ハカってワカった話6号 驚くような測定データはもうない、室内のほこり

驚くような測定データはもうない、室内のほこり

二宮 志郎

5月1日~7月24日 測定結果

検体種類 検体数 Cs137 Cs134
土・砂 78 68 68
土混じり植物 3 3 2
土・その他 6 5 5
泥、泥水 6 6 6
池水、川水 0 0 0
雨水・雪 0 0 0
水・その他 3 0 0
葉菜 16 1 0
根菜 10 0 0
果実・果菜 37 1 0
穀類 22 1 0
きのこ類 17 13 9
魚介類 1 0 0
肉類 1 0 0
卵類 0 0 0
水産加工品 5 0 0
肉類加工品 0 0 0
野菜・果実類加工品 9 0 0
穀類加工品 9 0 0
飲料 3 0 0
食品混合 1 0 0
茶葉 8 1 1
ペットフード 1 0 0
芽・茎野菜 12 2 0
海草類 0 0 0
食品・その他 2 0 0
植物葉 11 2 2
植物茎・枝 0 0 0
植物根 0 0 0
木質ペレット 0 0 0
植物・その他 2 1 1
2 2 2
1 1 0
その他 9 4 5
総計 275 112 101

【驚くような測定データはもうない】

今回集計したデータを見ると、土・落ち葉関連以外で検出されているのはきのこ類がほとんどです。サニーレタスでわずかに検出されていますが、これは土がたくさんこびりついていたようなのでその影響が大きかったように思えます。町田産のレモンから微量にCs137のみが検出されていますが、これは「柑橘類要注意」と前から言っていたものの現れでしょう。それでも1検体だけでした。

日光産の白米から微量のCs137が検出されていますが、これは誤検出にすべきかどうか悩むレベルで、はっきり検出とは断定できないものでした。筍から2検体検出が出ています。「筍だからしょうがない」というのもなんですが、筍から微量に検出されるのはある程度予想されています。

7検体測定している筍のうち2検体から検出値が出ているというのも、第5号で「約1/4の筍検体から検出値が出ている」と報告した内容に合っています。

「植物葉・植物その他」で出ているのは、落ち葉や苔などで、これらは土に準じて当然のように検出されます。

「灰・炭」も普通の木材からかなりの濃縮が入るので出てきます。

「その他」に分類されているもので検出されているのは、ほとんどが掃除機のゴミです。これも出てくることはわかっているのですが、未だにやや大き目の数値が出るのがちょっと気にかかるところです。

以上、全体を見渡してさほど驚くようなデータはありません。それだけ私達が汚染状況を把握していて、それに見合う内容が測定結果として出てきていると言えます。

【室内のホコリ】

八王子の掃除機のゴミから300Bq/kgを越える数値が検出されています。一般的な土のレベルと同じレベルですが、「それがホコリになって家のなかに溜まるものだろうか?」という点を少し考えてみたいと思います。

厚生労働省のホームページで「建築物環境衛生管理基準」を調べると「浮遊粉塵の量は0.15mg/m3以下」というのがあります。この基準が守られていると仮定しましょう。家の中の空気は建築基準法では1時間あたり0.5回は入れ替わるように換気設備が義務付けられています。この0.5回が一日中守られていると仮定します。床面積100m2で天井高2mの家であれば、200m3の空気が家の中にあり、それが上記仮定によれば一日に12回入れ替わるということになります。

そうすると家の中に外から入ってくる空気は一日あたり2,400m3となります。0.15mg/m3と仮定した浮遊粉塵のうち何割くらいが外からの土埃になるのか、そしてその何割が静電気で家の中のものにくっついたり、重さで床に積もったりするのか? ここのところがいろいろ調べてもなかなかわかりません。掃除機メーカーホームページには「繊維ごみ〈綿、紙、毛髪等〉1/3質量、砂ごみ2/3質量」というのを試験ゴミとして使っているという情報があったのを参考に、思い切った仮定をすることにして、浮遊粉塵の6割が土埃でそのまた半分が家の中に溜まるとしましょう。そうすると3割がどんどん溜まっていくことになります。

一日で溜まる量は、

2400×0.15×0.3=108mg

となります。100g溜まるのに必要な期間は約2年半ということになります。大まかな目処に過ぎませんが、こういう感じで家の中に外からの土埃を溜めているということでしょう。

ちなみに、0.15mg/m3の空気を1時間に1/m3(かなり激しい呼吸の量)で1年間吸い続けると1.3gになります。300Bq/kgのホコリだとすると、肺に入れる量は4Bq/年程度です。これがプルトニウムならかなり気になる量ですが、セシウムの場合はほとんど気にしなくてもいいレベルと言えるでしょう。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

広場だより6号 巻頭寄稿文 「ハカってワカろう、親子放射能測定体験」報告

「ハカってワカろう、親子放射能測定体験」報告

ハカルワカルが野外に飛び出した!

火曜日測定リーダー 佐々木晃介

 今回の親子体験は、子供たちに放射能汚染の実態を、自分で実際に測ることによって、机上ではなく、野外で体験してもらいたいと企画したものです。参加の親子、場所を提供してくださった維持会員、ハカルワカルのボランティアのコラボで実現できました。ハカルワカルはこのような活動をしていく使命もあると思っています(以下報告)。

 さて、測定フィールドは京王八王子から歩いて30分のお寺。浅川大橋から北に目を遣ると目的地の赤い瓦の大屋根が見える。境内から南の方に目を転じると眼下に八王子の街並みが一望できる素晴らしい場所だ。気温はぐんぐん上がって来ているが、曇り空で助かる。熱中症にならないように参加者に声かけしよう。

親子野外測定体験   二宮さんの放射線の説明、セシウムのガンマ線の話、測定器の簡単な説明

*日時:7月6日(土)9:00~11:30 天気晴れ
*参加者:家族、子供 5人+(学齢以下2人)、大人 9人、スタッフ10人、の計26人
*班分け:AチームとBチームの2班に分かれて測定
*測定:子供達に測定器で自主測定と記録。約1時間
*Aチーム測定器:テクノエーピーTC200S/Bチーム測定器:テクノエーピーTC300S
*A班16カ所、B班14カ所、計30カ所
*発 表:AチームとBチームに分かれて子供たちが発表

?二宮さんの解説

 雨どいの下など、一度除染は済ませているのに、再度また濃縮してしまっているのがわかります。本堂階段下は、気が付きにくいホットスポットでした。雨水の流れ跡を注意深く観察すれば多少は察しがついたかもしれませんが、測ってみないとなかなか気が付きにくい場所だと言えるでしょう。

 0.05〜0.08μSv/h程度の範囲が一般的な場所と思われる汚染値で、一部御影石の影響と思われる高い数字もありますが、ほとんどの高い数値は福島原発事故由来のセシウムの影響だと言えるでしょう。

 参加した子供たちにまとめ表作り、測定結果の発表などを実際にやってもらうことができたのがとてもよかったです。(注:この本堂下のホットスポットは2374ベクレル/kg でした)

 ここで興味をもってくれた子どもたちが、「これらの数字の持つ意味をもう少し深く理解したい」と思ってくれれば、今回の成果は非常に大きいでしょう。

?参加者とスタッフのコメント

☀小学5年生 参加者:
 自分が気になったところを、沢山の人と一緒に測れておもしろかった。またやってみたいです。

☀参加者:
 測定会の様子をみていたご近所さんと、放射能について話すき っかけになりました。『皆で堂々と楽しく測る』のが良かったようです。

☀スタッフ:
 大人も子供も、興味津々で測る様子が良かったです。何度か経験する内に高い場所が予想できて、そこに近づかなくなることでしょう。初回としては大成功!

☀スタッフ:
 測定をはじめてすぐにこの企画はいいと感じました。測定器の 性能もいいのですぐに測定できる。お寺の敷地内の広さも丁度良く測定したい場所もたくさんある。測定、記録、自前の測定器との測定値の比較は子供だけでなく、大人も十分楽しめる。次回はもっと多くの人の参加を!

 もっとたくさんの子どもたちに参加してもらえるイベントを目指して、また第二回目を企画したいと思っていますのでみなさんよろしくお願いします。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

原子力資料情報室からの情報

鵜飼です。

今日、原子力資料情報室から届いたメールマガジンの中に、
皆さんと共有した方が良いと思った情報があったので、
転載しておきます。

でも、「反原発へのいやがらせの歴史」を展示するって、凄いなあ。
過去にそんなことがあったなんて全然知らなかった無知の自分としては、
反省の意味もあり、是非、見に行きたいと思っています。

以下、「原子力情報宅配便“CNIC EXPRESS”[0215]」より転載。

────────────────────────────
■[2] イベント案内
────────────────────────────
□8/2 ウラン採掘の現場から~核被害のはじまり
-アメリカ先住民は訴える~

日 時 8月2日(金)  18:30~20:30(開場18:00)
会 場 連合会館 501会議室(東京都千代田区神田駿河台3-2-11)
資料代 500円
講 師 レオナ・モルガンさん
通 訳 振津かつみ(医師/ヒバク反対キャンペーン)
主 催 原水爆禁止日本国民会議/ヒバク反対キャンペーン
/特定非営利活動法人原子力資料情報室
連絡先 原子力資料情報室(東京都新宿区住吉町8番5号 曙橋コーポ2階B

TEL.03-3357-3800/FAX.03-3357-3801/[E-Mail] cnic@nifty.com )

核開発過程のはじまりにあるウラン採掘。軍事利用、「平和利用(商業
利用)」にかかわらず、採掘現場での被曝労働と環境への放射能汚染が
核開発の前提となっています。

ウラン採掘の多くは先住民の住む土地で行われています。先住民は低
賃金で被曝労働に従事し、ウラン残土などによる環境汚染にさらされ
ています。

今回、原水禁世界大会の国際ゲストとして来日されるレオナ・モルガ
ンさんから、アメリカのウラン採掘とその被害の現状を報告していた
だきます。貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。

□8/10-11 反原発へのいやがらせの歴史展

日 時 ○2013年8月10日(土)午後1時~5時
○2013年8月11日(日)午前10時~午後4時

会 場 新宿区立区民ギャラリー
(新宿区西新宿2-11-4 新宿中央公園内 エコギャラリー新宿1階)
新宿駅から徒歩15分
丸ノ内線西新宿駅2番出口から10分
大江戸線都庁前駅A5出口から5分
新宿西口バスターミナル17番からバスに乗り、バス停「十二社池の下」下車1分

両日とも午後2時から主催者メンバー(海渡雄一・弁護士、西尾漠
・原子力資料情報室共同代表、西村トシ子・元動燃職員の妻)によ
る展示についての説明、懇談があります。

展覧会の開催に寄せて

原発反対運動への異常ないやがらせ

1986年4月にチェルノブイリ原発事故が起きました。その数年
後日本でも、原発反対運動が大きく盛り上がったことがありました。
1988年2月に伊方原発の出力調整試験の反対運動が空前の盛り
上がりを見せ、1988年4月には日比谷公園で2万人の集会が成
功しました。1992-3年にはあかつき丸によってフランスから
のプルトニウム輸送が行われましたが、これに対しても、世界的な
反対運動のネットワークが作られました。
この展覧会で明らかにしようとしている原発反対運動へのいやがら
せは1980年代の終わり頃から見え隠れし、1993年ころがピ
ークで、2000年頃まで続きました。あまりにも卑劣なやり方に
全国の活動家たちが集まり、1994年から準備して1995年7
月には日弁連に人権侵害救済の申し立てをしました。
私はその申立人らの代理人でした。
この人権侵害の特徴は、原発反対運動に係わる個人に対して、大き
な組織が結託して、執拗に継続されている人権侵害であるということ
です。また、個人の自宅や自宅周辺の写真を送りつけるなど、身辺
への危害をほのめかす卑劣きわまりないものでした。
郵送されて来る文書の中には、明らかに違法に収集されたと思われ
るまったくの第三者宛の信書や税金関係などの請求書、使用済みの
大量のJR切符や運動内部で配布された文書や原子力推進機関の内
部資料などが含まれていました。これらの意味するところは、この
人権侵害の実行者たちは、目的のためには違法行為も辞さない、あ
るいは、自分たちは違法な行為をしても責任をとわれない集団であ
るという印象を与え、言いしれぬ恐怖感をもたらすものでした。

この展覧会の意味

今日に至っても、このような嫌がらせを行った犯人はわかりませ
ん。日弁連は、行為者が不明という理由で結論を出すことができま
せんでした。しかし、現時点で見れば、このような嫌がらせは、電
力会社と公安機関、そしてキャンペーン活動のプロ集団が複雑に絡
み合った組織による組織的な運動破壊であったと思われます。
今年の秋から、原発の再稼働、新増設への動きに拍車がかかるでし
ょう。これに対応して反対の活動も活発となることでしょう。その
とき、手紙や写真という伝統的な形とは変わるかもしれませんが、
1990年頃と同じような目的で、ネットなどを使ったより巧妙な
反対運動への攪乱工作が行われるのではないかと強い危惧を感じま
す。
この展覧会の目的は、このような活動を未然に防止するために、過
去の嫌がらせの歴史を正確に多くの市民に知っていただきたいとい
うことです。さらにこの反倫理的な犯罪的行為に荷担したおそらく
は数百人に上る者の中から、過去の行為を認め、詳細を明らかにす
る者が名乗り出てくれることを願うところにあります。
私たちは、このような行為に手を染めた個人の責任を追及したいわ
けではありません。すでに法的には時効にかかっているでしょう。
しかし、どのような機関が責任を問われるべきかを明確にしておく
ことが、今後おなじような嫌がらせが起きないようにするため、何
よりも重要であると考えるからです。
(展覧会実行委員会代表 海渡 雄一)

────────────────────────────
■[3] 原発再稼働にかかる審査状況
────────────────────────────
新基準関連審査に関する設置変更許可申請書・工事認可申請書・保安
規定認可申請書の提出状況。

□泊1・2・3(保安規定)
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/press/PWR/25/07/0708_01.html

□大飯3・4,高浜3・4(設置変更許可申請書・保安規定認可申請書)
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/press/PWR/25/07/0708_02.html

□伊方3(設置変更許可申請書・工事認可申請書・保安規定認可申請書)
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/sekkei/shinsa1.html

□玄海3・4(保安規定)
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/press/PWR/25/07/0712_01.html

□川内1・2(保安規定)
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/press/PWR/25/07/0708_04.html

────────────────────────────
■[4] 「核燃料施設等に係る新規制基準骨子案」に対する意見募集
────────────────────────────
7月25日(木)より8月15日(木)までの22日間、核燃料再処理施設な
どに関する「新規制基準」案に対するパブリックコメント(意見募集
)が行われています。
是非皆様もご応募頂きますようお願い致します。

http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu130724_1.html

初めての測定ボランティア

本日、初めてボランティア研修を受けさせていただきました。自分の家の庭土の測定もしてみました。震災後に建てた家だったので、まさか検出されないだろうと高をくくっていましたが、結果は57Bq検出されました。八王子の土にしては低い値でしたが、原発事故がなければ検出されるはずのない放射能だと、思うと安心などしていられない数値でした。でもこれからもっと放射能のことを勉強し、正確な情報を知りたいなと思うようになりました。

2013070415450000

7月、8月の測定室の予定

*7月6日(土) お茶会はお休みとさせていただきます。親子野外測定体験というイベントを当日行う為です。野外で実際に放射能測定をし、子供に放射能の現実と知識を持ってもらおうという企画です(6月22日まで申し込み受付中。まだ人数に余裕があります。ご応募ください。このHPのトップページから申し込めます)。

*8月3日(土)の8月のお茶会はお休みとさせてください。(担当者夏休みのため。会報の案内では実施とお知らせしております。訂正してお詫びいたします)

*8月11日(日)~8月19日(月)…測定室は夏休みとさせていただきます。ご不便をおかけしますがご了解ください。

8月24日(土)10時と午後1時・・・第3回映画会「ミツバチの羽音と地球の回転}を上映します。参加費800円 予約不要 先着順です。奮ってご参加ください。上映後、内部被ばく、放射能についての学習会も予定しております。

以上、よろしくお願いします。(問い合わせは hachisoku@gmail.com までお願いします。

 

 

 

震災前の人工放射線核種を知る為の資料ご紹介

震災前にはどれだけ放射性物質があったのか?
などとご質問を頂くことがございますので
参考までに震災前の情報のリンクを置いておきます。

−農環研における放射能モニタリング−
http://www.niaes.affrc.go.jp/topics/radioactivity.html

●わが国の米、小麦および土壌における90Sr と137Cs 濃度の長期モニタリングと変動解析(PDF)
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010724549.pdf

●主要穀物に含まれる人工放射性核種
137Cs(セシウム137)および90Sr(ストロンチウム90)の
経年評価あり、単位がmBq/kgなので、見る時にはお気をつけ下さい。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/pdf/seika06_63.pdf

などがあり、勉強になります。

その他、黄砂とともに飛来する放射性セシウム( 137Cs ) なども情報も
興味深いので、お時間のある方は是非どうぞ。

 

ボランティア大募集中

ハカルワカル広場で常にボランティアの募集を行なっています。
最近かなり余裕のない状況になってきていまして、定期的に入ってくれているボランティアが急用などで入れなくなった場合の調整に苦労しております。

ハカルワカルのボランティア業務にはいろいろな内容があります。機械やコンピュータが苦手でも、受け付けや掃除などの作業もあります。測定依頼者とおしゃべりすることも大事な仕事の一部です。
ボランティアに興味のある方はお試しでもいいですから、是非一度実際にボランティアに入ってみてください。

6月8日、午後1時から
ボランティア研修会を予定しています。

研修会を利用できる方は是非ご利用ください。研修会で研修を受けなくても実地で習いながら慣れていくことは可能です。

よろしくお願いします。