広場だより14号 巻頭寄稿文 金八デモはいま

金八デモはいま

毎週金曜日の午後6時。京王八王子駅近くの船森公園に思い思いに人が集まってきます。原発反対金曜日八王子デモ、略して金八デモの皆さんです。30分の集会の後、駅周辺を約40分、「原発なくたって」を歌ったり、「原発反対!」「安心して、きのこが食べたい」とコールしたり、手作りの風車を掲げたり、プラカードを持ったりして歩きます。「原発をなくしたい」との思いから、自分の意志で集まってくる人たちです。

金八デモは、ハカルワカル広場の有志が呼びかけて始めましたが、今は実行委員会が主催しています。ハカルワカル広場はホームページを担当、また、連絡場所を引き受けて協力しています。2012年9月14日が第1回。3年近くになります。「原発ストップの兆しが見えるまでは続けよう」と決めて、続けていますが、一向にその兆しは見えません。それどころか、福島原発事故はなかったかのように、原発再稼働への準備が進み、人々の関心も薄らいでいます。そんな中、金八デモを続けている皆さんのお気持ちを聞きたいとハカルワカル広場のお茶会で「思いのたけ」を話してもらいました。(西田)

<2015年6月6日 金八デモ参加者とハカルワカルボランティアの交流会>

西田:昨日で金八デモは125回目でしたが雨で中止となりました。金八デモにどのような思いで参加されているのか、その思いを語ってください。

M.Hさん:金八デモ実行委員会で実行委員をしています。これまで124回中120回くらい参加している。みんなで声を上げるのが性に合っている。時々、測定結果のデータを金八デモで報告して欲しい。

H.Tさん:北野に22年住んでいる。金八デモにも時々参加している。

S.Iさん:官邸前に行っていたが、昔と違い、組合動員とかではなく、個人の意思で参加しているところが今は違う。デモを企画するのは大変だと知っている。来たことのない人を誘っているが、なかなか来てもらえない。

K.Yさん:原発の爆発、その後の対応を見て、こんな連中にまかせてはおけないと思い、デモに参加しはじめた。自宅の浸透ますの汚泥を測定し(8000ベクレルあり)、原発の恐ろしさを実感した。

M.Kさん:津波の後、不謹慎かもしれないがこれで社会が変わると思った。そしてデモも政府のやることも変わってきたが、時間が経つと忘れて行く。今の社会に不満を持つ人が増え、集まる機会が増えれば希望がもてるのではないか。

T.Yさん:国会前に行っていたが、遠くて毎週は行けないので、金八は近くて助かる。金八デモを外に向けて発信することも大事。横浜や横須賀でもデモを続けている。それぞれ自分の地元でやることも大切だ。

K.Yさん:参加のきっかけは「秘密保護法」から、安倍政権に絶望と怒りを感じて。自分にとって金八デモは精神安定剤。腹の底から大声を出す。マスコミは萎縮しているが、金八デモには萎縮しないでほしい。女性4人のコールが素晴らしい。

Y.Kさん:初めは国会デモに行っていたが、続けるのは大変。金八デモには気軽に参加できるよさがある。続けているのは原発反対の気持ちを持続するため。気持ちはあっても参加できない友人の分も。楽観視はしていないが考えて行動していく。

A.Hさん:金八デモに初めのうちは何回か参加していた。

M.Oさん:運動を広めてゆくにはそれぞれの地元でやるのがいい。原発に始まり、「標的の村」を見て沖縄への関心が深まった。今は「辺野古に基地を作るな」とコールしている。北海道に帰るが、アイヌのこともようやくわかってきた。

Y.Uさん:母の親友も広島で被爆した。原発があると事故があると思っていた。アイヌを滅ぼした日本人の私である葛藤。だからデモに行き、絵を描く。

K.Aさん:デモの動画撮影という立場で参加している。罵声では外の人に響かないので、肯定的な言葉を使ってもっと外に伝わるように努力してほしい。

二宮:こんなにもいろいろな思いが金八デモを支え続け作っていることが分かった。毎週やっている人に頭が下がる。原発をなくすためにいろいろなことをやっていかねばと思う。

西田:新しい方が入ってくるととても嬉しい。原発反対の思いを可視化する役目が金八デモにはある。デモに対するハードルがあるようだが、それを超えられるような工夫が必要だと思う。最近はデモ行進のときの周りの反応がよくなったと感じる。
次に、実行委員のお一人であるイズミコさんにお話をうかがいました。

<2015年7月2日 イズミコさんインタビュー(聞き手:石井)>

  • 参加者の人数はどのくらいですか?
    ――始めたときは200人、一ヶ月後に100人、その後少しずつ減り、今は30人から40人くらいで推移しています。お花見デモには100人ぐらい来ました。
  • どんなコールをしながら歩くのですか?
    ――なるべくわかりやすく、子どももわかるくらいの言葉を使ったほうがいいかなと思い、「自然を守ろう」「安心して野菜や魚が食べたい」「原発事故は終わってない!」「原発なくても電気は作れる」など。最近は「沖縄とつながろう」「戦争する国絶対反対」などもあります。原発反対で始まったデモの団体なので、それ以外の新しい問題を入れるときは集会時に参加者のみなさんに聞いてみるのですが、問題の根本はつながっているので、だいたい同意していただいています。
  • デモにはいつも警察がつきますね。どのような手続きをしているのですか?
    ――デモは車道を歩くので警察に届け出をしなければなりません(都の交通条例)。毎週一週間前に書類を提出するのですが、その書類は手書きでなければなりません。しかも警察に行って、警察官の前で3部、それぞれにデモのコースも手書きします。中止の時は、その日のうちに中止届を出しに行きます。それから、公園で集会をするために市から(実際は指定管理業者)使用許可証をとり、使用料を980円払います。
  • 金八デモの目的はなんですか?
    ―—原発事故がうやむやにされていることや、深刻な放射能汚染が現在も続いていることを沿道の人に考えてもらいたいと私は思っています。

ただ最近、週1回のデモという今のやり方を続けるほうが良いのか、月1回くらいにしたほうが良いのか、という二つの間で悩んでいます。デモは人数が多いほうが、やっぱり効果的だと思うから、人数を少しでも増やしたいというのが、その根本にある気持ちなのです。金曜日の夜6時という時間帯で、もし参加層が制限されてしまっているのならば、例えば土曜や日曜などの昼間などで月1回に絞って、そこに集結すれば今よりもう少し参加層が広がるのではないかとも思うのです。でも、毎週やっているからこそ、都合の合う時にいつでも参加できるし、また毎週コツコツ続けて、訴え続けているということを高く評価してくださっている方もたくさんおられます。だからその間で現在悩んでいます。

どうしたら、もう少したくさんの人に参加してもらえるデモにできるのでしょうか?
デモで伝えたい問題は、原発問題以外にもどんどん増えてきて、どれもがとても深刻ですが、やはり、音や雰囲気で楽しく元気なデモにして、少しでも沿道の人たちに耳をかたむけてもらえるようにしたいのです。どうか、みなさんのお知恵をお貸しください。

イズミコさん、ありがとうございました。金八デモを続けながらも、そのやり方の面で迷いもあるということがわかりました。誰もが参加しやすい効果的なデモのあり方を考えるのは、これからの私たちみんなの課題ではないかと感じました。(石井)

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