食育フェスタでの測定デモについての保健所との話し合いの概要

食育フェスタでの測定デモについて、保健所と話し合いを持ちました。

保健所は、「測定デモは認められない」と主張。理由はは次のっ通りです。(カッコ内は測定室の主張)
1.屋外での測定は測定が不正確になる。不正確な数値を市民に示すべきではない。(測定室「屋外でも屋内でも、測定器は鉛遮蔽をしているので問題はなく、また、バックグラウンドを測定するので、問題はない。むしろ、屋内の方が、バックグラウンドは高い時もある)

2.農業祭も同時に行っているので、ある検体を測定していると、それが放射能値が高いのではないかと、市民に不安を与えるかもしれない。(測定室「農業祭の食物は測定せず、検体は自前で調達し、「この検体は放射能を多く含んでいるという理由で、測定しているのではない」と但し書きを張り紙をする」と対応)

3.測定は国の基準に沿ってやらなければならない。(測定室 測定に国の基準はあるのか。あるなら示してほしい。保健所「指針がある。ホームページを見よ、と対応。)

4.測定に関し、市民にバイアス(偏見の意味のようです)がかかった人がいるかもしれないので、測定デモはしないで欲しい。(測定室「市民にバイアスがかかった人は、私たちがこれまで測定で接してきた人には、いなかった。もし、いると思うなら、その人たちに、測定について正しい知識を広め、啓蒙するのがは保健の仕事のはず。そういう働きかけはやっているか?」と質問。これに対しては「私たちの担当ではない」との答え。

5.数値が独り歩きする。数値に対して、測定室は責任を持てるか。また主催者の責任にもなるので、測定デモは認められない。(測定室「数値が独り歩きしないように、スペクトルを付けたり、HPでコメントを付けたり、ケアをしているのがハカルワカル広場である。その結果、信用を得ている。数値に対して、責任を持って説明をする)

6.屋外なので電源がない。(測定室「電源はこちらで調達する」)

測定室の主張は次の通りです。

1.食育フェスタの趣旨は何か。私たちは、市民と子供の命と健康を守るために食を考える場ととらえている。3.11以降は放射能測定を抜きには食の安全は考えられない。しかし、食品中の放射能測定のやり方を知らない人もまだ多いので、測定はこう言う方法で、やっていますと実演して、紹介するのは、食育フェスタの趣旨に合っていると考え、測定デモをして参加しよう考えた。食育フェスタの趣旨は何か。そして、その趣旨に照らして、測定デモが認められないなら、明確に説明をお願いしたい。

2.保健所の「認められない理由」に、「市民に、測定に関しバイアスのかかった人がいるかもしれない。測定値が独り歩きするかもしれない」とあるが、実際にそういう例があるのか。想像でものを言っているように聞こえる。具体的に例を示してほしい。またバイアスがかかった人がいるならば、それを啓蒙するのも保健所の仕事ではないか。

3.私たちは、子どもの内部被ばくを守るために、測定室活動をやっている。本来は市民の健康を守るのは行政の仕事である。測定デモも、広く市民に測定とはどんなものか、色も臭いもない放射能を、どうやって測定するのかを見てもらい、より多くの人に測定してもらいたい。その結果、子どもの健康、内部被ばくを守ることに繋がると考えている。だから、測定デモを行いたい。

4.保健所のご心配の「屋外測定では数値が正しくない」というのは、食品の放射能測定においては、誤解であり、これについては先述の説明通りである。保健所にも納得いただけたと思う。

5.測定デモをせず、パネル展示では、インパクトがない。実演をして、始めて、「測定とはどういうものか」と具体的に市民の方の理解が得られると思う。

6.正しい測定の仕方を言うならば、「給食丸ごとミックス測定は、(個々の食材の汚染を知るためには)正しい測定方法ではない。また、10分間測定も正しくない。」 子供の内部被ばくを守るために、ぜひ、もっと長い時間で測定して欲しいし、ミックス測定はやめてもらいたい。

以上のやり取りをしました。保健所の方は、「持ち帰り、検討する」と言ってくださいましたので、ぜひ、よい回答をお待ちしています。市民と子供の健康のために、ぜひ、保健所と私たち市民が共に手を携え、活動して行きましょう。(文責西田)

林洋子さんの朗読会(ふく八支援)のお知らせ

女優で測定室のボランティアでもある林洋子さんが朗読会を催されます。ふく八(福島支援八王子=福島から子供と保護者を八王子に呼んで保養キャンプを行うプロジェクト)を支援する目的で行われます。

2011年度福島県民文学賞を受賞された詩人の久間カズコさんの詩を朗読されます。 久間さんの詩は原発事故後の変わってしまった日常を平易な言葉で表現しておられる作風です。

また、経産省前のテント広場の椎名千恵子さんのお話もあります。

林さんの素晴らしい朗読もお楽しみいただけると思います。

公演は9月15日(土)13:30~16:00
場所は八王子労政会館にて(京王八王子から徒歩5分)

チケットは 一枚前売り1000円、当日券1200円です。(測定室にも置いていますのでお買い求めいただけます。西田への連絡でもお送りいたします)

お友達もお誘いのうえ、どうぞお出かけくださいませ!
(西田)

みかさんを送る会

測定室の事務局メンバーで、水曜日担当の内田みかさんが引越しをされることになり、7月25日のお昼休みに「みかさんを送る会」をしました。
たくさんの方が集まってくださり、和やかで温かい会になりました。みかさんは測定室を作る運動の時からのメンバーで、昨年11月に作り運動中のイベントの測定会で大活躍。その時の 「集った人たちが繋がっていく、温かい交流の場」の原型を築いてくださった方です。温かい、明るい、いつも笑顔の人柄で、測定室の雰囲気を和やかにしてくださいました。ちゃぶ台スペースもその測定会の雰囲気をとどめたいと作ったものです。

別れを惜しむ多くの方々が来てくださいました。林洋子さんお手製のベンガルカレーやおにぎりなどを食べながらの和やかな会になりました。

遠くに行っても、「いつまでもハカルワカル広場の一員でいます」との心強い言葉に励まされながら、お元気でいてくださいと願いました。

測定室が、みかさんの築いてくださった、「温かい交流ができ、元気になる広場」であり続けるように、見守ってくださることでしょう。

みかさん、ありがとつ! そしていつまでもハカルワカルの一員でいてください!

池田香代子さんが見学に来られました!

「地球がもし100人の村だったら」という本の著者、池田香代子さんがハカルワカル広場に、7月5日、突然見学に来られました! 前触れなしだったので、驚きながらの大歓迎! 先日、講演会でお会いした時(もちろん、知り合いではないく、一人の聴衆)、「ぜひ私たちの測定室を見に来てください」とお誘いしたら、本当に来てくださって、2時間半、熱心に、「どうやって作ったのか、どんな方たちが測定に来るのか、どういう食物が汚染されているのか」など、質問されていました。
 「ボランティアで運営していること、すべて市民の寄付で測定器を買ったこと、測るだけでなく、交流の場したいこと、子どもの内部被ばくを防ぎたいこと」などをお話ししました。測定に来られている方からお話を聞いたり、スペクトルに関心を示したり、好奇心旺盛でした。
 9条世界会議を主催したり、反原発のデモに参加したり、市民運動にかかわってこられた池田さんです。測定結果を渡すだけでなく、依頼者とよく対話していることに、特に関心を示されていました。
 ふくはちの保養合宿にも関心をしめされて、、いろいろと質問されていました(かなり早い時期から母子避難を支援されていましたから)。相澤さんの手作りのマカロンを三つ買ってくださいました。また、「世界」の最新号(8月号)を寄付してくださいました。
 こうしてわざわざ私たちの測定室を見学に来てくださるのは、本当にうれしいですね。私たちの試みも、少しずつ認められてきているのかもしれないと、勇気がわいてきますね。(西田)

6月7日、石森八王子市長が突然測定室を訪問されました!

今日正午近く石森市長が測定室を電撃訪問されました。前触れなく、突然の来室で、驚きましたが、精一杯温かくお迎えしました。ちょうど、高橋さんを始め守る会の方たちが6,7人、スーパーで買い物した食品を測定するプロジェクトでいらしていたので、一緒に市長へお願いする形になりました。

秘書一人を連れての来室。ドアが開いて、二人の男性が見えたので、けげんな顔で、どなたでしょうかという表情をしていたのではないかと思います。「石森です」と名乗られて、初めて市長だとおわかり、「ようこそいらっしゃいました」というのが精いっぱいでした。

初めに、測定器を説明。測定中のパソコンの画面のスペクトルもみていただきました。それから、測定室の立ち上げの趣旨「子どもを内部被ばくをから守りたい」、「多くの市民のニーズがあること、すなわち、5月末までで460検体測定していること」、「市民の小さな寄付を集めて設立されたこと」、「運営はボランティアによっていること」などを手短に話し、「これだけの市民の不安があり、ニーズがあるので、本当は行政がやるべきことだと思う。ぜひ、助成してください。」とお願いしました。

市長は「秋には、市民の提案事業への助成制度の募集もあるので、それを利用するなどしてください。」との回答でした。

時間がないので話しを進め、「給食を市が測定するのに、1食丸ごとミックス測定の方法でやると言っている。その方法では、消費者庁貸与のシンチレーションタイプの測定器では、下限値が10ベクレル程度なので、汚染の高い食品が入っていても検出できない。ぜひ、私たちの測定データを活用するなどして、疑わしい給食素材を測定してほしい。また、どうしても丸ごとミックスなら、ゲルマニウム半導体測定器を市で買ってください」と訴えました。

守る会の高橋さんが「市長選では、質問に答えていただきありがとうございました。行政として、子どもを守ると言う姿勢を見せてほしい。市場は全量検査ではないので、地場のものも含め測ってみないとわからない。測って終わりではなく、その先のものを考えて行く必要が大きい」とお話しされました。

市長は、「素材は都や国が測定して、安全なものが流通しているので、給食の測定で二重の測定となる。それで保護者に安心してもらいたいと考えている。ゲルマニウム測定器を購入する件は、測定器だけを購入すればいいという話ではないので、、、、」と言われたので「人件費の問題があるなら、私たちがボランティアで測定します」と手をあげておきました。

このあたりで、秘書が時間ですのサイン。合計12,3分(14,5分?)の滞在だったでしょうか? 風のごとくに去られました。

この訪問が、「予備的に様子を見に来ただけ」で、また改めてゆっくり時間をかけて来ていただけることを切望しています。決して、「行きましたよ」というアリバイ作りでないことを望んでいます! せっかく仲野さんがタウンミーティングで要請してくれた測定室への市長訪問という機会が、僅か12,3分、それもこちらの体制が整えられない突然の訪問とは思いたくないです。

突然でしたので、写真も記録も取っていません。記憶も不正確なところがあるかもしれません。6,7人の守るか会の方もおられたので、間違いがあれば、訂正、補充をお願いします。

小さな赤ちゃんを抱っこしたり、おんぶしたりして測定に来ておられたお母さんたちを見て、市長が、感じるものがあることを、祈る思いです。(西田 )

林洋子さんの「さようなら原発」集会での朗読を聞いて

6。.6.さようなら原発集会@日比谷野音の、林洋子さんの朗読を聞きたくて、また応援したくて参加してきました。(林さんはもちろん、測定室のボランティアスタッフです!) 全国各地からの、原発反対署名に付けられた手紙を、林さんは、その人たちになり変ったように朗読されました。原発労働者の近親者の方、主婦の方、遠い離島の方などの一様でない原発反対の想いを朗読されると、会場は水を打つたように静まりかえりました。「次世代のためにも、自分たちのためにも、もう原発は止めよう」という想いを会場のみんなが共有していた瞬間でした。力強い朗読に、私たちの林洋子さんが朗読されている!と、とても誇らしく感じました。
大江勘三郎さん、落合恵子さんの話も説得力があったけれど、加藤登紀子さんの歌も素晴らしかったけれど、一人ひとりの市民の署名を集める努力がこの運動の基盤なのだと感じ、それを代読される林さんに、心から感謝したいと思いました。寒かったけれど、心は温かになった夜でした。もちろん、デモの後、二人でワインでお疲れ様会をやって帰りました。(西田)

八王子市民放射能測定室設置運動の歩み

1.測定室がほしい!
2011年7月23日・・・・「子どもたちの未来と自然エネルギーを考える八王子市民講座(以後、市民講座と略する)」の第3回講座の分科会で、「食の安全」をテーマに学習し発表しました。そこで原発事故由来の放射能による食物の汚染の深刻さを学び、調べ、そして、内部被ばくの恐ろしさも知りました。外部被曝も恐ろしいけれど、食品を通して体内に入って、臓器に付着し、放射線を出し続ける内部被ばく。小さな子供ほど、細胞分裂が激しいために、内部被ばくの影響は大きいということも知りました。また、日本の基準が諸外国に比べ高いこと、国や自治体の検査をすり抜けて汚染された食品が出回っていることも知りました。知れば知るほど、「自分たちで測りたい]という思いは強くなっていきました。そこにお呼びしていたのが「小金井市民放射能測定連絡協議会」の方達だったのです。そのお話を聞いて、分科会では、「測定器で実際に測りたい!」 「本当のことは測定しないとわからない」 「市民で測定したい」と、半ば叶わぬ夢を語るように、語っていました。

2.小金井市民測定室見学

2011年8月4日・・・市民講座の反省会で、「小金井市民測定室を実際に見学に行こう!」という話になり、8月4日に見学に行きました。それが、多分測定室設置運動の事実上のスタートとなりました。チェルノブイリ以降、小金井市と協力しながら、市民の手で黙々と測定してこられたという事実に、そしてこうして市民がボランティアで測定できているという事実にどれだけの勇気と示唆を頂いたかはかり知れません。「私達にもできるのではないか」という気持ちが大きく私たちの中に芽生えたのでした。2時間ほど、矢継ぎ早に質問をし、誠実にお答えをいただき、最後に「23年間、市民で測定できたのは、お互いの信頼関係があったから。市との共働事業というのも良かった。また、地味な測定活動だが、反原発の拠点という意識でやってきた。」と話されました。帰途に立ち寄った喫茶店で、「測定室を作りたい!」と熱く語りあいました。この見学会が運動の始まりでした。

3.測定室プロジェクト立ち上げ

8月18日・・・第1回測定室プロジェクト会議  市民講座の中で「測定室プロジェクト」を立ち上げました。この頃は小金井方式で行きたい(測定器、場所は市が提供し、市民が測定する方式)を考えていました。八王子市に、小金井市のような市と市民の協働型の測定室の設置や、消費者庁の食品放射能測定器貸与に応募して欲しいとお願いしました。しかし、市の回答は「国や都が検査しているので大丈夫」の一辺倒で、消費者庁からの食品放射能測定器の貸与にすら応募しませんでした(2011年9月時点において。2012年1月には応募し貸与が決まっている)。 ついに「自分たちで作るほうがはやい!こどもの成長に間に合わない!」と、設置運動を始めることにしました。

4.メーカー見学会

9月14日、15日・・・メーカー見学会 まだ残暑厳しい9月半ば、14日は福生の応用光研に、15日は 浅草橋のベルトールド社に、また、末広町のアドフューテックに見学に行きました。その最後の会社が、測定機AT1320Aを扱っていた会社で、これも運命的な出会いでした。私たちの測定室の科学的な大黒柱の、二宮さんが非常に気に入り、私達も、よくわからないけれど担当者の熱意とか、科学的に専門性があるというところに魅力を感じました。何より値段が性能に対し、格段に安かったのです。そして、無謀にも9月30日、1円も持っていない私達は発注してしまいました。

5.寄付集めなどの活動

10月1日・・・AT1320A発注翌日からが本格的な設置運動の始まりでした。ほぼ毎週末、八王子駅前や南大沢駅前で街頭に立ち、チラシを配り、カンパを訴え、500円一口の寄付を集め始めました。最初はなかなか寄付が集まらず先行きが不安で、正直、この先のことを考えると眠れない日もありました。でも、「もう引き返せない、やるしかない!」そういう思いで、あらゆるつてを頼り、そして、特に「八王子こどもの未来を守る会」の方々の強力な支援に後押しされて、この運動を進めました。(*「八王子こどもの未来を守る会」とは、3.11後、子どもたちへの放射能の影響を心配する保護者や地域の大人の方がインターネットのメーリングリスト上に集まって情報交換をしていくうちに、「ゆるくつながりながら子どもたちの健康と安全を守るために出来ることをやっていこう」と立ち上げたネットワークです。)

6.測定会(ゼロ☆ヒャクにて)

11月21日~27日・・・スペースゼロヒャクを借りて1週間限定の測定イベントを行いました。これが大きな転機となりました。二宮さんが友人と共同購入された測定器をご好意でお借りして、測定会をやりました。市内はもとより、市外からも多くの方が測定に来られ、大盛況でした。ボランティアで測定し、測定結果について話し合う、不安な方と共に語りあう集いの場になりました。最終日、測定会の反省会でプロジェクトチームの林さんが測定会の印象を「宮沢賢治のポラーノ広場のよう」と、「ポラーノ広場」の一節を朗唱されました。 その作品の一節のように、私達の測定室は、「みんなが集い、そして元気になって帰っていく広場」のイメージが出来ました。私たちの測定室は「市民による市民のための測定室でありたい!そう、こんな感じなんだ!というイメージが出来ました。大きな転機でした。どんな時もその気持ちを忘れずにいるために、現在も測定室の壁にその一節を掲げています。(ご支援くださる書道家の方からご好意で作品をご寄付いただきました。是非ご覧ください!)

 7.場所決まる!

もう一つの大きな転機はこの場所をお借りできたことです。プロジェクトチームのメンバーの榎本さんがが友人から「中央診療所の2階が空いているよ」と教えていただき、更に別のメンバーの井上さんが中央診療所の事務長と昔からの知り合いで、話がとんとん拍子に進みました。その上、私たちの趣旨を理解してくださり、ご好意で法外の安値で貸してくださいました。広い場所、安い家賃、そして家主が、山田真先生という子どもの内部被曝に最も理解のある小児科医の先生だという幸運に恵まれました。12月19日・・・場所の契約を済ませ、ホッとすると同時に、「さぁこれからオープンに向けてがんばろう!」という気持ちが高まりました。

8.リフォーム大作戦

12月19日~22日・・・契約のその日から、猛烈なスピードでリフォームを始めました。この場所は長く使用されていなかったため、壁にはカビや染みがあり、そのままでは測定室としては使えませんでした。そこでリフォーム作戦が始まりました。お金のない私たちですから、リフォームも全てボランティアを募り、人海戦術で行いました。ペンションを手作りで建てたこともあるという玄人はだしのメンバーのjirochoさんに陣頭指揮をお願いし、人海戦術で(10人以上集まった日もあった)、壁と天井の掃除、ペンキ塗り、それが終わると6畳の「ちゃぶ台スペース」(靴を脱いでくつろげる”あがり”スペース)を作り、見事に生まれ変わりました!たった4日間の早技でした。守る会のお母さんたち数人がカーテンを縫ってくださったり、デスクやキャビネット、冷蔵庫やプリンター、傘立てや電気ポット、お湯飲みなどの備品に至るまで、ほとんど全て、支援して下さる皆様からの寄付で出来上がりました!測定室の愛らしいロゴのデザイン、窓の飾り文字とウェルカムボードを作って寄付してくださったのは、「八王子こどもの未来を守る会」に参加されているプロのイラストレーターのミツヨさんです。他にもお名前を上げることができないほどたくさんの方の愛情のこもった、正真正銘手作りの測定室です。

 

9.オープニングセレモニー

そしていよいよ1月29日、測定室の開室を迎えました。リフォームが12月に一応終わって、1カ月余はオープンの準備や、オープニングセレモニーの参加者への案内状作成、郵送などに追われました。高名な方などは招待せずに、この測定室を作るために動いてくださった方、支援してくださった方をお呼びする、草の根の、手作りのオープニングセレモニーをと願いました。

予想より多くの参加者が見込まれたため、2部構成にし、1部は八教組を始め外部から支えてくださった方々、2部は内輪の、「八王子子どもの未来を守る会」の方たちを中心に、こどもづれOKの会にしました。

みかさんたち、セレモニー担当班の周到な準備のおかげで、セレモニーはスムーズに進行しました。子どもたちのくす玉割りで開会。測定済みの手作りクッキー、測定済みのおにぎりなど、手作りのもてなし、二宮さんの測定器デモンストレーション、西田によるこれまでの設置運動の歩みの話、参加者のスピーチなど、盛りだくさん。最後に林洋子さんが宮澤賢治の「ポラーノ広場」の一節を朗唱してくださいました。そして、八王子テレメディア、各新聞社の取材などもあり、感動的な、温かなセレモニーとなりました。

2部では子供向けの紙芝居を林洋子さんがしてくださり、より温かな、ほのぼのなものになりました。お互いのこれまでの労をねぎらい、開室を喜び合うものとなりました。

10.これからの課題

さて、1月30日から通常の測定室業務が始まりました。1日5検体測定。測定結果は原則すべて公開。10時~16時の開室。1検体1000円、会員は500円の測定料。破格の値段にしているのは、誰でも気軽に測定に来てほしいためです。お金に余裕のある人だけが測定できるのではなく誰でも測ってもらいたい。その願いを込めましたが、この料金では運営ができないので、運営費をサポートする維持会員を募集しています。

人材面でも、課題は山積しています。ボランティアで測定し、また運営しているために、ボランティアの方々の協力が必須です。

「子どもの内部被ばくを、食品を測定することで防ぎたい」という願いで始めた測定室設置運動。 私たちには何一つなく、あるのは強い思いだけでした。その思いが形になったと言う感動! しかし、喜びもつかの間、金銭面でも、人材面でも、課題は山積みです。でも引き返すわけにはいきません。 よちよち歩きの測定室ですが、何とか運営を継続し、長く続けて行きたいと願っています。いつか、食品の放射能汚染が消え、測定室が不要となるその日まで、多くの方と力を合わせ、次世代の子どもたちの未来のために、継続して行きたいと願っています。ささやかな、しかし具体的な測定という行動を通して、市民の役に立ちたい、市民と繋がっていきたい、そして、反原発の市井の拠点となりたいと強く願っています。

2012.3.20 西田照子記