大雑把に見て1人が年間に食べる椎茸の量は1kg程度ということになります。

50Bq/kg汚染の椎茸を平均的な量食べた場合、年間で体内に摂取する量が50Bq程度ということになります。

ICRPの預託実効線量を使った計算では年間1ミリシーベルトの許容量に達する量の1/1000以下ということなります。もちろん、椎茸以外から一切影響を受けてないということはありませんし、住む場所によっては外部被曝の影響分も加味しないといけません。

ICRPより100倍厳しい基準で見るとしても椎茸を食べる分からの被曝は現状それほど厳しく考えなくてもいいような気がします。ただ、こんな状況を二度と作らない様に努力することは次世代に対する私達の責任でしょう。

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広場だより22号 巻頭寄稿文 関東も汚染現地

関東も汚染現地

放射能からこどもを守ろう関東ネット/ハカルワカル維持会員 柳沢典子

2011年3月15日の朝9時過ぎ、千葉県柏市の自宅。20数年ほとんど鳴ることのなかった放射能検知器がけたたましく鳴り始め、福島から200km離れていても原発事故では汚染の現地になることを知った。空間線量は0.8μシーベルト超が記録され(東大測定)、数千か所に及ぶ市民による土壌調査でも、文科省の航空モニタリング調査でも、放射線管理区域とされる値であることがわかっている。幼児、妊婦は立ち入り禁止、飲食は禁止される場所、チェルノブイリ事故では避難推奨地域だ。街角には核のマークをつけるべきだが誰もつけようとしない。国は重点調査地域に手を挙げた自治体に除染費用を交付しただけだ。ガラスに溶け込んだセシウム(セシウムボール・不溶性のため肺への影響が子どもで180倍)等、放射能の各核種が舞い散る中、子どもたちは外遊びをし、学校の窓は閉じられず、グラウンドで部活をして泥まみれになった。

官邸は放射能漏れの実態を11日17時には把握しており、「関東では雨の日に個人の対応としてカッパを着ること」や乳児のミルク備蓄について原子力安全委員会緊急助言組織が提言をしていたが無視、放射性物質拡散予測システムSPEEDIも報道されることはなく、山梨あたりまでの関東圏の人々はかなりの被ばくを強いられることになった。

私はチェルノブイリ原発事故以降、食品放射能を測るボランティアを14年、また輸送時を含む原子力防災について市に要望、その経験上、放射能の影響を早期に最小限にすることの重要性を感じていた。

311後市議会に請願を数度、いくつか採択。同時に子どもの給食など食品の測定、環境の測定、除染を率先して行うパパママたちとつながるのだが、やがて市を巻き込んでいく。意識のある自治会では住民による除染を市の職員とともに行う。しかし汚染土の行き場はなく、できるだけ人のこない場所に埋めるだけだ。そして市との協働では健康問題に突っ込んでいくことは難しかった。

一方、健康を心配する親たちは茨城、千葉、埼玉とつながっていく【放射能からこどもを守ろう関東ネット】。茨城県守谷市の常総生協がゲルマニウム測定器を用意、まず市民で土壌数千か所を調査して子どもたちの健康調査を、と各省庁まで要望する。超党派議員による「原発事故子ども被災者支援法」が成立するが反応は鈍い。環境省の「福島原発事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」は日本医師会の石川理事らが、被ばくは県をまたいでいる、健康支援を早急に、といった意見を無視、病気と事故の因果関係ははじめからないとして会議が進む。業を煮やし2013年9月に親たちが立ち上げた【関東子ども健康調査支援基金】は独自に甲状腺エコー検査を行っている。スクリーニング検査を受けた子たちはすでにのべ7000人以上になり、神奈川でも始まっている。現在、甲状腺エコー検査に補助金を付ける自治体も出ている。

原発事故の健康影響は甲状腺以外にもさまざまで事故から31年たった現在でもチェルノブイリ周辺では元気な子どもが少ないと現地医師はいう。2016年9月【311こどもがん基金】が立ち上がり、甲状腺がんと診断された子どもに給付を行っている。100万人に1~2人と言われていた甲状腺がんが福島では

190人と数十倍の確率。福島以外の東京や神奈川でも4人と、甲状腺がんの子どもがでてきている。関東でもこの小さな基金に申し出がこれだけあったということは潜在的にどれくらいあるのか、なのだ。自覚症状が出てがんに気づいた場合は症状がすでに重くなってしまっているため早期発見と治療が有効。被ばくを受けた関東圏では少なくとも子どもは甲状腺チェックを受けるしくみが必要だ。国策によって被ばくをしたのだから健康に生きる権利がある。

人の痛みはもちろん数字ではわからない。進学、結婚等進路を余儀なく変更させられる。甲状腺の疾患は内臓全体に関わり疲れやすく、生きていくのがつらいと思うほど気力がなくきつい症状が出ることがある。闘えない被害者がいまだ苦しんでいる。追い打ちをかけて「復興」、「前向き」、「オリンピック」の掛け声でいっそう声が出せなくなり、自主避難者も支援打ち切りで兵糧攻め、汚染地へ帰れと追い詰められている。

福島の子どもの尿からは今も日常的にセシウムが検出されているデータがある。汚染は何十年も続く。千葉では現基準の0.23μSV/h以上の場所があちこちで見つかっている。つい先日は除染した土が埋められた場所だったか、運動会の入場門を建てるために校庭を掘ったら1μSV/hを超えたという。

汚染土は1300度で焼くとセシウムは土から離れ、フィルターに集めることができるが高くつく。貯蔵場所にも困りはて国は8000Bq/kg以下は防波堤の基礎などとして再利用するという。上は覆うというが昨今の災害の多さや規模からしてもまた露出していくだろうことは容易に想像できる。日本中で利用だから日本中が汚染されていく事実を受け入れてくれということだ。なにしろ今なお「原子力緊急事態宣言中」だから。世界的にも最大の公害であり人権蹂躙が進行している。

いろんな意味で原発事故はあなたの住むそこが汚染現地になったということだ。土に親しめないなんて生物としてどうなのか?これ以上の原発稼働などありえない。外部配管が壊れれば再び核災害、このウィークポイント施設を残して軍備拡張など茶番にすぎないと思う。

さあ自然エネルギーの電気を選ぼう、(手続きは簡単。ただしスマートメーターは不要、法律違反ではない)、
子どもの健康状態はチェックしよう、
被災者支援団体、保養団体を支援しよう。そして以下【 】、 ぜひ検索を。

【関東子ども健康調査支援基金】     神奈川でも甲状腺エコー検査 事前申込制
【3・11甲状腺がん子ども基金】    甲状腺がんと診断された子どもへ療養費給付
【放射能からこどもを守ろう関東ネット】 子どもを守るための実際的な活動
「3.11後の子どもと健康~保健室と地域に何ができるか~」 713円
         (岩波ブックレット 大谷尚子・白石草・吉田由布子 共著)

自治会住民が団地内の公園を除染

衆議院議員候補者に必死のアピール

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9月2日(土)定例お茶会「自主避難の実状について」のご案内

9月の定例お茶会は「自主避難」(実際は福島原発事故により子供の被ばくを避けるため避難を余儀なくされた方たち)の実状について、避難者の自助組織であるNPO法人「ココロとカラダを育てるハッピープロジェクト」の代表理事ましこりかさんをお迎えし、お話しいただきます。今年の3月で住宅支援も打ち切られました。加害者である東電と国は全く責任を取っていません。私たちにできることは? お話を聞いて一緒に考えましょう。

と き:9月2日(土)10時~12時

ところ:ハカルワカル広場

講 師:ましこりかさん

  • NPO法人ココロとカラダを育てるハッピープロジェクト代表理事
  • つながろう!放射能から避難したママネット代表

暑い中ですが、ぜひご参加ください!

ハカルワカル広場

チラシ:自主避難の実状について.pdf

夏休みと8月お茶会休会のお知らせ

ハカルワカル広場からのお知らせです。

8月11日(金)から8月21日(月)まで夏休みとさせていただきます。また8月はお茶会もお休みとさせていただきます。ご了承くださいませ。

9月のお茶会は9月2日(土)10時から12時、「自主避難の実状について」、ココカラハッピーのましこりかさんにご講演いただきます。皆様のご参加をお待ちしております。

暑い日が続きます。今年は特に酷暑のようです。皆様のご自愛をお祈りいたしております。

ハカルワカル広場

7月1日(土)のお茶会のご案内

7月の定例お茶会は7月1日(土)10時~12時で開催いたします。「関東の放射能ホットスポットに暮らす」のテーマで、会員の柳澤典子さんに講演をいただきます。

栁澤さんは関東でホットスポットとなった柏市で、除染などに積極的に取り組まれました。また、子供たちの健康を守るためにエコー検査などにも取り組まれました。その際の市と親たちのコラボの実態についてもお話しいただきます。

国は福島以外の関東の汚染については無視しています。「関東の放射線管理区域なみの汚染地区に暮らすということはどういうことなのか?」を中心に、実際に取り組まれたことをお話しいただきます。

ぜひ、ご参加くださいませ。

チラシpdf

ハカルワカル広場

 

ハカルワカル未来チャンネル

ハカルワカル広場では、「ハカルワカル未来チャンネル」というyoutubeでの配信を行っています。

このページ から登録できますので、是非登録をよろしくお願いします。

月一回程度の配信を目指しています。放射能測定データの解説を含め、様々な情報を発信をしていきたいと考えています。

「いいビデオを撮影したので是非紹介して欲しい」
というようなことがありましたら、是非ご連絡ください。

ビデオ撮影・編集など、得意な人がいましたら、是非ボランティアよろしくお願いします。
連絡は hachisoku.jimukyoku@gmail.com までおねがいします。

公開済ビデオ

ハカルワカル未来チャンネル2018年3月号 (全画面表示

ハカルワカル未来チャンネル11月号 – 1 (全画面表示

今までに配信した分のリストをここに書いておきます。

ハカってワカった話21号 19000Bq/kgの衝撃

19000Bq/kgの衝撃

二宮 志郎

原発推進の政府が躍起になって福島事故を終わったものにしようとしても、物理法則まで変えることはできません。6年前にセシウム137が1万ベクレルあったなら、今でも8700ベクレルは残っています。半減期が30年である以上、これはどうにもなりません。そして、物質は移動させることはできても消滅させることはできません。もし移動が起こらなければ、6年前も今もたいして変わらない量のセシウム137がそこには存在しているはずです。

1万Bq/kg程度の土が八王子のどこかの雨樋の下に今も放射線を出しながら存在しているということは十分想像の及ぶ範囲で、ハカルワカルのスタッフならさほど驚くことはないでしょう。

しかし、3月の測定値で以下の数字を見た時は、我が目を疑い、何か誤測定?と思ってしまいました。
Cs137: 16600Bq/kg, Cs134: 2790Bq/kg
合わせて19000Bq/kgを越えるこの数字は、この6年間の測定活動の中でもまだ一度も見たことのない大きな数字です。

この662keVがすさまじくするどいピークを示すスペクトルが2万ベクレルの猛烈さを物語っています。最近では検出が難しいことが多いCs134の796keVのピークも十分にはっきりわかります。

高汚染の理由は?

  • ? 雨水を集める屋根面積が大きい等の高濃縮の条件がある
  • ? 雨樋下が窪地状になっていて表土が流出しにくい

おそらく上のような状況下にあり、6年前にかなり高濃度に汚染されたものがそのまま残っていたのでしょう。

さらに、わずかずつでしょうが、再浮遊・再降下で循環するセシウムを集積し続けて、初期の高濃度汚染に積み上げたのでしょう。

こういう場所がいったいどのくらい残されているのでしょうか。想像するしかないですが、雨樋の下という場所は家の数よりずっと多いわけですから、かなりたくさんあっても不思議ではないでしょう。

もっと高汚染地域なら

八王子で高い汚染値が出た時、「八王子ですら‥」ということがいつも頭をよぎります。八王子の10倍程度汚染された地域なら、20万Bq/kgがあっても不思議ではない、100倍程度汚染された地域なら200万Bq/kgがあっても不思議ではない。そういう場所はより丁寧に除染をやっているとは言っても、除染もれは必ずあるでしょう。そういう環境の中で生活する不安はいかほどのものなんでしょうか。福島事故の影響だけでなく、チェルノブイリの影響も、核実験の影響も、どこかで今日も残り続けているわけです。

「核エネルギーと縁を切る」それ以外にないという結論はもう出ていると思うのですが。

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広場だより21号 巻頭寄稿文 森とキノコと放射能

森とキノコと放射能

維持会員 長谷川 明

 福島原発事故から6年、放射性セシウムはハカルワカルの測定結果を見ても土以外はあまり検出されなくなった。その中で、時々検出されるのが山菜の一部と野生のキノコである。キノコは森の生き物。森は国土の6割を占め、多くの放射性セシウムも森にある。初めは落葉層と腐葉土の多い土壌表層に留まり、徐々にマイナスイオンを持つ粘土鉱物の多い層へと移動し結びついて固定すると思われていたが、実際は落葉層と土壌表層に留まっていた。

なぜ落葉と粘土鉱物の少ない土壌表層部に動かず存在するのか。これは森林の物質循環に放射性セシウムが取り込まれたためと言われている。この物質循環の分解を担っているのがキノコである。ではキノコはどんな生き物か、何をしているのだろうか。植物は根から無機物を取りこみ、葉は光合成を行い、枝はその葉を支え、その先に花や果実をつくる。キノコを植物に例えると、根の様に見える菌糸は根や枝や葉の役割をしている。キノコは花や果実に相当する。つまり菌糸がキノコの本体である。菌糸の径は植物の根の1/10と細い。体外消化という方法で有機物を分解・吸収するキノコにとって細いということは外界との接触面積が大きく有利である。そのうえ、細胞は長く連なり、網の目の様に縦横無尽に張り巡らせることで、さらに効率よく取り込んでいる。その規模は我々の想像を超えている。

1992年にミシガン州の山間でのナラタケの菌床では約15万平方メートルにわたって広がり、山一つ覆い尽くすほどの大きさがあり推定重量は約100tだと言う。キノコの菌糸コロニーはこのように森林の地下に広がり森の物質循環の分解を担っている。

そのキノコの生き方は、落葉や枯死木、動物の排泄物や死骸などを分解して栄養源としたり生きた植物から養分を得て、植物には水分、窒素、リン、カリ、カルシウム、マグネシウムなどの無機物を供給している。とくに窒素、リン、カリは多量要素といい植物に多量に要求される要素である。そのうちのカリはセシウムと化学的に同じアルカリ金属のため区別せず放射性セシウムを取り込んでしまう。その取り込み方は隈なく張り巡らされた細い菌糸によって効率よく集めるのである。そのほか植物の成長促進、病原菌の侵入阻止、窒素およびリン酸吸収の促進、植物への重金属の吸収を抑制などを行っている。

その棲み家としているところは有機物の多い落葉層や土壌表層部である。種によって落葉を好むもの、分解の進んだ有機層を好むものそれぞれだが、その好むところに一様に菌糸を張り巡らせコロニーを形成している。放射性セシウムもまた同じ所に留まっている。それは、たまたま菌糸と放射性セシウムが出合わせたのではなく、菌糸が放射性セシウムを取り込んだのである。チェルノブイリ原発事故後の研究でキノコの生息域の土壌中では放射性セシウムの30%から40%が菌糸によって保持されていることが明らかになっている。森林の地下には目には見えない菌糸の森が広がっている。その菌糸が放射性セシウムを保持している。こうして、放射性セシウムは森の中に留まっている。

富士山のキノコと放射性セシウム

134の実測値から福島由来の137の値を計算すると

発表日(月/日/年) 品目 採取地点 Cs137 Cs134 Cs計(Bq/kg) Cs137の計算値 Cs134実測値
10/25/12 シロナメツムタケ 河口湖町 104 54.8 160 92 54.8
10/25/12 アカモミタケ 富士吉田市 108 39.8 150 67 39.8
10/25/12 カヤタケ 富士吉田市 89.6 48.8 140 82 48.8
10/25/12 キヌメリガサ 富士吉田市 246 97.9 340 164 97.9
10/25/12 チャナメツムタケ 富士吉田市 91.4 56.4 150 94 56.4

山梨県衛生環境研究所による検査(Ge)

測定日(月/日/年) 品目 採取地点 Cs137 Cs134 Cs計(Bq/kg) Cs137の計算値 Cs134実測値
9/10/12 イロガワリシロハツ 富士山奥庭 90 19.28 109 32 19.2
9/9/12 キハダチチタケ 富士山奥庭 170 42.8 213 72 42.8
9/9/12 トビチャチチタケ 富士山奥庭 118 72.6 191 122 72.6

八王子市民放射能測定室による検査(Nal)

福島事故の放射性セシウム137と134は1対1の割合で放出された。放射性セシウム137の半減期は30年、放射性セシウム134の半減期は2年であるから、2012年10月頃の割合を計算すると約1対0.6となる。これを基に放射性セシウム134の実測値に合わせて放射性セシウム137の値を計算すると明らかに実測値と差の大きいものがある。河口湖での放射性セシウム137の実測値と計算値はキヌメリガサ以外はほぼ同じとなる。従ってそれらは福島由来の影響によるものと思われる。同じように奥庭の実測値と計算値を比較すると、イロガワリシロハツ、キハダチチタケは実測値が計算値より2~3倍高く検出されている。それは福島事故だけでなくチェルノブイリ事故、大気圏核実験の影響が残っていた分があるため、放射性セシウム137の値が高くなっていたと考えられる。標高の高い奥庭がその影響は大きかったと思われる。しかし、富士山の奥庭は溶岩の上に苔と薄い腐葉土だけが広がる森林で土らしいものはほとんど無い。したがって森に降下した放射性セシウムと結びつく粘土鉱物も少ない。長く留まることは無いと思われるがチェルノブイリ事故から30年経った今でも留まっていることになる。何故だろうか。チェルノブイリ原発事故後の研究でキノコの生息域の土壌中に放射性セシウムの30から40%が地中の菌糸によって保持されていると言われているがそのことを物語っているのではないだろうか。

(詳しくはこちらをご覧ください。https://goo.gl/4E4WmE )

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

6月3日(土)「シェーナウの想い」映画会@お茶会のお誘い

「シェーナウの想い」映画会@お茶会

日時:6月3日(土)10:00~12:00
場所:ハカルワカル広場

10:00 測定のまとめ
「シェーナウの想い」映画会 製作年:2008年 上映時間:60分
原子力に反対する100 の十分な理由 勉強会
12:00 終了

この映画は、ドイツ南西部、黒い森の中にある小さなまちシェーナウ市の住民グループが、チェルノブイリ原発事故をきっかけに「自然エネルギー社会を子どもたちに」という想いから、ドイツ史上初の「市民の市民による市民のための」電力供給会社を誕生させるまでの軌跡を綴るドキュメンタリーです。

シェーナウ電力会社が原子力エネルギーの危険性を訴えた冊子「原子力に反対する100の十分な理由」を作り、日本人にも原発の危険性について知ってほしいとの思いから日本語版を制作しました。
映画会の後、この日本語版をみなさんと学習したいと思います。
冊子「原子力に反対する100の十分な理由」日本語版URL

チラシpdf