AT1320AのMDA(検出下限値)

MDAというのは、Minimum Detectable Activityの略で、AT1320Aの測定結果では検出下限値として表示されています。

このMDAはどのようにして求めているのかをATMTEXの代理店のアドヒューテックに問い合わせたところ、
このIAEAのドキュメントに載っている計算式による、ということです。

MDAを求めるのに大きく二つの方式があるのですが、ここではCurrieの方式が採用されています。他にKaiserの方式があり、日本ではこちらの方式の方がまだ主流のようです。

このCurrieの方式とKaiserの方式には、かなり考え方に違いがあり、それを理解するのは少し難しいです。

以下の文書などが参考になります。
http://goo.gl/KgEKH
http://goo.gl/SsQfa

Kaiserのバックグランドの測定値の3σを下限値にする方式は割とすんなり理解できると思うのですが、その理解の延長でCurrieを理解しようとすると無理があり、どうにもわからなくなります。私自身もしばらく悩みました。
Currieを理解しようとすると、「値Aと値Bが本当に離れている値として計測できるのかどうか」という異なる視点で見てみる必要があります。そうすれば、見誤ってしまう危険率という概念がわかってくると思います。よーく考えれば、こちらの方がKaiserの方式よりも合理的だとわかります。

Currieの考え方では、バックグランドから有意に離れている値であるかどうかというのを、「実際には離れていないのに間違って離れてしまっていると見る危険率をα、実際には離れているのを間違って離れていないと見る危険率をβとして、そのα、βの危険率を5%にできるところをMDAとする」という考え方です。

このMDA(検出下限値)以下の測定値に関しては、「ないものをあるとしてしまったり」「あるものをないとしてしまったり」という確率が高すぎるわけで、その数値をもとに議論しても意味がないというレベルです。

MDA以下の数値で何かを語りたいという人は、まずMDAの意味を100%理解して、それから語りかける対象の人もMDAの意味を100%理解していることを確認してからにした方がいいでしょう。

AT1320AのMDA(検出下限値)” への6件のコメント

  1. 二宮さん、解説ありがとうございました。

    先日この課題に遭遇して、よーく(2日間)考えてやっぱり「Currie方式」が合理的だと感じました。

    「実際には離れていないのに間違って離れてしまっていると見る危険率」と
    「実際には離れているのを間違って離れていないと見る危険率」が
    同じ(危険率=5%)になるようにするという方が学問的にはすんなり受け入れられますね。安全方向でもなく危険方向でもない。

    そうするといつか3.26σに移行が必要でしょうか。

    • jirochoさん、

      危険率5%での検出下限の検出はすでに採用されているはずです。(バックグランドと検体の測定時間が同じであればバックグランドの3.3σになっているはずです。)
      実際、検体の重量が同じであれば、検出下限値は同じ値が出ていますから、そのような計算が行われていることと思います。測定時間を変えたら検出下限値が変わるかどうかはまだ調べていないので、やってみなければと思っています。

      少し謎なところがあって、ソフトウェアの設定で誤差の範囲を2σか3σに選べるのですが、これを変えると検出下限値も変わるのです。Currie方式で危険率5%を採用しているのであれば、この設定で検出下限値が変わるのは変です。
      アドヒューテックに問い合わせたら、向こうでも悩んでいるという回答でした。誤差範囲の設定を変えることにともなって危険率の値を変えているということであればありえるのですが、そんな変則的なことをするもんだろうか?と腑に落ちません。

      時間がある時にいろいろ実験をしてこの謎解きに挑戦してみたいと思っているのですが、最近予約一杯ですし、なかなかそういうことをやっている余裕がないです。

  2. あ、AT1320Aは「Currie方式」採用なので危険率5%なら3.3σ(≒1.625σX2)になっているはずということですね。了解です。
    確かに検出下限値は検体重量に反比例してますね。(137Cs:1000gで4.5Bq程度に見える)

    バックグラウンド測定時間と検体の測定時間が同じでないと本来の「Currie方式」と同じにならないということですね。どの程度変わるか変わらないかはいずれやってみましょう。

    誤差の範囲(2σ or 3σ)の設定を変えると検出下限値が変わる・・?
    う~ん、5%危険度による検出下限値は検出の閾値と考えて、測定値の誤差(2σ or 3σ)を含めてこの閾値を越えたところで検出(このポイントが検出限界)という扱いにするなどということは無いでしょうかね。
    これ、単なる思いつきなのですが。
    実際どの程度の差が出るのでしょうか。

    いやぁ、いろいろ知りたいことがありますねぇ。
    なかなかついていけません。放射能測定、奥が深いです。

  3. 昨日「やさしお」を測った時に、15分測定と30分測定の違いをチェックしてみました。
    計算式からは、(バックグランドの測定時間の逆数+検体の測定時間の逆数)の平方根にMDAは比例してくるはずです。
    バックグランドの測定時間は3時間ですから、30分測定のMDAの1.36倍が15分測定のMDAになっているはずです。
    結果はほぼ1.36倍で合っていました。1.36倍からのずれは1%程度でした。

    これは、KaiserでもCurrieでも似た様なことになるはずですから、これでどちらを使っているという風には言えません。検出率などの細かい数字がわかっていれば、1%程度のずれをよく調べてKaiserとCurrieの違いを確認できるのかもしれませんが、それらの数値がわかりませんから難しいです。ATOMTEXがCurrieを使っていると言っているのでそうなんだろうということには変わりはありません。

    信頼度の2σと3σの設定の違いが、MDAの数値にほぼ2:3で効いてくることから、この結果にさらにその係数をかけているように見えますが、それは何とも奇妙なことです。

  4. ピンバック: 測定結果まとめなどのリスト | 八王子市民放射能測定室

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