北茨城市で一時的な高線量が確認された件について

二宮さんに、質問です。

先月、北茨城市で毎時7マイクロシーベルトの高線量が検出されたそうです。
http://www.city-kitaibaraki.jp/modules/info/index.php?content_id=716

市の発表によると、工場で放射線を用いた非破壊検査が行われていたため、ということですが、
そんなことが実際あり得るものなのでしょうか?
これが事実だとすると、僕たちは普段から身を守るために線量計を持ち歩かなければなりません。

そもそも、市と原子力規制庁が、7月12日に走行サーベイを実施して、異常に高い線量を計測していながら、
それを、12日も後の7月24日に確認した、というところが、規制庁の無能さを露呈しています。

ハカってワカった話6号 驚くような測定データはもうない、室内のほこり

驚くような測定データはもうない、室内のほこり

二宮 志郎

5月1日~7月24日 測定結果

検体種類 検体数 Cs137 Cs134
土・砂 78 68 68
土混じり植物 3 3 2
土・その他 6 5 5
泥、泥水 6 6 6
池水、川水 0 0 0
雨水・雪 0 0 0
水・その他 3 0 0
葉菜 16 1 0
根菜 10 0 0
果実・果菜 37 1 0
穀類 22 1 0
きのこ類 17 13 9
魚介類 1 0 0
肉類 1 0 0
卵類 0 0 0
水産加工品 5 0 0
肉類加工品 0 0 0
野菜・果実類加工品 9 0 0
穀類加工品 9 0 0
飲料 3 0 0
食品混合 1 0 0
茶葉 8 1 1
ペットフード 1 0 0
芽・茎野菜 12 2 0
海草類 0 0 0
食品・その他 2 0 0
植物葉 11 2 2
植物茎・枝 0 0 0
植物根 0 0 0
木質ペレット 0 0 0
植物・その他 2 1 1
2 2 2
1 1 0
その他 9 4 5
総計 275 112 101

【驚くような測定データはもうない】

今回集計したデータを見ると、土・落ち葉関連以外で検出されているのはきのこ類がほとんどです。サニーレタスでわずかに検出されていますが、これは土がたくさんこびりついていたようなのでその影響が大きかったように思えます。町田産のレモンから微量にCs137のみが検出されていますが、これは「柑橘類要注意」と前から言っていたものの現れでしょう。それでも1検体だけでした。

日光産の白米から微量のCs137が検出されていますが、これは誤検出にすべきかどうか悩むレベルで、はっきり検出とは断定できないものでした。筍から2検体検出が出ています。「筍だからしょうがない」というのもなんですが、筍から微量に検出されるのはある程度予想されています。

7検体測定している筍のうち2検体から検出値が出ているというのも、第5号で「約1/4の筍検体から検出値が出ている」と報告した内容に合っています。

「植物葉・植物その他」で出ているのは、落ち葉や苔などで、これらは土に準じて当然のように検出されます。

「灰・炭」も普通の木材からかなりの濃縮が入るので出てきます。

「その他」に分類されているもので検出されているのは、ほとんどが掃除機のゴミです。これも出てくることはわかっているのですが、未だにやや大き目の数値が出るのがちょっと気にかかるところです。

以上、全体を見渡してさほど驚くようなデータはありません。それだけ私達が汚染状況を把握していて、それに見合う内容が測定結果として出てきていると言えます。

【室内のホコリ】

八王子の掃除機のゴミから300Bq/kgを越える数値が検出されています。一般的な土のレベルと同じレベルですが、「それがホコリになって家のなかに溜まるものだろうか?」という点を少し考えてみたいと思います。

厚生労働省のホームページで「建築物環境衛生管理基準」を調べると「浮遊粉塵の量は0.15mg/m3以下」というのがあります。この基準が守られていると仮定しましょう。家の中の空気は建築基準法では1時間あたり0.5回は入れ替わるように換気設備が義務付けられています。この0.5回が一日中守られていると仮定します。床面積100m2で天井高2mの家であれば、200m3の空気が家の中にあり、それが上記仮定によれば一日に12回入れ替わるということになります。

そうすると家の中に外から入ってくる空気は一日あたり2,400m3となります。0.15mg/m3と仮定した浮遊粉塵のうち何割くらいが外からの土埃になるのか、そしてその何割が静電気で家の中のものにくっついたり、重さで床に積もったりするのか? ここのところがいろいろ調べてもなかなかわかりません。掃除機メーカーホームページには「繊維ごみ〈綿、紙、毛髪等〉1/3質量、砂ごみ2/3質量」というのを試験ゴミとして使っているという情報があったのを参考に、思い切った仮定をすることにして、浮遊粉塵の6割が土埃でそのまた半分が家の中に溜まるとしましょう。そうすると3割がどんどん溜まっていくことになります。

一日で溜まる量は、

2400×0.15×0.3=108mg

となります。100g溜まるのに必要な期間は約2年半ということになります。大まかな目処に過ぎませんが、こういう感じで家の中に外からの土埃を溜めているということでしょう。

ちなみに、0.15mg/m3の空気を1時間に1/m3(かなり激しい呼吸の量)で1年間吸い続けると1.3gになります。300Bq/kgのホコリだとすると、肺に入れる量は4Bq/年程度です。これがプルトニウムならかなり気になる量ですが、セシウムの場合はほとんど気にしなくてもいいレベルと言えるでしょう。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

広場だより6号 巻頭寄稿文 「ハカってワカろう、親子放射能測定体験」報告

「ハカってワカろう、親子放射能測定体験」報告

ハカルワカルが野外に飛び出した!

火曜日測定リーダー 佐々木晃介

 今回の親子体験は、子供たちに放射能汚染の実態を、自分で実際に測ることによって、机上ではなく、野外で体験してもらいたいと企画したものです。参加の親子、場所を提供してくださった維持会員、ハカルワカルのボランティアのコラボで実現できました。ハカルワカルはこのような活動をしていく使命もあると思っています(以下報告)。

 さて、測定フィールドは京王八王子から歩いて30分のお寺。浅川大橋から北に目を遣ると目的地の赤い瓦の大屋根が見える。境内から南の方に目を転じると眼下に八王子の街並みが一望できる素晴らしい場所だ。気温はぐんぐん上がって来ているが、曇り空で助かる。熱中症にならないように参加者に声かけしよう。

親子野外測定体験   二宮さんの放射線の説明、セシウムのガンマ線の話、測定器の簡単な説明

*日時:7月6日(土)9:00~11:30 天気晴れ
*参加者:家族、子供 5人+(学齢以下2人)、大人 9人、スタッフ10人、の計26人
*班分け:AチームとBチームの2班に分かれて測定
*測定:子供達に測定器で自主測定と記録。約1時間
*Aチーム測定器:テクノエーピーTC200S/Bチーム測定器:テクノエーピーTC300S
*A班16カ所、B班14カ所、計30カ所
*発 表:AチームとBチームに分かれて子供たちが発表

?二宮さんの解説

 雨どいの下など、一度除染は済ませているのに、再度また濃縮してしまっているのがわかります。本堂階段下は、気が付きにくいホットスポットでした。雨水の流れ跡を注意深く観察すれば多少は察しがついたかもしれませんが、測ってみないとなかなか気が付きにくい場所だと言えるでしょう。

 0.05〜0.08μSv/h程度の範囲が一般的な場所と思われる汚染値で、一部御影石の影響と思われる高い数字もありますが、ほとんどの高い数値は福島原発事故由来のセシウムの影響だと言えるでしょう。

 参加した子供たちにまとめ表作り、測定結果の発表などを実際にやってもらうことができたのがとてもよかったです。(注:この本堂下のホットスポットは2374ベクレル/kg でした)

 ここで興味をもってくれた子どもたちが、「これらの数字の持つ意味をもう少し深く理解したい」と思ってくれれば、今回の成果は非常に大きいでしょう。

?参加者とスタッフのコメント

☀小学5年生 参加者:
 自分が気になったところを、沢山の人と一緒に測れておもしろかった。またやってみたいです。

☀参加者:
 測定会の様子をみていたご近所さんと、放射能について話すき っかけになりました。『皆で堂々と楽しく測る』のが良かったようです。

☀スタッフ:
 大人も子供も、興味津々で測る様子が良かったです。何度か経験する内に高い場所が予想できて、そこに近づかなくなることでしょう。初回としては大成功!

☀スタッフ:
 測定をはじめてすぐにこの企画はいいと感じました。測定器の 性能もいいのですぐに測定できる。お寺の敷地内の広さも丁度良く測定したい場所もたくさんある。測定、記録、自前の測定器との測定値の比較は子供だけでなく、大人も十分楽しめる。次回はもっと多くの人の参加を!

 もっとたくさんの子どもたちに参加してもらえるイベントを目指して、また第二回目を企画したいと思っていますのでみなさんよろしくお願いします。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

初めての測定ボランティア

本日、初めてボランティア研修を受けさせていただきました。自分の家の庭土の測定もしてみました。震災後に建てた家だったので、まさか検出されないだろうと高をくくっていましたが、結果は57Bq検出されました。八王子の土にしては低い値でしたが、原発事故がなければ検出されるはずのない放射能だと、思うと安心などしていられない数値でした。でもこれからもっと放射能のことを勉強し、正確な情報を知りたいなと思うようになりました。

2013070415450000

震災前の人工放射線核種を知る為の資料ご紹介

震災前にはどれだけ放射性物質があったのか?
などとご質問を頂くことがございますので
参考までに震災前の情報のリンクを置いておきます。

−農環研における放射能モニタリング−
http://www.niaes.affrc.go.jp/topics/radioactivity.html

●わが国の米、小麦および土壌における90Sr と137Cs 濃度の長期モニタリングと変動解析(PDF)
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010724549.pdf

●主要穀物に含まれる人工放射性核種
137Cs(セシウム137)および90Sr(ストロンチウム90)の
経年評価あり、単位がmBq/kgなので、見る時にはお気をつけ下さい。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/pdf/seika06_63.pdf

などがあり、勉強になります。

その他、黄砂とともに飛来する放射性セシウム( 137Cs ) なども情報も
興味深いので、お時間のある方は是非どうぞ。

 

ハカってワカった話5号 引き続き測定依頼減少傾向、筍、土壌汚染、新茶

引き続き測定依頼減少傾向、筍、土壌汚染、新茶

二宮 志郎

2013年2月1日~5月1日測定結果

測定データの集計表は2月~4月分になります。測定結果一覧表には、500Bq/kg以下の土関連の測定値は載せていません。

検体種類 検体数 Cs137 Cs134
土・砂 85 79 77
土混じり植物 8 8 8
土・その他 1 1 1
泥、泥水 0 0 0
池水、川水 0 0 0
雨水・雪 1 0 0
水・その他 2 0 0
葉菜 13 2 1
根菜 6 1 2
果実・果菜 10 3 3
穀類 39 1 0
きのこ類 13 10 8
魚介類 5 0 0
肉類 0 0 0
卵類 0 0 0
水産加工品 2 0 0
肉類加工品 0 0 0
野菜・果実類加工品 2 0 0
穀類加工品 11 0 0
飲料 5 0 0
食品混合 0 0 0
茶葉 10 6 4
ペットフード 0 0 0
芽・茎野菜 18 4 1
海草類 1 0 0
食品・その他 3 0 0
植物葉 7 2 2
植物茎・枝 1 0 0
植物根 0 0 0
木質ペレット 0 0 0
植物・その他 0 0 0
4 4 3
3 3 3
その他 8 6 6
総計 258 130 119

【引き続き測定依頼減少傾向】

3ヶ月間、5検体/日で1 ヶ月に20日運営したら、300検体測定できます。今回の表にある総検体数の258はそれをかなり下回ります。それだけ予約が埋まらなかったということを意味しています。この間、無料キャンペーンをしたり、新聞折込広告を入れたり、いろいろと測定依頼減少傾向に歯止めをかける努力をしているのですが、状況はそう簡単には改善できないようです。

「測定」を軸にして活動している測定室だけに、測定依頼が減ってきても何らかの形で測定活動が維持できるように努めたいと思っています。もちろん、測定以外の活動面でもいろいろ工夫していくつもりです。読者のみなさんも是非ご協力をよろしくおねがいします。

【1年前と比較】

「ハカルワカル広場だより」も2年目に入りましたから、昨年のデータと比較ができるようになってきました。もし第一号をまだ手元にお持ちの方は、第一回の「ハカってワカった話」に出ている集計表と見比べてみてください。

「果実」の項目では、去年の集計表では18検体測定中Cs137の検出が14検体です。一方今回の表では10検体中3検体です。柑橘類からの検出はかなり減ってきている感じがしていたのですが、こうやって比べてみればはっきりそれを確認することができます。

【今年産の筍はどうか】

気になる筍ですが、2013年産のものは今までに16検体測りました。そのうち検出されたのは4検体です。昨年は25検体測定したうち14検体から検出されていますから、去年に比べて今年の検出率は半分くらいに落ちている感じです。今年の測定では、Cs134が微量すぎて限界値以下になってしまいCs137のみが検出されるという場合が多くなっています。

八王子産の最高値は去年も今年もそれほど変わっていない点が少し気がかりなのですが、かなりの数の筍が不検出のレベルまで下がってくれて来たことはいいニュースと言えるでしょう。

比較データを詳しく見たい人がインターネットで次のページを参照ください。 http://goo.gl/PuL3N

【減らない土壌汚染】

今回集計した259検体中、土・砂の分類に属するのは85 検体、その中でCs137が検出された数は79になっています。この79検体のCs137検出値の平均は270Bq/kgです。

2012年中には1293検体を測定していて、そのうち土・砂分類は267検体、Cs137検出は246検体で、その検出値平均は288Bq/kgです。

福島の土、九州の土、北海道の土、ホームセンター購入の土、ホットスポットの土などいろいろな土を測っているので、場所や条件を限定したデータをまず選択してから統計をとるべきなんですが、大半が八王子近辺の土なので平均値にはそれが強く出ていると考えていいでしょう。Cs137の検出値に関しては去年も今年もほとんど変わっていないことを示す結果になっています。

この減らない土壌汚染をもう少し計画的に調べ上げてマッピングしてくプロジェクトがハカルワカル広場の一つのプロジェクトとして始まっています。このプロジェクトを継続していけばもっと正確に土壌汚染の分布や減少具合を報告できるようになると期待しています。

【新茶の季節】

八十八夜も過ぎて、新茶がおいしい時期でしょうか。「検査して基準値以下を確認している」と言われても、「どのくらいの計測値」だったのかをちゃんと公表して欲しいものです。「お湯で出したお茶の状態で何ベクレル」ということよりも、「自分の体の中に何ベクレル入れるのか」ということを考えて判断するのが賢明だと思います。コーヒ派の人と日本茶派の人では一杯のお茶をどう見るかという見方も変わっていて当然です。

今回の集計結果の中に茶葉の分類は10検体ありそのうち6検体から検出されています。この中にはほとんど今年産新茶は含まれていません。新茶の測定はこれからになってきます。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

広場だより5号 巻頭寄稿文 測定室の活動報告(2013年2月~4月)

測定室の活動報告(2013年2月~4月)

西田 照子

「春のキャンペーン」実施中です!

昨年1月にオープンしてから1年余。測定室も活動2年目を迎えました。自民党政権が昨年12月に誕生し、世の中はアベノミクス一色に染まり、原発事故などなかったかのようです。その余波を受けたのか、今年に入って測定依頼が激減。ハカルワカルも苦境に立たされました。子供たちを内部被ばくから守りたいとの思いで立ち上げたのですから、測定依頼を受け測定し、その結果をHPで公表することが私たちの使命です。無い知恵を絞って、様々な企画をしています。現在は5月18日まで食材に限り、500円で測定する「春のキャンペーン」中です。皆様、どうぞこの機会に測定においでください!

土壌の自主測定を始めます

かねてから市内の公園などをベクレル値で測定し、記録しておきたいと願っていましたが、そのプロジェクトを立ち上げました。「八王子・こどもの未来を守る会」の協力を得て市内の公園などを測定し、数年間にわたって記録を続けます。「守る会」との共同プロジェクトです。福一からの放射性核種が飛散し、降下した後の実態を記録する企画です。
粘り強く取り組んでいきます。

ハカルワカル映画会を始めました!

市民の皆様に、測定室に足を運んでいただきたいと、ハカルワカル映画会を始めました。放射能、原発をテーマに2ヶ月に1回のペースで、映画会を開催します。場所はハカルワカル広場で、入場料500円です。第1回は鎌仲ひとみ監督「内部被ばくを生き抜く」でした。終了後、内部被ばくや八王子の汚染の実態について熱心な質疑応答。二宮さんが解説を担当し、ハカルワカルらしい学習付映画会と大変好評でした!

第2回は「福島 六ヶ所 未来への伝言」(島田 恵監督)です。ご期待ください!

維持会員の更新をお願いします!

ハカルワカル広場も2年目を迎え、維持会員の皆様に更新をお願いしております。公的な助成を一切受けておらず、市民の皆様の草の根の会費で維持、運営しています。だからこそ、一切の拘束を受けず、測定結果をHPで、公表できます。市民(八王子市民という意味ではありません)が測定室を持つ意味は政府の発表を検証し、メーカーを監視する為にも大変大きいと信じています。更新を切にお願いいたします。また、新規会員のご紹介も合わせてご協力ください!

これからもハカルワカル広場は様々な企画をし、活動を充実させて行きます。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

TC300S, TC200S を購入しました

測定室でテクノエーピーのTC300S, TC200Sを購入しました。

これから貸し出しルールを決めて希望者には貸し出しできるようにする予定です。
高価な測定器なので借用書のようなものをきっちり書いてもらってから貸し出しということになると思います。

次回の測定室お茶会(5月11日)に、使い方研修をやるつもりでいますので、興味のある方は是非この日にお越しください。