ハカってワカった話4号 微量測定値が増える、柑橘類の汚染、八王子の穀類

微量測定値が増える、柑橘類の汚染、八王子の穀類

二宮 志郎

2012年10月15日~1月31日測定結果

今号の測定データの集計表は年をはさんで(10/15~1/31)分になります。

検体種類 検体数 Cs137 Cs134
土・砂 71 66 66
土混じり植物 6 5 5
土・その他 1 0 1
泥、泥水 0 0 0
池水、川水 0 0 0
雨水・雪 1 0 0
水・その他 3 0 0
葉菜 16 0 0
根菜 25 1 1
果実・果菜 49 15 9
穀類 95 5 5
きのこ類 25 17 14
魚介類 4 1 0
肉類 2 1 1
卵類 2 0 0
水産加工品 4 0 0
肉類加工品 1 0 0
野菜・果実類加工品 3 1 1
穀類加工品 16 0 0
飲料 9 1 0
食品混合 2 0 0
茶葉 6 4 4
ペットフード 1 0 0
芽・茎野菜 2 0 0
海草類 0 0 0
食品・その他 10 0 0
植物葉 10 5 6
植物茎・枝 1 1 1
植物根 0 0 0
木質ペレット 1 1 0
植物・その他 0 0 0
5 4 4
0 0 0
その他 10 2 2
総計 381 130 120

【今年になって測定依頼が減少傾向】

測定した総検体数は381です。昨年中は予約がいっぱいの状況が続いていましたが、今年になってから、空きが目立つようになりフル稼働とは言い難い状況になっています。正月休み後の一時的な減少であればと思っていたのですが、2月になってもその傾向が続いていて、期間限定の無料キャンペーンを始めたり、測定数を確保するための対策をいろいろ検討中です。

【微量測定値が増える】

前ページの測定結果表では、土の測定結果からCs137が200Bq/kg以下のものを取り除いて、土以外の微量検出の結果が表に載ってくるように加工してあります。

10Bq/kg前後の測定値は測定器の限界に近いところでの数値になるので、その測定値そのものはかなり誤差範囲が大きく十分信頼できるものではありません。しかし、わずかに汚染があるという事実はスペクトルを注意深く観察することで確認することができます。判断が難しい時は、備考欄で補足していますが、説明が苦しくなるときもあります。

【柑橘類の汚染は減ってきてはいる】

2011年産の柑橘類では、八王子近辺産のものでも30Bq/kg程度の汚染値が確実と言っていいほど検出されていました。1年経つとどのくらい減ってくれるのか非常に興味深いところでした。

まだ十分たくさんの検体を測定しているわけではないので、はっきりとは言えませんが、傾向としては半分程度くらいには減っている感じです。20Bq/kg以下のところで、検出限界値ギリギリのところあたりに、数検体の柑橘類があります。2013年産になると検出限界値以下のものが多くなり、不検出が大半になるのではないかと思われます。

検出値が出るにせよ、出ないにせよ、「微量にはある」と思っておいて間違いはないでしょう。微量な汚染をどう考えて、どのように行動していくのか、そういう個人で判断する部分の重要性が増すでしょう。ICRPの基準値から、より危険性を重視している説まで、幅広く勉強していくのは大変ですが、福島を経験してしまった以上避けては通れません。今や、「読み・書き・そろばん・放射能」ですね。

【八王子の穀類でも微量検出】

昨年11月に八王子産小麦による小麦粉で検出、気持ちとしては「誤検出」であって欲しかったのですが、スペクトルを見る限りセシウムの存在を否定できませんでした。

ただ、この測定は検体の量が394gと少なかったこともあり、この一測定でもって八王子の穀類からの検出例と言うのはためらわれました。

しかし、年が明けて今年の最初の測定で今度は八王子の古代米から汚染値が出てきました。こちらはかなりはっきりとセシウムの存在を示していました。

スペクトルを以下に示しますが、横軸で605keV,662keV,796keVの3 ヶ所近辺が盛り上がっているのがわかると思いますが、これが放射性セシウムの存在を示す特徴です。

昨年中、「八王子近辺の農産物では、柑橘類、筍、お茶、きのこ類あたりを気をつけておけば大丈夫で、それ以外の穀類、芋類、野菜類では検出されたことはありません。」と説明してきたのですが、それを若干修正しなければいけないようです。

条件が悪い場合、八王子近辺の穀類でも20Bq/kg程度の汚染が検出されることはありえるということです。残念なことですが、事実として認めざるを得ないようです。

⇒ハカルワカル広場だよりの主要記事のインデックスは、ここにあります。

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