広場だより7号 巻頭寄稿文 ハカルワカル映画会を始めたきっかけ

ハカルワカル映画会を始めたきっかけ

測定ボランティア ・事務局メンバー 鵜飼 暁

開室当初は予約で埋まっていた測定依頼が、今年に入って少しずつ空きが目立つようになりました。原発事故がまるで収束してしまったかのような世間の風潮の中、ハカってワカることで本当の安心を得る事が出来る測定室を維持していくためにも、どうすればもっと多くの人にハカルワカル広場の存在を知ってもらい、測定に来てもらえるかを測定室の人達と話し合う中で、原発やエネルギーに関する映画会を実施したらどうかというアイデアが浮かびました。映画会なら、たとえ放射能測定には興味がなくても、原発や自然エネルギー等、関心のあるテーマであれば多くの人に参加してもらえます。そして、映画会の後に放射能に関する学習会を行うことで、新聞やテレビでは得られない正しい情報を、参加してくれた人達に伝えることができる。それが、ハカルワカル広場の存在の大切さを広めていくことにつながると考えたのです。

私自身、昨年の夏に被災地ボランティアに参加した際、現地の人に「日本の社会でこの災害の事が風化していくことが一番怖い。どうか他の人にも被災地の現実を伝えてほしい」と言われた言葉が強く心に残り、八王子に戻ってから、何か地元で自分に出来ることはないだろうか、と思っていた時に出会ったのがハカルワカル広場でした。福島の原発事故以来、意識的に放射能の事を勉強してきたつもりでしたが、本当の意味で放射能の事を知り、放射能の脅威から自分の身を守るすべを持つことができたのは、ハカルワカル広場で測定ボランティアとして、自分でハカってワカる経験をしてからだと思います。これまでハカルワカル映画会では、「内部被ばくを生き抜く」「福島 六ヶ所 未来への伝言」「ミツバチの羽音と地球の回転」「シェーナウの想い」を自主上映してきました。これらの映画を通して今まで知らなかった福島の事やチェルノブイリの事、祝島の人達の事や、ドイツの村シェーナウの事など、今の私たちの生活から切っても切れないエネルギー問題について、深く考えるきっかけを与えてもらいました。

私が尊敬する先人の言葉に、「悪い事をしている人を見て、知っているのに、放っておくのは、悪い事をしている人と同じだけ罪が重い」という言葉があります。以前は福島に原発があることすら知らなかった無知な私ですが、仮に福島原発事故前であれば知らないで済まされた事も、今や知らないでは済まされないのだと自覚しています。そして、一人一人の市民が、放射能の事を正しく学び、賢くなって、声を上げていくことでしか、未来の世代に責任ある社会を築いていくことは出来ないのではないかと思っています。その一助として、ハカルワカル映画会が貢献できれば幸いです。来年三月には、「~放射線を浴びた~X年後」の自主上映会を北野市民センターホールで開催する予定です。是非、友人・知人をお誘いの上、御参加ください。
  

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