特集 甲状腺被ばく/甲状腺がん

 5月11日のお茶会「311子ども甲状腺がん裁判の報告会に参加して」は、甲状腺被ばく/甲状腺がんの実態を明らかにする企画でした。このたびホームページに「特集 甲状腺被ばく/甲状腺がん」の特集ページを作り裁判の争点を明らかにしました。

 「311子ども甲状腺がん裁判裁判の報告会」に参加して、これは福島原発事故の最も悲惨な被害だと思いました。子どもの健康を蝕むこと、がんにする事故! そして事故をひき起こした東電は、「事故による一切の健康被害はない」。福島県の医者たちも「甲状腺がんの多発を過剰診断」として、事故が原因とは認めません。

 病気と闘い、病気による一切の不利益を引き受けながら、原因を作った企業、県、国が一切責任を認めない、それがこの裁判の本質です。

 水俣病と同質の公害裁判と思います。メディアが報道しないために、非常に社会的認知度が低いです。このことを広く知らせていくことがハカルワカルの活動の重要な一つになってほしいと「特集 甲状腺被ばく/甲状腺がん」の特集記事を企画しました。

目次
1)東電の主張「福島原発事故で一切の健康被害はない」に対する原告(小児甲状腺がん患者)の反論
2)甲状腺がん裁判の記事など
3)311子ども甲状腺がん裁判支援ネットワーク
4)過去のハカルワカル広場ホームページの安定ヨウ素剤配布や甲状腺がんに関する投稿

1)東電の主張「福島原発事故で一切の健康被害はない」に対する

原告(小児甲状腺がん患者)の反論

  1. 東電の主張:100ミリシーベルト以下では小児甲状腺がんは発症しない。

原告側の反論:これは、現在の世界的常識に反する。チェルノブイリ事故でも100mSv以下で半数以上が発症したというウクライナのトロンコ教授の論文もある。また、ある値以下(ここでは100mSv)ならがんを発症しないという閾値はないということをICRPも認めている。LNT(Linear Non-Threshold)しきい値なし直線モデル仮説である。(下記参照)

  1. 東電の主張:ヨウ素131の放出量はチェルノブイリ事故の14分の1である。

原告側反論:この主張はUNSCEARの推定量に基づいている。事故直後の福島県の小学校の土壌測定(実測値)によれば、チェルノブイリ事故の時のゴメリー地区などと同等のヨウ素131の降下量(汚染)である。(下記参照)

  1. 東電の主張:原告らは甲状腺に有意な被ばくを受けていない(1080人の甲状腺検査を事故直後にした結果を示して)

原告側反論:検査がずさんであり、検査対象が少なすぎる(わずか1080人)。スクリーニングレベルを 0.2μ㏜としたが、それは高すぎる数値でその数値以上の被験者はいないので被ばくはしていないと結論づけたが、実情に近いのはむしろ、0.066~0.1μSvであると原告側は主張。

  1. 東電の主張:ホールボディカウンターで、内部被ばくは預託実効線量 1mSv以下が99.9%だったと主張。

原告側反論:バックグラウンドを着衣の数値としたため、測定値からバックグランド値を引くとゼロやマイナスとなり、ずさんな検査であった。またこの検査は2011年6月以降に実姉されたため、ヨウ素13ほとんど消えていた

  1. 東電の主張:チェルノブイリでは5年後から甲状腺がんが発症したのに、福島では検査を始めた直後(2011年10⽉)から発症している。

原告側反論:これは5年後に笹川財団が高性能の検査機器を多数寄付したため、たくさんの甲状腺がんを検出した。

  1. 東電の主張:チェルノブイリでは5歳以下でも甲状腺がんは発症したのに福島では発症していない。

原告側反論:チェルノブイリでは乳幼児が近隣の牧場の牛乳を飲む習慣があったため。日本ではそのような習慣はなく、乳児用粉ミルクである。

  1. 東電の主張:子ども甲状腺がんは、通常100万人に1~2人の発症率だが、福島事故後の38万人の中に370人の甲状腺がんの発症に対して、「過剰診断」と主張。

原告側反論:少なくとも原告たちは甲状腺の手術を受けており、受けなければ命の危険があった。また、多くの甲状腺がんを手術をした鈴木真一医師は過剰診断ではないと言っている。

  1. 東電の主張:UNSCEAR(国連科学委員会)の報告に東電は頼り、その権威を後ろ盾にして主張。

原告側反論:そもそもUNSCEARは核兵器、原発の推進機関である。核保有国が資金を出している。2020年、2021年報告も日本が資金を拠出。信頼性は低い。

2)甲状腺がん裁判の記事など(引用)

引用したホームページのサイト名、著者名、掲載日時、URLは下記を参照ください。

1.「10年、誰にも言えなかった」 原発事故後に甲状腺がんに 10代で発症した6人、東電提訴
2022年1月27日 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/156781

2.「原発事故で甲状腺がんに」6人が訴えた裁判始まる 東電は争う姿勢
2022年5月26日 朝日新聞

https://digital.asahi.com/articles/ASQ5V644BQ5VUTIL03H.html

3.福島県民が環境保健部長の退任要求〜福島県・検討委員会
小児甲状腺がん2024/05/07 – 15:19 OurPlanet-tv
https://www.ourplanet-tv.org/48625/

3)311子ども甲状腺がん裁判支援ネットワーク
https://www.311support.net/

311子ども甲状腺がん裁判支援ネットワークのNews Vol9.pdfを添付します。

第9回口頭弁論期日のご報告

上記甲状腺がん裁判NEWSに掲載されています。

 3年目に入った裁判  3月6日に行われた第9回口頭弁論期日における原告側の主張立証は、被告東京電力の「100mSvしきい値論」に対する反論が中心テーマでした。被告は、「100mSv以下の被ばくではがんの増加は確認されないというのが「国際的合意」である」と主張しますが、私たちは、そのような「国際的合意」はそもそも存在しないこと、最近の多数の疫学研究において、100mSv以下の低線量被ばくでも線量に応じた発がんのリスクがあることが確認されていること等を詳細に主張、立証しました。この問題は、これでほぼ決着がついたと考えています。(弁護団長 井戸謙一)

4)過去のハカルワカル広場ホームページの安定ヨウ素剤配布や甲状腺がんに関する投稿は下記です。

1. 2024年 5月11日お茶会「311子ども甲状腺がん裁判の報告会に参加して」のご案内
  https://hachisoku.org/blog/?p=12423
2. 2023年 311こども甲状腺がん裁判の原告支援のカンパをお願いします
  https://hachisoku.org/blog/?p=10152
3. 2023年 甲状腺エコー検査とヨウ素剤配布のお知らせ タワーホール船堀
  https://hachisoku.org/blog/?p=11121
4. 2019年 「安定ヨウ素剤を全市民へ配布してください」の請願を八王子市へ出しました。
  https://hachisoku.org/blog/?p=5941
5. 2018年 ハカルワカル広場 安定ヨウ素剤配布会のご案内 11月10日(土)
  https://hachisoku.org/blog/?p=5560
6. 2018年 安定ヨウ素剤自主配布プロジェクト in tokyo
  https://hachisoku.org/blog/?p=4319

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