7月末の分も含めて、私が留守中のデータを少しおさらいしておきます。 まず気になったのは、12072302の群馬県吾妻郡の玄米です。合算でやく18Bq/kg出ています。スペクトルは http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=754,0 これですから、少しあることは間違いないでしょう。群馬県吾妻郡というとやや高い汚染地域ですから、玄米ならこの程度出てきても不思議はないでしょう。白米なら不検出だった可能性が高いです。 12072402の夏みかんは、超微量ですね。 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=760,0 合算で一桁台の汚染がありそうな感じ、とまでしか言えません。去年の収穫分に比べるとかなり減ってきているようですが、今年産をもっとたくさん測定してみないことにははっきりしたことは言えません。 12072703の梅酒、使っている梅に汚染があることがわかっているのですから、梅酒に出てくるのは驚くにあたりません。ただ、梅酒にする時には、氷砂糖や焼酎をかなり加えているはずなので、梅からセシウムがほとんどしみ出したとしても、梅の汚染値よりは少しは低くなっているのが普通でしょう。それで、限界値ギリギリあたりの検出値になったのでしょう。 12072803、栃木県大田原市のキャベツ。これが、難しいです。カリウムがあるとは言ってもそれほど大きくは出ていません。 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=784,0 662keV,796keVあたりが盛り上がっているどうかが見極めどころなんですが、なんか統計的な揺らぎの範囲のノイズなのかどうかはっきりしにくい刺があり、非常に悩みますが判定を出すなら「不検出」というところでしょう。 8月になって、最初に2種類のきのこで検出されています。 http://primula.velvet.jp/mushrooms/aiba2.html http://mash-room.jp/kinoko/kawarihatu.htm こういうキノコのようですね。 そこの土のレベルと同じ程度は出てきても不思議ではない感じはします。 返信
今日は生ごみを堆肥化した検体を測定しています。いろいろな食物が堆肥化される過程で濃縮されているので結果がどうでるかが興味深いところでした。 結果のスペクトルは次のグラフです。 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=851,0 カリウムが強烈に出ています。いい堆肥になっている、ということなんでしょうね。 これだけカリウムが強いと、1200keVあたりから下のエネルギーのところでグラフ全体が盛り上がっているのがはっきりわかります。 こういう傾向の時、最近はCs134を誤検出してしまうことが多かったのですが、今回はそれがなかったようです。たぶん、もう少しで誤検出が出てしまうところだったのだと思います。 グラフ全体はバックグランドのグラフをそのまま少し上にシフトしたのに近いような形をしていますから、セシウムがあるという感じはありません。 一般過程の生ごみを堆肥化したものから検出されなかったというのは、少しほっとする結果です。生ごみの内容物の違いによって、また違う結果になると思いますので、一回だけで安心はできません。 返信
今日測定したタンポポ酒で微量に検出されています。スペクトルは、 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=853,0 これです。 600keVあたりに小さな盛り上がりがあることはよくあるのですが、自然放射能の影響の時は630keVあたりからすーっと沈んでいくのですが、これはその盛り上がりが上の680keVあたりまで伸びています。796keVのところはあまりないようにも見えますがわずかにずれた800keVあたりに小さなこぶがあります。 これらのことから、セシウム汚染がわずかにあるように思われます。合わせて10Bq/kg程度でしょう。 このタンポポ酒を作った時には、どのくらいのタンポポを入れたのでしょう?そのタンポポ自体はもっとかなり高い汚染があったのであろうと思います。 薬用酒のようなお酒だと聞きましたから、一日に飲む量はわずかでしょう。100cc飲んだら約1Bqの摂取ということになります。 返信
今日の山の水の測定ですが、昨日採取したばかりということで溶け込んでいるラドンが残っていることが十分予想されました。 測定結果のスペクトルは http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=862 これです。ビスマス214の609keVの影響が少しある感じがします。 参考までに1時間測定もしてみました。 1時間測定の結果のスペクトルは http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=863 これです。 測定ボランティアの人は両者をよく見比べておいてください。30分測定ではギザギザしている部分が1時間測定ではかなり滑らかになっています。 30分測定では700keVより少し上あたりになんかギザギザが飛び出ているようにも見えますが、これが統計的な揺らぎによるノイズにすぎないことが1時間測定の結果を見るとわかると思います。 こういうノイズが関係ないところにあればいいのですが、たまたま662keV近辺に来ることもあります。そういう時にスペクトルを見誤らないように注意する必要があります。言うのは簡単ですが、実際にそういう状況になるとかなり判断に悩むでしょう。 返信
昨日、「竹パウダー、笹」(12082002),「竹パウダー、幹」(12082003)というのがあります。 パウダーというと細かい粉状をイメージしますが、実際は細かい繊維状のパサパサ状態という感じでした。手でつかむとそれなりにかたまりとして取り出すことができるような状態です。かなり乾燥していることは間違いありません。 「笹」というのは葉っぱや細い枝の部分で、「幹」というのは太い竹の部分ということのようで、植物学的な竹と笹の定義の違いとは関係ないようです。 「笹」の方が「幹」よりも2倍以上の数値で検出されています。 事故直後、高濃度の放射能が地上に降ってきたころに、その竹がどういう状態であったのか、はっきりしているわけではありませんが、たぶんすでに成長し終わっていた竹なんだろうと思います。あっという間に成長してしまう竹のことを考えると、事故後に出てきた筍が現時点では完全な竹に見えることもありえるので、そういうものである可能性は排除できないでしょう。 今年の春の筍が30Bq/kg程度あったのですから、それが成長して竹になり、パサパサ状態にまで乾燥されれば68Bq/kgというのは十分ありえる数値だろうと思います。 事故前に成長済みの竹の場合は、葉っぱから取り込んだのでしょうか、根から吸い上げたのでしょうか、その辺はよくわかりませんが、なんらかのメカニズムでセシウムを内部に蓄えてしまったのでしょう。 返信
最近、微妙な測定結果がいくつかありました。 まず、12082104の福島産桃です。Cs134だけ検出されていたので、例によってカリウムが大きく出るときの不検出かと思ったのですが、スペクトルのグラフが少しだけ嫌な感じがします。 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=867,0 600台に、はっきりではないのですが二こぶありそうな気配があります。あくまで気配なので、それだけで「検出」と判断したら生産者に申し訳ないと思います。800近辺にCs134らしきふくらみがあれば、「検出」と判断するべきだとコメントすると思うのですが、それがないので、どちらかというと「不検出」だということになります。 こういうのは1時間測定してみて、少しグラフをなめらかにさせたところで判断したいです。 もしあったとしても5Bq/kg程度、200g食べて1Bqの摂取です。 12082203のどくだみも微妙でした。 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=872,0 600台になんとなく二こぶあって、800近辺がはっきりしないという点で、上の桃と似た感じです。なんとなく二こぶある分が、こちらの方は少しはっきりしているので、「出ているな」という感じがより強いです。 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=872,867 桃と比べるとこんな感じです。 Cs137だけが14Bq/kgとなっている数値は、ほとんどあてにならないから参考程度にしかなりません。「少しある」という以上にはなんとも言えない結果です。 返信
今日は2種類のきのこの測定結果が非常に興味深い内容です。 12082701のツチカブリはCs137だけが出ています。スペクトルを見ても、はっきり662keVのところだけにピークがあります。 12082401の混合きのこの結果と同じ傾向ですが、より強くはっきりとCs137だけがあり、Cs134がまったく見えません。こうなると核実験の影響と考えるしかありません。おそらく事故前でも100Bq/kg程度のきのこはあちこちにあったのでしょう。 http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/event/20120218qa.html このページなどで、事故前のきのこの汚染状況のことが少し述べられています。 12082402のカヤタケは全く同じ日に同じ場所で採取したものですが、こちらはCs137,Cs134ともに出ていません。きのこの種類によってこうも違うのですね。 http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=892,894 安易に「きのこだから」と一括りにしてはいけないのだということを実感しました。 返信
核実験の影響の話が出たので、昔メーリングリストに書いたのと同じ内容ですが、ここに転載しておきます。 よく引用される、気象庁の気象研究所地球化学研究部が2009年にまとめている論文集、 http://bit.ly/ejdTh8 によると、 「人工放射能は主に大気圏内核実験により全球に放出されたため、…、1963年6月に最大の降下量となり(90Sr 約170Bq/m2,137Cs 約550 Bq/m2)、その後…、およそ1年の半減時間をもって指数関数的に低下した。」 ということになっています。 ちなみに、核爆発ではCs134はできませんから、それは含まれていません。 福島事故による汚染はみなさんご存知のように、文科省のマップをみれば八王子では北西部の一部の高い地域で10000Bq/m2をちょっと越えるところがあり、八王子の中心あたりは7000〜8000Bq/m2あたりではないかという感じです。 これは、八王子のそのあたりの土を深さ5cmで測って100Bq/kg程度検出される場合が多いというデータと矛盾しません。100Bq/kgを65倍した換算でみると6500Bq/m2程度です。 この数字を550Bq/m2と比べると10倍以上違います。福島事故のせいで降ったセシウムの量は、原発に近づいていくと桁違いに大きくなっていきますから、全体で受けた影響と言えば核実験の最高の時などとは比べ物にならない大きさであることは歴然としています。 しかし、核実験は長い間続いていたということは考えないといけません。約550Bq/m2が最高だったのは一月あたりということで、この最高の勢いで1年間続いていれば、積算では7000Bq/m2近くになってきます。 気象庁のデータをみると550Bq/m2というのはダントツに高い値で、それ以外は一桁近く低い数値が数年続いている感じです。実際のところ総量ではどのくらい降って来たのでしょうか? すでにいろいろな人が調べてくれています。 http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/details/Fallout.html この人の計算によると、 1957 年以前から 2005 年のあいだの東京へのセシウム137 の降下量の総量は大ざっぱに見積もって、7600Bq/m2ということです。 これは48年間の積算です。「およそ1年の半減時間をもって指数関数的に低下した」と気象庁も書いていますから、実際に達した土壌汚染の最高レベルはこの数分の1だったのではないかと思います。 とにかく、八王子あたりの話で、48年間かけて降った全部の量に匹敵するものがあの3月のドカンの後の数日間に降り積もったわけです。2桁、3桁と大きな値の降下量を福島原発に近いところでは記録しています。 他のデータを見てみましょう。 これも以前私が一度紹介したことがありますが、土壌汚染の記録です。 http://psv92.niaes3.affrc.go.jp/vgai_agrip/soil_samples 畑作土のCs137に注目すると、1964年に最高の汚染を記録していますが、全国12ヶ所の平均で35Bq/kg、最高のところで65Bq/kgです。 さきほど書きましたが、現在八王子のその辺の平均的な場所の土を測ると100Bq/kg近くあります。 1960年代の核実験の降下物のピーク時に比べて、福島事故の影響は八王子ですらその2倍以上の汚染を土壌に受けています。 1964年に中学生の尿から4.5Bq/kgのセシウム137が検出されています。 http://is.gd/AQrJ50 福島の子供の尿から数Bq/kgのセシウムが検出されたとき、「1960年代のレベルとたいして変わらないから気にするな」と言う人たちがいましたが、私が考えたことははまったく逆でした。 「これは、始まりの始まりだ。今よりずっと低い1960年代の汚染ですら4.5Bq/kg出た子供がいたということは、この先もっともっと出る可能性がある。それを避けることができるかどうかは大人が子供をどれだけセシウムの内部被曝から守ってやれるかにつきる。」 ある意味で一番汚染がひどかった時期は通り越したかもしれません。しかし、注意すべき状況はこれから先長く続いていくことでしょう。 核実験の影響にしても、やっと最近になってかなりその影響が減り土壌汚染で一桁ベクレル/kgになっていたわけで、過去に私たちに及ぼしてきた健康への影響はかなりのものだったことでしょう。統計の中にしっかり出ていないだけであって、今日ガンで死ぬ私と同じ年齢(私は60年代に幼年期をすごした世代)の人がいたら、その遠因が子供のころに浴びた核実験の死の灰にあるのかもしれません。 「核実験の時と同じ程度だからたいしたことはない」 などいう発言は、二重三重の意味で許しがたいことです。 核実験を繰り返した核保有国、原発の放射能をばらまいた東京電力、まともな償いを一度もしていないどころか、真剣に反省したことすらない点で同じですね。 返信
昨日・今日と青梅地域の土をたくさん測っているのでまとめてみました。 (フォントの関係で多少列の位置が揃わなくて見にくいかもしれませんがご勘弁) 場所 Cs137 Cs134 Cs137+Cs134 ———————————————————– 青梅市若葉公園 137 98 235 青梅市河辺下グラウンド 313 250 563 青梅市鹿島多摩川神社 242 186 428 青梅市青梅スタジアム 152 124 276 青梅市ちがむら球技場 171 146 317 青梅市永山公園 375 298 673 青梅市釜の淵公園 213 174 387 青梅市梅の公園 195 148 343 青梅市成木7丁目運動広場 153 151 304 青梅市柚木3丁目児童遊園 183 166 349 御岳山ふれあいセンター 114 112 226 ———————————————————– 平均 204 168 373 (単位 Bq/kg) 以前八王子の土に関してまとめた時 http://goo.gl/32y7Q Cs134+Cs137の平均が130Bq/kg程度でした。それに比べると、今回の青梅の土11検体の平均は373Bq/kgと3倍近い数字が出ています。 八王子の方はいろいろ人が持ち込んだ36検体の平均だったの対して、今回は同じ人が持ち込んだ11検体という違いがあるので、単純に比較していいかどうかという点で議論の余地はあります。 しかし、それにしてもこれだけ大きな違いがあると、「青梅地域の方が八王子地域よりセシウムの汚染レベルが高いのではないか」と疑う根拠にはなるでしょう。 文科省の航空機モニタリング調査のマップ、早川マップの両方で、青梅と八王子は割と似たような汚染レベルになっています。どちらの地図でも西の方にやや高い汚染地域があるということになっています。 今回の11ヶ所には青梅でかなり東の方になる地点もあるようですから、現実の汚染はもう少し東の方まで広がっているのかもしれません。 返信
青梅の土が持ち込まれたデータを観て「持ち込んで調べてくれた人ありがとう!」とまず思いました。青梅で育ちましたし、今も母と姉が住んでいるからです。でも数値が八王子より高かったので、がっかりしていたところです。娘も時々遊びに行きますから・・・。 土地勘があるので大体の場所がわかるのですが(若葉公園じゃなくて若草公園かも?)、青梅の奥のほう(西のほう)が数値が高いかというとそうでもないようで、河辺下グランドは上記の11か所の中では一番手前(都心寄り、東のほう)にあたると思うですが、数値は永山公園に次いで高いですね。これは川の近くにある、ということは関係がありますか?でも川の近くということでは釜の淵公園も川の近くにあります。 二宮さんのいうようにマップより現実の汚染はもう少し東まで広がっているということなのでしょうね。そうなると、今度はこの地域で採れるお野菜は?という話になりますか? 返信
川の近くだから高い、というようなことは特にないと思います。川のそばにはよくコンクリート土手があるので、その土手下は必ずと言っていいほど高くなるようです。浅川の河川敷を測った時も、原っぱみたいになっているところの真ん中あたりはごく普通の値でした。 八王子の3倍くらいの汚染があれば、当然そこで採れる野菜が汚染されている可能性も高くなると思いますが、測定室の測定器で検出されるレベルまでの汚染に至ることはまれではないかという気がします。 八王子近辺でも検出されているもの、柑橘類など、に関してはより高い汚染が十分考えられるでしょう。とにかく、いろいろ測定してみることが重要ではないかた思います。青梅にも測定室がいるのではないでしょうか。 汚染が高い地域とされている奥多摩地域に関して、もっと突っ込んだ調査が必要だし、そういうところの調査基地になる存在としての意義は非常に大きいと思います。 返信
7月末の分も含めて、私が留守中のデータを少しおさらいしておきます。
まず気になったのは、12072302の群馬県吾妻郡の玄米です。合算でやく18Bq/kg出ています。スペクトルは
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=754,0
これですから、少しあることは間違いないでしょう。群馬県吾妻郡というとやや高い汚染地域ですから、玄米ならこの程度出てきても不思議はないでしょう。白米なら不検出だった可能性が高いです。
12072402の夏みかんは、超微量ですね。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=760,0
合算で一桁台の汚染がありそうな感じ、とまでしか言えません。去年の収穫分に比べるとかなり減ってきているようですが、今年産をもっとたくさん測定してみないことにははっきりしたことは言えません。
12072703の梅酒、使っている梅に汚染があることがわかっているのですから、梅酒に出てくるのは驚くにあたりません。ただ、梅酒にする時には、氷砂糖や焼酎をかなり加えているはずなので、梅からセシウムがほとんどしみ出したとしても、梅の汚染値よりは少しは低くなっているのが普通でしょう。それで、限界値ギリギリあたりの検出値になったのでしょう。
12072803、栃木県大田原市のキャベツ。これが、難しいです。カリウムがあるとは言ってもそれほど大きくは出ていません。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=784,0
662keV,796keVあたりが盛り上がっているどうかが見極めどころなんですが、なんか統計的な揺らぎの範囲のノイズなのかどうかはっきりしにくい刺があり、非常に悩みますが判定を出すなら「不検出」というところでしょう。
8月になって、最初に2種類のきのこで検出されています。
http://primula.velvet.jp/mushrooms/aiba2.html
http://mash-room.jp/kinoko/kawarihatu.htm
こういうキノコのようですね。
そこの土のレベルと同じ程度は出てきても不思議ではない感じはします。
今日は生ごみを堆肥化した検体を測定しています。いろいろな食物が堆肥化される過程で濃縮されているので結果がどうでるかが興味深いところでした。
結果のスペクトルは次のグラフです。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=851,0
カリウムが強烈に出ています。いい堆肥になっている、ということなんでしょうね。
これだけカリウムが強いと、1200keVあたりから下のエネルギーのところでグラフ全体が盛り上がっているのがはっきりわかります。
こういう傾向の時、最近はCs134を誤検出してしまうことが多かったのですが、今回はそれがなかったようです。たぶん、もう少しで誤検出が出てしまうところだったのだと思います。
グラフ全体はバックグランドのグラフをそのまま少し上にシフトしたのに近いような形をしていますから、セシウムがあるという感じはありません。
一般過程の生ごみを堆肥化したものから検出されなかったというのは、少しほっとする結果です。生ごみの内容物の違いによって、また違う結果になると思いますので、一回だけで安心はできません。
今日測定したタンポポ酒で微量に検出されています。スペクトルは、
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=853,0
これです。
600keVあたりに小さな盛り上がりがあることはよくあるのですが、自然放射能の影響の時は630keVあたりからすーっと沈んでいくのですが、これはその盛り上がりが上の680keVあたりまで伸びています。796keVのところはあまりないようにも見えますがわずかにずれた800keVあたりに小さなこぶがあります。
これらのことから、セシウム汚染がわずかにあるように思われます。合わせて10Bq/kg程度でしょう。
このタンポポ酒を作った時には、どのくらいのタンポポを入れたのでしょう?そのタンポポ自体はもっとかなり高い汚染があったのであろうと思います。
薬用酒のようなお酒だと聞きましたから、一日に飲む量はわずかでしょう。100cc飲んだら約1Bqの摂取ということになります。
今日の山の水の測定ですが、昨日採取したばかりということで溶け込んでいるラドンが残っていることが十分予想されました。
測定結果のスペクトルは
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=862
これです。ビスマス214の609keVの影響が少しある感じがします。
参考までに1時間測定もしてみました。
1時間測定の結果のスペクトルは
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=863
これです。
測定ボランティアの人は両者をよく見比べておいてください。30分測定ではギザギザしている部分が1時間測定ではかなり滑らかになっています。
30分測定では700keVより少し上あたりになんかギザギザが飛び出ているようにも見えますが、これが統計的な揺らぎによるノイズにすぎないことが1時間測定の結果を見るとわかると思います。
こういうノイズが関係ないところにあればいいのですが、たまたま662keV近辺に来ることもあります。そういう時にスペクトルを見誤らないように注意する必要があります。言うのは簡単ですが、実際にそういう状況になるとかなり判断に悩むでしょう。
昨日、「竹パウダー、笹」(12082002),「竹パウダー、幹」(12082003)というのがあります。
パウダーというと細かい粉状をイメージしますが、実際は細かい繊維状のパサパサ状態という感じでした。手でつかむとそれなりにかたまりとして取り出すことができるような状態です。かなり乾燥していることは間違いありません。
「笹」というのは葉っぱや細い枝の部分で、「幹」というのは太い竹の部分ということのようで、植物学的な竹と笹の定義の違いとは関係ないようです。
「笹」の方が「幹」よりも2倍以上の数値で検出されています。
事故直後、高濃度の放射能が地上に降ってきたころに、その竹がどういう状態であったのか、はっきりしているわけではありませんが、たぶんすでに成長し終わっていた竹なんだろうと思います。あっという間に成長してしまう竹のことを考えると、事故後に出てきた筍が現時点では完全な竹に見えることもありえるので、そういうものである可能性は排除できないでしょう。
今年の春の筍が30Bq/kg程度あったのですから、それが成長して竹になり、パサパサ状態にまで乾燥されれば68Bq/kgというのは十分ありえる数値だろうと思います。
事故前に成長済みの竹の場合は、葉っぱから取り込んだのでしょうか、根から吸い上げたのでしょうか、その辺はよくわかりませんが、なんらかのメカニズムでセシウムを内部に蓄えてしまったのでしょう。
最近、微妙な測定結果がいくつかありました。
まず、12082104の福島産桃です。Cs134だけ検出されていたので、例によってカリウムが大きく出るときの不検出かと思ったのですが、スペクトルのグラフが少しだけ嫌な感じがします。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=867,0
600台に、はっきりではないのですが二こぶありそうな気配があります。あくまで気配なので、それだけで「検出」と判断したら生産者に申し訳ないと思います。800近辺にCs134らしきふくらみがあれば、「検出」と判断するべきだとコメントすると思うのですが、それがないので、どちらかというと「不検出」だということになります。
こういうのは1時間測定してみて、少しグラフをなめらかにさせたところで判断したいです。
もしあったとしても5Bq/kg程度、200g食べて1Bqの摂取です。
12082203のどくだみも微妙でした。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=872,0
600台になんとなく二こぶあって、800近辺がはっきりしないという点で、上の桃と似た感じです。なんとなく二こぶある分が、こちらの方は少しはっきりしているので、「出ているな」という感じがより強いです。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=872,867
桃と比べるとこんな感じです。
Cs137だけが14Bq/kgとなっている数値は、ほとんどあてにならないから参考程度にしかなりません。「少しある」という以上にはなんとも言えない結果です。
今日は2種類のきのこの測定結果が非常に興味深い内容です。
12082701のツチカブリはCs137だけが出ています。スペクトルを見ても、はっきり662keVのところだけにピークがあります。
12082401の混合きのこの結果と同じ傾向ですが、より強くはっきりとCs137だけがあり、Cs134がまったく見えません。こうなると核実験の影響と考えるしかありません。おそらく事故前でも100Bq/kg程度のきのこはあちこちにあったのでしょう。
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/rpjt/event/20120218qa.html
このページなどで、事故前のきのこの汚染状況のことが少し述べられています。
12082402のカヤタケは全く同じ日に同じ場所で採取したものですが、こちらはCs137,Cs134ともに出ていません。きのこの種類によってこうも違うのですね。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/show_spectrum.cgi?fdir=d2012&fnum=892,894
安易に「きのこだから」と一括りにしてはいけないのだということを実感しました。
核実験の影響の話が出たので、昔メーリングリストに書いたのと同じ内容ですが、ここに転載しておきます。
よく引用される、気象庁の気象研究所地球化学研究部が2009年にまとめている論文集、
http://bit.ly/ejdTh8
によると、
「人工放射能は主に大気圏内核実験により全球に放出されたため、…、1963年6月に最大の降下量となり(90Sr 約170Bq/m2,137Cs 約550 Bq/m2)、その後…、およそ1年の半減時間をもって指数関数的に低下した。」
ということになっています。
ちなみに、核爆発ではCs134はできませんから、それは含まれていません。
福島事故による汚染はみなさんご存知のように、文科省のマップをみれば八王子では北西部の一部の高い地域で10000Bq/m2をちょっと越えるところがあり、八王子の中心あたりは7000〜8000Bq/m2あたりではないかという感じです。
これは、八王子のそのあたりの土を深さ5cmで測って100Bq/kg程度検出される場合が多いというデータと矛盾しません。100Bq/kgを65倍した換算でみると6500Bq/m2程度です。
この数字を550Bq/m2と比べると10倍以上違います。福島事故のせいで降ったセシウムの量は、原発に近づいていくと桁違いに大きくなっていきますから、全体で受けた影響と言えば核実験の最高の時などとは比べ物にならない大きさであることは歴然としています。
しかし、核実験は長い間続いていたということは考えないといけません。約550Bq/m2が最高だったのは一月あたりということで、この最高の勢いで1年間続いていれば、積算では7000Bq/m2近くになってきます。
気象庁のデータをみると550Bq/m2というのはダントツに高い値で、それ以外は一桁近く低い数値が数年続いている感じです。実際のところ総量ではどのくらい降って来たのでしょうか?
すでにいろいろな人が調べてくれています。
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/details/Fallout.html
この人の計算によると、
1957 年以前から 2005 年のあいだの東京へのセシウム137 の降下量の総量は大ざっぱに見積もって、7600Bq/m2ということです。
これは48年間の積算です。「およそ1年の半減時間をもって指数関数的に低下した」と気象庁も書いていますから、実際に達した土壌汚染の最高レベルはこの数分の1だったのではないかと思います。
とにかく、八王子あたりの話で、48年間かけて降った全部の量に匹敵するものがあの3月のドカンの後の数日間に降り積もったわけです。2桁、3桁と大きな値の降下量を福島原発に近いところでは記録しています。
他のデータを見てみましょう。
これも以前私が一度紹介したことがありますが、土壌汚染の記録です。
http://psv92.niaes3.affrc.go.jp/vgai_agrip/soil_samples
畑作土のCs137に注目すると、1964年に最高の汚染を記録していますが、全国12ヶ所の平均で35Bq/kg、最高のところで65Bq/kgです。
さきほど書きましたが、現在八王子のその辺の平均的な場所の土を測ると100Bq/kg近くあります。
1960年代の核実験の降下物のピーク時に比べて、福島事故の影響は八王子ですらその2倍以上の汚染を土壌に受けています。
1964年に中学生の尿から4.5Bq/kgのセシウム137が検出されています。
http://is.gd/AQrJ50
福島の子供の尿から数Bq/kgのセシウムが検出されたとき、「1960年代のレベルとたいして変わらないから気にするな」と言う人たちがいましたが、私が考えたことははまったく逆でした。
「これは、始まりの始まりだ。今よりずっと低い1960年代の汚染ですら4.5Bq/kg出た子供がいたということは、この先もっともっと出る可能性がある。それを避けることができるかどうかは大人が子供をどれだけセシウムの内部被曝から守ってやれるかにつきる。」
ある意味で一番汚染がひどかった時期は通り越したかもしれません。しかし、注意すべき状況はこれから先長く続いていくことでしょう。
核実験の影響にしても、やっと最近になってかなりその影響が減り土壌汚染で一桁ベクレル/kgになっていたわけで、過去に私たちに及ぼしてきた健康への影響はかなりのものだったことでしょう。統計の中にしっかり出ていないだけであって、今日ガンで死ぬ私と同じ年齢(私は60年代に幼年期をすごした世代)の人がいたら、その遠因が子供のころに浴びた核実験の死の灰にあるのかもしれません。
「核実験の時と同じ程度だからたいしたことはない」
などいう発言は、二重三重の意味で許しがたいことです。
核実験を繰り返した核保有国、原発の放射能をばらまいた東京電力、まともな償いを一度もしていないどころか、真剣に反省したことすらない点で同じですね。
昨日・今日と青梅地域の土をたくさん測っているのでまとめてみました。
(フォントの関係で多少列の位置が揃わなくて見にくいかもしれませんがご勘弁)
場所 Cs137 Cs134 Cs137+Cs134
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青梅市若葉公園 137 98 235
青梅市河辺下グラウンド 313 250 563
青梅市鹿島多摩川神社 242 186 428
青梅市青梅スタジアム 152 124 276
青梅市ちがむら球技場 171 146 317
青梅市永山公園 375 298 673
青梅市釜の淵公園 213 174 387
青梅市梅の公園 195 148 343
青梅市成木7丁目運動広場 153 151 304
青梅市柚木3丁目児童遊園 183 166 349
御岳山ふれあいセンター 114 112 226
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平均 204 168 373
(単位 Bq/kg)
以前八王子の土に関してまとめた時 http://goo.gl/32y7Q Cs134+Cs137の平均が130Bq/kg程度でした。それに比べると、今回の青梅の土11検体の平均は373Bq/kgと3倍近い数字が出ています。
八王子の方はいろいろ人が持ち込んだ36検体の平均だったの対して、今回は同じ人が持ち込んだ11検体という違いがあるので、単純に比較していいかどうかという点で議論の余地はあります。
しかし、それにしてもこれだけ大きな違いがあると、「青梅地域の方が八王子地域よりセシウムの汚染レベルが高いのではないか」と疑う根拠にはなるでしょう。
文科省の航空機モニタリング調査のマップ、早川マップの両方で、青梅と八王子は割と似たような汚染レベルになっています。どちらの地図でも西の方にやや高い汚染地域があるということになっています。
今回の11ヶ所には青梅でかなり東の方になる地点もあるようですから、現実の汚染はもう少し東の方まで広がっているのかもしれません。
青梅の土が持ち込まれたデータを観て「持ち込んで調べてくれた人ありがとう!」とまず思いました。青梅で育ちましたし、今も母と姉が住んでいるからです。でも数値が八王子より高かったので、がっかりしていたところです。娘も時々遊びに行きますから・・・。
土地勘があるので大体の場所がわかるのですが(若葉公園じゃなくて若草公園かも?)、青梅の奥のほう(西のほう)が数値が高いかというとそうでもないようで、河辺下グランドは上記の11か所の中では一番手前(都心寄り、東のほう)にあたると思うですが、数値は永山公園に次いで高いですね。これは川の近くにある、ということは関係がありますか?でも川の近くということでは釜の淵公園も川の近くにあります。
二宮さんのいうようにマップより現実の汚染はもう少し東まで広がっているということなのでしょうね。そうなると、今度はこの地域で採れるお野菜は?という話になりますか?
川の近くだから高い、というようなことは特にないと思います。川のそばにはよくコンクリート土手があるので、その土手下は必ずと言っていいほど高くなるようです。浅川の河川敷を測った時も、原っぱみたいになっているところの真ん中あたりはごく普通の値でした。
八王子の3倍くらいの汚染があれば、当然そこで採れる野菜が汚染されている可能性も高くなると思いますが、測定室の測定器で検出されるレベルまでの汚染に至ることはまれではないかという気がします。
八王子近辺でも検出されているもの、柑橘類など、に関してはより高い汚染が十分考えられるでしょう。とにかく、いろいろ測定してみることが重要ではないかた思います。青梅にも測定室がいるのではないでしょうか。
汚染が高い地域とされている奥多摩地域に関して、もっと突っ込んだ調査が必要だし、そういうところの調査基地になる存在としての意義は非常に大きいと思います。