「日々の測定結果、2012年6月」への21件のフィードバック

  1. 今日測定した灰は、柳を燃やしたものと聞いています。灰を測るといろいろ濃縮されて出てきますが、今日は477keVあたりに強くピークが出たので、「何だろう?」と思っていろいろ調べてみたのですが、どうもベリリウム7の様です。
    ベリリウム7は宇宙線が窒素に作用して生成される原子ですが、半減期が53日ということで、それほど古いものは存在しないというのが特徴です。そのせいで近い過去の太陽活動の度合いと密接な関係にあるようです。
    これほどしっかりピークが出るほど存在するものなのか、少し疑問なんですが、今のところ他に考えられそうな放射性同位体は思いつきません。今後も少し注意して見ることにします。

    1. 宇宙線に関して、勝手な推測でいい加減なことを書いたので修正します。宇宙線の量は太陽活動が弱い時の方が激しいようです。太陽活動の11年周期および22年周期との関わり具合については、
      http://goo.gl/qGB21
      これなどが参考になります。

      ベリリウム7の植物への現れ方については
      http://goo.gl/55h1Q
      この論文が唯一参考になるものとして見つかりました。

      根からよりも葉っぱから吸収するものがほとんどのようですね。
      これは中国の論文で2005年に調査したものですから、今の日本において、どの程度ベリリウム7が出てくると見ていいのかは、まだよくわかりません。

  2. 昨日、仲野さんが「給食まるごと測定」のシュミレーション実験を行っています。
    488Bq/kgの汚染しいたけを使った給食を作ってみたそうですが、しいたけを水でもどした時点で90Bq/kgになり、さらにそれを給食で実際に使われそうな分量を想定して1kgあたり10gの量で加えたそうです。調理後に、この汚染しいたけは0.9Bq/kgになっているはずですから、当然のごとく何も検出されませんでした。
    小学生でもできる算数で結果は予想できることなんですが、八王子市の職員はそういう算数を理解しようとしないので、わざわざシュミレーション実験までして、あたりまえの結果を見せておいたというわけですね。

    「できるだけ給食に汚染食品を入れないために最善をつくそう」という考え方なのか、「大きな数値が出てないことを示して安心させればいい」という考え方なのか、あくまで後者の考え方にこだわりたい人たちには何を言っても無駄なようですね。

    「ある程度以下の数字であれば100%無害で健康に何の影響もない」と誤って信じているからそういう考え方ができるのでしょうね。そうは信じてなくて、「ただ自分たちの仕事を楽にしたいだけ」という説もありますが、そこまで市の職員は堕落していないと思いたいですね。

  3. 6。.6.さようなら原発集会@日比谷野音の、林洋子さんの朗読を聞きたくて、また応援したくて参加してきました。(林さんはもちろん、測定室のボランティアスタッフです!) 全国各地からの、原発反対署名に付けられた手紙を、林さんは、その人たちになり変ったように朗読されました。原発労働者の近親者の方、主婦の方、遠い離島の方などの一様でない原発反対の想いを朗読されると、会場は水を打つたように静まりかえりました。「次世代のためにも、自分たちのためにも、もう原発は止めよう」という想いを会場のみんなが共有していた瞬間でした。力強い朗読に、私たちの林洋子さんが朗読されている!と、とても誇らしく感じました。
    大江勘三郎さん、落合恵子さんの話も説得力があったけれど、加藤登紀子さんの歌も素晴らしかったけれど、一人ひとりの市民の署名を集める努力がこの運動の基盤なのだと感じ、それを代読される林さんに、心から感謝したいと思いました。寒かったけれど、心は温かになった夜でした。もちろん、デモの後、二人でワインでお疲れ様会をやって帰りました。(西田)

  4. 「カリウムが多い時にスピルオーバー分を引き算する量が大きすぎて、Cs134の過小評価が見られる」というのがこどみらの測定所では報告されていて、「新バージョンになってそれが直っているらしい」という報告もありました。
    ところが、ハカルワカル広場の昨日、今日の測定結果を見ると、どうもカリウムが多い時にスピルオーバー分の引き算が小さすぎて、Cs134の過大評価、Cs137の過小評価が起こっているような、そんな感じを受けます。
    センサーのエネルギー感度特性が、センサー個体によって微妙に違ったりするのでしょうか。「あっちに合わせばこっちがずれる」、「こっちに合わせばあっちがずれる」、というようなことなのかもしれません。

    引き続き、カリウムが大きい時の測定値に要注意でしょう。

    1. 今日の「柿の茶葉」の測定でも同様の傾向が出ています。
      http://goo.gl/Abj1L
      このスペクトルからは、セシウムの存在を見ることは難しく、ここまで見えない場合は「不検出」になってしかるべきだと思うのですが、カリウムの影響を引き算する時の引き具合がちょっとずれていたりすると、こういうCs134だけが誤検出されてしまうことが起こり得ます。
      幼稚園で使う予定の茶葉だということで、コメントするのに苦しみました。

      「あるものをないと言ってしまう危険性」「ないものをあると言ってしまう危険性」、その両方に注意深くある必要があるのですが、測定器の性能限界ギリギリのところになると非常に難しいです。

    2. 今日「やさしお」を測定してみて、カリウムが過激に多い場合にどうなるのかチェックしてみました。

      結果は公開シートにありますが、みごとにCs134を誤検出で、17.0Bq/kgと出ました。Cs137は不検出です。

      以前に「やさしお」を測定した時のコメントはこれです。
      http://hachisoku.org/blog/?p=274#comment-92

      今回はカリウムが8980Bq/kgと前回よりやや高い目に出ていますがこれは誤差の範囲内で当然ありえるばらつきです。しかし、Cs134を検出してしまうのは問題です。

      だいたい証拠も出揃ったので、アドヒューに問い合わせをしてみます。

      1. アドヒューから早速返事をもらいました。

        「測定器のセンサーは規格化されていて特性もそろっているはずなので、測定器の機体差で悪い方向にずれるなどということはないだろう」ということですが、それほど自信があるわけでもなさそうな感じです。ATOMTEXが何をやっているのかよく見えない部分があるようですから、代理店からはっきりした返事がもらえないのはしょうがないところではあります。

        カリウムが多い時の補正のパラメータなどもATOMTEXが今回のバージョンアップにともなって変更したようなんですが、それはブラックボックスの中にあり、どうにもいじりようはないようです。

        というわけで、この問題とは付き合っていくしかなさそうです。0±0問題はなくなったよかったのですが、また別のやっかいな問題が現れてしまいました。

        しばらくデータを積み上げてから、「限界値近辺でCs134のみが検出された時の対応」というのを決める必要があるかもしれません。

    3. 今日のスキムミルク(12061401)の測定結果でもまた同じ傾向が出ています。カリウムが大きくて、Cs134過大評価による誤検出です。
      こう毎日でるようでは困ったものです。

      早急に新しい基準を作って、こういう場合のCs134の検出値を「不検出」として修正して報告するようにすべきです。
      ボランティアの測定担当者がともどわないようにわかりやすい基準を作る必要があるので少し検討時間が必要ですが、できるだけ早く決めるようにします。

  5. 今日の小松菜がCs137だけ「検出」になっているのが、「あれ?」と思わせる結果です。
    スペクトルを一生懸命眺めても、全然セシウムが出ている気配はありません。
    むしろ、その後の梅の方にややあやしさを感じるのですが、こちらは完全「不検出」です。
    小松菜と梅のスペクトルを重ねてみましょう。
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=578,579

    こういう微妙なところは、サイコロの目の出方で「検出」だったり「不検出」だったりするのだと思ってください。

  6. 今日測ったミントにはいろいろな自然放射能が出ているようで、微妙に検出されてしまった測定結果を評価するのにかなり悩みました。

    バックグランドからも出ているのではないかと少し気になったので、バックグランドを測る時と同じ条件で水道水を測ってみました。
    水道水とバックグラウンドのスペクトルを比較すると、次のようになります。
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=603,0
    バックグラウンドは3時間測っているのでグラフがよりなめらかですが、両者にほとんど違いはありません。30分の測定ではちょっとした刺の様なものが出てくることがわかります。こういう刺は単なる統計的ゆらぎから出てきているものでしょう。

    ミントの測定結果のスペクトルをバックグランドと比較する形で見てみましょう。
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=601,0
    400台後半~500台前半、500台後半~600台前半になにか盛り上がりの様なものがありますが、Be7,Tl208,Bi214などの自然放射能が入り混じっているのではないかと思われます。

    肝心のセシウムですが、796keVのところはほとんど出っ張りが見えません、そして662keVのところもわずかに上にいっているようでもありますがそれはカリウムのスピルオーバー分程度でしょう。そして605keVは自然放射能の山に埋もれていてわかりません。
    600台前半の盛り上がりをCs137の分として計算に入れられてしまうので、Cs137が大きい目に出た結果検出となっています。
    検出限界以下の部分でどうなっているのか定かではありませんが、この測定結果を見る限りでは放射性セシウムは「不検出」と見るのでいいだろうと思います。

  7. 今日は測定結果のお話をするのがつらい日でした。
    福島県伊達市の玄米と千葉県佐倉市の柿の葉を持ってこられた方、結果を聞きに戻ってこられたときに
    「出てしまいましたね」
    と言うと、
    「やっぱりそうでしたか」
    とがっくりした様子。玄米の方は多少は覚悟できていたようなんですが、柿の葉の方まで出てしまって、それも夏には麦茶代わりにして愛飲しておられたということで、残念さが隠せない様子でした。

    私も「検体量が小さいのでかなり過大評価になっている可能性もあります」という程度のことは言えましたが、やはり出ているという事実は伝えなければならず、何ともつらい仕事でした。
    もちろん、依頼者の方は、「そういう事実が知れてよかったし、測定室があってくれて大変ありがたい」ということで感謝してくれました。

    これはほんの一粒の小さな悲しみで、日本中にどれほどの悲しみがあるのか、想像が及びません。
    「電気がなくなった時に生まれる悲しみの総量の方がもっとずっと大きい」と言って脅す人たちがあちこちにいるようです。原発がなかった時代のじいちゃんやばあちゃんたちからそんな悲しい話をきいたことがあるでしょうか。あるとしたら「戦争」の話だけでしょう。

  8. 小笠原父島の「どぶ土」と「庭土」のスペクトルを比較します。
    http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=608,609
    庭土の方がカリウムが大きく出ていますが、その他の自然放射能はあまり出ていません。
    一方「どぶ土」の方は、いろいろ自然放射能が入っています。
    Be7がかなり強烈にあり、Bi214,Pb214も多少あるようです。605keVから662keVあたりは自然放射能の影響もあり、はっきりした二こぶとして認識しにくいですが、確実に盛り上がっています。さらに796keVのところに小さいながらもしっかりこぶが見られるので、まず間違いなくセシウム汚染があると言っていいでしょう。Cs137とCs134の比率から見て、福島由来であることは疑いようがないです。
    はるか小笠原まで飛んでいたということがこれではっきりしました。

  9. 二宮さん予測通りでしたね、依頼者の方が早川先生にブログにて報告されていましたので、Twitterでは盛り上がりつつあります。

  10. 辛い仕事でしたね。私も、がっくりされたことがあります。丹精込めて作ったシイタケから大量にセシウムが検出され、「全部捨てよう」と言われました。そして、自分は趣味で作っているからまだいいが、生業の人たちは、気も狂わんばかりだろうと、とも言っておられました。辛いけれども、事実を伝えることが私たちの仕事であり、それを受け止めていただくことも、大切なことですよね。どんなに悲しいことが、この国のあちこちに渦巻いていることか。それでも、また懲りずに、原発再稼働決定されました、、、

  11. 昨日、八王子産マッシュルームから微量ながら検出されています。
    マッシュルームはどうやって作るのか、全く知識のない私は、 http://goo.gl/4usHI こういうところを見てみたのですが、普通は人工堆肥で屋内栽培のようですね。
    ただ、昨日測定したものは屋外栽培のものだったらしいです。それでセシウムが微量に入ったのでしょうね。椎茸とはかなり栽培の仕方が異なるので、セシウムの出方も違うようですが、やはり「きのこ」という共通点があると「出やすい」ということはあるのでしょう。

  12. 測定No.12062504とNo.12062905の土のスペクトルに共通に見られる244keV付近のピークは、Pb214と読み取っていいのでしょうか? Pb214の242keVに近いようですが。(352keV付近にも少しピークが有りそう)
    Pb214だとすれば採取日から1週間以上経っていて検出されるということは、親のRa226などが含まれていて放射平衡にあると考えていいのでしょうか?

    1. 352keV,295ke近辺に多少あるピークはPb214の影響だと思います。
      しかし、240~250keVあたりに強くあるピークはトリウム系列のPb212,Ra224によるものと思われます。
      同じくトリウム系列のTl208の511,583keVあたりも少し出ているように思われます。
      土ですから、Th232からTl208まで、ほぼ放射平衡で同ベクレル数存在していると見ていいと思います。

  13. 「240~250keVあたりに強くあるピークはトリウム系列」ということですか。なるほど、Pb212が発するγ線に239keVというのがあるのですね。これまではウラン系列に接することが多かったのでそちらに目がいってしまいますが、トリウム系列についても勉強が必要ですね。

    ウランにしてもトリウムにしても壊変系列図は良くあるのですが、その壊変時に発するγ線のエネルギーまで書いた図がなかなか見当たりません。
    エネルギースペクトルの横軸(エネルギー)に該当する核種の一覧を作ろうかと思うのですが、なかなか整理された資料に出会いません。どこかにいい資料は無いでしょうか? 

    1. 私がよく参考にしているのは、
      http://goo.gl/wRJrl
      このページですが、ここには少し誤りがありトリウム系のRa224をRa226と書いていたりTl208をTi208と書いていたりします。また、このリストにはもれているものも少しあるようです。

      核種別に見る時は、
      http://www.nucleide.org/DDEP_WG/DDEPdata_by_Z.htm
      ここをよく見ます。
      tableのところで、Gamma Emissionsというのを見ればいいです。ヨーロッパ式で小数点がカンマ表記です。

  14. 二宮さん、ありがとうございます!こんな資料が欲しかったんです!

    測定したデータのスペクトルを見るときに、まずは太字のところを意識して見れば良さそうですね。
    それにしても内容の誤りや漏れの指摘ができるとはさすがプロです。

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