食育フェスタでのデモ測定を拒否されました

11月10日に八王子市が行う食育フェスタに私たちが出展を計画していて同時にそこで放射能測定のデモを行うことを計画していました。

私たちのメンバーが所有している、少し精度は悪いが小型で持ち運びがなんとか可能という測定器があり、今回もそれを使用することを考えていました。
過去に、測定室をオープンする前に資金集めの測定会の時(結果公開シート) 、「みんなちがってみんないい」の河原イベントの時(結果のページ)などで使ったのと同じ測定器です。

私たちはこの測定器に関して十分熟知しており、その結果の評価の仕方に関しても慎重に判断する能力を有しています。鉛遮蔽が1.5センチしかないのでバックグランドの影響を受けやすいこと、カリウム40の影響を受けること、などを考慮して測定値を判断しています。
資金集めの測定会の時も、食品では一点だけ宮城県の米から検出されて、それの判断を確認するために現在測定室で使っているAT1320Aで数回測定をくりかえしていますが、結果は私たちの最初の判断が正しかったことを証明しています。

私たちがこれを食育フェスタでデモしようとした目的は、「放射能測定とはどういうものであるかを皆さんに知ってもらうこと」が主で、限界値が20Bq/kg程度の測定で、八王子近辺の食品を測った場合ほとんど検出されることがないのはわかっていますから、「食品で検出されるかどうか調べる」というようなことは考えていませんでした。
「みんなちがってみんないい」の時は土の測定に限定して使いましたから、今回も土を測定するか、食品で出ないということを確認するか、そういう測定を行うつもりでした。

「食育フェスタ」を担当する八王子保健所は、私たちのデモ測定を、屋外での測定は不正確だとか、国の基準に沿った測定方法ではないとか、いろいろいちゃもんをつけて拒否しました。

NaIシンチレーション式測定器で、給食ミックス測定を10分間測定で行っている八王子保健所が何をかいわんや、という感じです。国の基準に沿った測定方法って何なんでしょう。
厚生労働省のこのページにある、「緊急時における食品の放射能測定マニュアル(40ページ)」あたりのことをいっているのでしょうかね。

どんな測定器を使う場合でも、測定器の性能や限界、そして測定の目的とを正しく考え合わさないと、「給食ミックス10分間測定」などということをやって、人々にとって百害あって一利無しの情報を流してしまうわけです。そういうことをやっている保健所が、今度は市民が食育フェスタで放射能測定のデモをしようとするのを禁止するという暴挙に出るわけですから開いた口がふさがりません。

怪しげなところが怪しげな測定をするのを見せるのでは「食育フェスタ」の意義に反する、とそういうことなんでしょうか。私たちが、怪しげなところが怪しげな測定をする団体なのかどうか、自分たちが怪しげなことをやっているのですから判断できないのも無理はないのでしょう。

私たちは他にやりたいことがたくさんありますから、役所とのやりとりにこれ以上無駄にエネルギーを使うのはやめます。「食育フェスタ」への出展自体をとりやめるかもしれません。ただ、こういうことがあったことはみなさんにお伝えしておきます。

保健所に何か問いただしたい人は、連絡先は下記のとおりです。
042-645-5111 内線350 食育フェスタ実行委

「食育フェスタでのデモ測定を拒否されました」への16件のフィードバック

  1. 行政の人は、他人のふんどしで相撲を取ります。 
    自分のパンツは汚したくない。
    縄張りでウロウロして欲しくないのだと思います。
    多摩川水系全部の線量を知らせて欲しいものです。

  2. 食育フェスタ測定デモ拒否の記事、
    すみません、こどもまもりたいブログにて転載しました。
    事後承諾で申し訳ありません。
    何かご協力出来ればと思いました。ご了承頂ければ幸いです。

    1. ご丁寧に報告ありがとうございます。無許可転載おおいに歓迎です。別に事後報告もなくてかまいませんので、遠慮なくお願いします。

  3. 八王子保健所の担当課長が、今、測定室に来られたそうです。
    お話していただいた内容は、後ほど報告します。

  4. そもそも、市が呼びかけた募集内容は

    ~「食を大切にする人々を育むまち」を目指して~
    市では、食に関する魅力的な活動を行っている団体を広く周知し、市民に食育活動の輪を広げることを目的として「はちおうじ食育フェスタ2012」を開催します。 日頃の食育活動紹介を兼ねた展示・体験などを行う「市民参加型イベント」で、昨年度は2100名以上の皆さまにご来場いただき、食育を広く知っていただく機会となりました。いろいろな分野での食育活動の場として、多くの団体、企業等のご参加をお待ちしております。

    →原発事後後の食育に放射能の項目がないのがおかしい。いくら隠しても放射能は現実あるのだ。そういう意味ではハカルワカル広場の食育の役割は大きい。
    なのにデモ測定を拒否。その理由の愚かな事、情けない

  5. 八王子保健所の人たちとの話し合いがさきほど終わりました。
    保健所からは3人の方がおみえになりました。

    今は、私が現場から受けた報告を聞いた範囲で書きます。もっとリアリティのある報告を現場にいた人が後で書いてくれると思います。

    まず、保健所が最初に私たちのデモ測定を拒否するのに使った理由のいろいろに関してですが、彼らはそういうことに関してまったく何も知らないに等しく、ただ拒否するための理由として思いつきを述べていたとしか思えません。
    「屋外の測定は不正確」と言っておきながら、屋内と屋外の測定でどういう条件の違いが出るのか、そういうことに関しては何の知識も持ち合わせていませんでした。また、「測定に関する国の基準」と言っておきながら、そういうものを具体的に示すこともできませんでした。
    要するに、最初に出してきた理由は、ただ拒否するために適当なことを言ったということのようです。

    話の中で彼らが主張していたのは、ひたすら「もし数値が出たらそれが一人歩きする」ということに終始していて、要は数値を出してもらった困る、だからダメということのようでした。

    なぜ「数値が一人歩きすると思うのか」という問いに対して、何も客観的な理由は持ち合わせておらず、最初から頭の中にある決め付けに基づいて話しているようでした。
    彼らはそのことに関して一般市民と対話をしたり、調査をしたりというような具体的な活動は何もしてなく、「自分たちの努力で数値が一人歩きしないようにしよう」という意識はひとかけらもないようでした。

    私たちの仲間が、私たちの活動を通して人々はみんな「一人歩きしない数値」として受け止めてくれていること、そういうことが具体的な活動を通してできることを説明しましたが理解してもらえなかったようです。

    「食育フェスタ」のような、人と人が顔合わせながら情報交換したり、議論したりできる場、そういう場こそ一人一人が数値の受けとめ方をしっかり勉強できるいい機会であるし、3.11以降の「食育」の場において絶対必要なことではないでしょうか。

    保健所の人たちは「持ち帰って検討する」と言って帰っていきました。

    農林省の圧力みたいなものがあるのかもしれませんし、心の中で思っていることを言えない状況なのかもしれません。それでも、どこかで何かできることを前向きに探していく、そういう姿勢のかけらぐらいは持ってほしいものです。

  6. 根底にあるのは、国の方針なんでしょうが、

    * 100Bq/kg以下は安全なんだから黙って食え
    * 100Bq/kg以下の測定結果を公表して人をまどわすな
    * 100Bq/kg以下の数値を気にしている連中は頭がおかしい
    * 100Bq/kg以下の測定結果を公表する連中は生産者の敵である
    * 100Bq/kg以下の公表数値を見たら消費者はバカだから必ず意味なく騒ぐ

    ものすごく極端に誇張した表現を使えば、そういうようなことを考えている国があって、その下請け機関として地方行政が動いているということなんでしょう。

    国の方針を知らしめるための食育フェスタであれば、私たちの放射能測定が許されないというのも無理はないですね。

    国が本当の意味で人々の健康を気づかい、守ってきてくれたかどうか、過去の歴史を振り返れば歴然としてますね。

  7. 私が保健所のやっている「まるごとミックス10分測定」が百害あって一利無しと書いたのに、保健所はご立腹のようなので追加説明しておきます。

    まず、よほど意識的に高く汚染した食材を使わない限りこの測定方法で検出される可能性はありません。そのことを私は http://hachisoku.org/blog/?p=485 このページで説明してあります。

    ましてや、10分間などという短い測定時間で測定できる限界値はかなり高いです。これで低い限界値が出せたりするのは、巨大なシンチレータ+巨大なマリネリを使うとか、井戸型シンチレータの様な特別なシンチレータを使うような場合に限られるでしょう。

    したがって、「まるごとミックス10分測定」は新たに価値のある情報は何も得ていないということです。最初から出ないとわかっているものを出ないと確認しているだけです。

    ところが彼らはその価値のない情報を「検出されませんでした」と測定法の問題点を説明することもなく公表するわけです。何も知らない人たちは、その情報を価値ある情報と勘違いして受け取ってしまい、何か安全が確認されたかのごとく思ってしまいます。

    これは「価値のない情報」を「価値ある情報」に偽装していることになります。そういう情報は人々にとって害にこそなれ何の利益にもなりません。
    それを多額の税金を無駄遣いしながらやってくれているわけですね。

    1. jirochoさんが横浜の測定例との比較を調べてくれました。
      横浜市では、個別食材を毎日10検体以上測定しています。
      そして、昨年の10月12日には椎茸からセシウムの汚染を検出した例があります。
      http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/kyu-sokutei/20111012.html
      この測定結果を受けて横浜市が取った処置は、
      ————–
      10月12日の検査で、乾しいたけから食品衛生法の暫定規制値未満ではありますが、350Bq/kgの放射性セシウムが検出されました。
      当面、念のため、学校給食において乾しいたけの使用を控えることとします。
      ————–
      というものです。

      八王子の今の検査のしかたでは、このような汚染椎茸が存在しても検出することはできません。理屈の上で明らかなことなんですが、それをわざわざ示すために仲野さんは488Bq/kgの汚染椎茸を使った実験までしました。
      http://hachisoku.org/blog/?p=512#comment-188
      さらに八王子保健所では、このような意味のない測定をかたくなに非公開にして行っています。
      http://hachisoku.org/blog/?p=668#comment-322

      八王子と横浜の、このあまりに大きな違いはどこから来るものなんでしょう。八王子市がこの測定に計上している予算が764万円です。

      横浜の黒猫さんは、八王子の様な検査を「まるごと隠蔽検査」と言っておられます。実に的確に表現しているものです。
      https://twitter.com/Tomynyo/status/209788956785647616

  8. さて、今日の話のなかで学校給食に関してですが、「1食ミックス10分の測定で(限界値が)6㏃とか一ケタで出てる」と保健所の方が言っていました。

    今、八王子のHPをみたところ、それはセシウム134とかセシウム137それぞれに関してであって、それぞれを合計したらざっと見平均15㏃くらいじゃないかと思いました。それって一ケタっていいませんよね。摂取するときは一緒に食べるんですから。

    まあ、それはいいとしても、1食ミックスを10分測定で出した時の数値の信ぴょう性っていうのはどんなもんなのか、ということは素人にはわかりにくいところですが、二宮さんのように勉強しているかたは分かるのですか?この手の機械で10分測定のようなもので信用できるのかってことですよね?測定室で30分で測っているので、私のなかには「30分程度は測るものなのだろう」という感覚があるので、10分って短いなって思います。もっと長く測ればもっと正確な数値が出るであろうことは大体想像がつきます。

    あと、スペクトルを出さない公開の仕方の落とし穴に関してはどうでしょうか?

    1. 今日、10分測定で1桁の限界値と聞いた時、「それはなんかおかしい」と思ったのですが、そういうことでしたか。

      測定室にある測定器のシンチレータは2.5インチに対して、保健所の測定器のシンチレータは3インチ、1.2倍あります。感度が体積で効いてくると見てその3乗で1.7倍程度、その程度の度合いで測定室のものより感度がいいというのはありえるでしょう。
      鉛遮蔽が測定室のものは5センチなのに対して保健所のものは3センチ、保健所の測定器は感度はいいが外部バックグランドの影響を受けやすいということがあります。その分で限界値は多少悪くなるはずです。

      測定室で今やっている30分の半分程度で同程度の限界値が出てくることはありえるとしても、10分で1桁というのはないですね。まぁ、実際には2桁だったということですね。

      ちょっとくらい測定時間を長くして、仮に限界値を合算で5Bq/kgまでもってきたところで、所詮は「まるごとミックス」で薄まっているわけですから、たいして意味がないことに大差はないでしょうね。

      スペクトルを公表することは検出された場合には非常に重要だと思います。それが本当にセシウムなのかどうかがスペクトルの公表でチェックされるべきでしょう。しかし、検出されない場合は、スペクトルの公表はそれほど重要にはならないでしょう。
      もちろん、私たちの測定室でやっているように、検出されようがされまいが常にスペクトルも含めて公開できるものは全部公開するのが一番望ましいです。

  9.  こんばんは、今日の貴重なお時間を共有出来て関係各位に感謝します。
    色々想う所がありました。一番印象に残ったのは、保険局の課長がおっしゃった「行政として国の指針である100bq㎏以下であれば問題ないし、それに沿って粛々と勧める」という言葉に良くも悪くも全てが詰まっていると感じました。
    食育とは?安全とは?新たな問題に対して歩みの遅い行政に対して、ハカルワカルのようなNPOが、全国に出来た訳で「法律問題」「スポンサーへの配慮」があったとしても、デモンストレーションを認めて欲しいですね。
    しかしまだまだ、この問題はマイノリティーで、主幹のお二人はデモンストレーションが出来なければ参加しないとおっしゃっいましたが、自分としてはそれでも啓蒙活動として参加していただきたいなと、個人の想いを最後にお伝えします。今日は本当にありがとうございました。

  10. ご苦労様です。

    あまりの怒りに、言葉も出ません。市民を守らない行政には、税金払いたくなくなりそうです。

    頑張ってください。

  11. 本件について実行委員会メンバーの「農水省関東農政局東京地域センター」に問い合わせをしたところ、「そんな決定がなされたことは知らない」との回答でした。
    実行委員会名での拒否通知ですから実行委員各員が連帯責任を負う話ですがどういうことなのでしょうか?

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