植物・食品に含まれる自然放射能

日々の測定結果を見ていると、K-40以外にも、ウラン系列、トリウム系列、宇宙線由来の放射能がよく出てきます。

以前から、「なぜ食品などにウラン系列やトリウム系列が入っているのだろうか」という疑問がありました。土には、その大元の天然ウラン、天然トリウムが微量に入ってくる可能性があるので、その系列はあって当然なので、検出されることに疑問はありません。植物などに入っていくには、その崩壊系列にあるどれかの原子が吸収あるいは吸着される必要があるのですが、どういうルートなのだろうかというのが疑問があります。

信州放射能ラボBLOGに興味深いレポートを見つけたので紹介しておきます。

ラドンガス吸着というのは、けっこうありえるということですね。
コンクリート壁の倉庫のようなところにしばらく置いてあった場合、そこでラドンをかなり吸着していて、ラドンの崩壊物もそのまま吸着されたまま残っているので、測定した時にそれらが検出されるということでしょうか。

以前、私も同じようなことを調べるためにバットに薄く水を張って一晩放置する実験をしてウラン系列が増えているのを確認したことがあります。
http://hachisoku.org/blog/?p=274#comment-85
測定室は鉄筋なので、普通の木造よりはラドンガス濃度が高いと思われます。ですから窓を締め切って一晩置くと多少吸着の影響が出たのではないかと見ています。

もう一つやってみたい実験があります。
ペットボトルでラドン水というのを売っています。あらかじめ測定済みの豆を使って、このラドン水でもやしを栽培し、そのもやしを測定したらどうなるのかを調べれば、もやしに吸い上げられた水にラドンも一緒に行っているのかどうかわかります。
誰か、もやし栽培したい人はいないですか?
いたらぜひご協力お願いします。

AT1320AのMDA(検出下限値)

MDAというのは、Minimum Detectable Activityの略で、AT1320Aの測定結果では検出下限値として表示されています。

このMDAはどのようにして求めているのかをATMTEXの代理店のアドヒューテックに問い合わせたところ、
このIAEAのドキュメントに載っている計算式による、ということです。

MDAを求めるのに大きく二つの方式があるのですが、ここではCurrieの方式が採用されています。他にKaiserの方式があり、日本ではこちらの方式の方がまだ主流のようです。

このCurrieの方式とKaiserの方式には、かなり考え方に違いがあり、それを理解するのは少し難しいです。

以下の文書などが参考になります。
http://goo.gl/KgEKH
http://goo.gl/SsQfa

Kaiserのバックグランドの測定値の3σを下限値にする方式は割とすんなり理解できると思うのですが、その理解の延長でCurrieを理解しようとすると無理があり、どうにもわからなくなります。私自身もしばらく悩みました。
Currieを理解しようとすると、「値Aと値Bが本当に離れている値として計測できるのかどうか」という異なる視点で見てみる必要があります。そうすれば、見誤ってしまう危険率という概念がわかってくると思います。よーく考えれば、こちらの方がKaiserの方式よりも合理的だとわかります。

Currieの考え方では、バックグランドから有意に離れている値であるかどうかというのを、「実際には離れていないのに間違って離れてしまっていると見る危険率をα、実際には離れているのを間違って離れていないと見る危険率をβとして、そのα、βの危険率を5%にできるところをMDAとする」という考え方です。

このMDA(検出下限値)以下の測定値に関しては、「ないものをあるとしてしまったり」「あるものをないとしてしまったり」という確率が高すぎるわけで、その数値をもとに議論しても意味がないというレベルです。

MDA以下の数値で何かを語りたいという人は、まずMDAの意味を100%理解して、それから語りかける対象の人もMDAの意味を100%理解していることを確認してからにした方がいいでしょう。

測定室の空間線量24時間測定を開始しました

測定結果はこのページで見れます。

測定室での測定を開始したのは23日の午後からです。
その前は、私の自宅で測定していましたが、19日午前3時からアルミの箱に入れました。それ以前は紙の箱に入れていました。

アルミの箱に入れてからの話で、私の自宅での平均値は965CPHで、測定室では今までのところ1034CPHです。私の自宅より7%程度測定室が高いということになります。

ここからは、一部の興味がある人のための話です。
since_date,to_date,mva,skiplt,skipgtというオプションがあり、
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/gmdata.cgi?since_date=2012-4-19_03:00&to_date=2012-4-23_12:00
このようにURLに書けば区間を限定できます。
mvaというのは、指定区間平均をとりながらプロットします。
http://yoyaku.hachisoku.org/spectrum/gmdata.cgi?mva=4
こう書けば、4区間分の平均をとりながらプロットするわけです。電気の得意な人にはローパスフィルターを入れていると言えばわかりやすいでしょう。
skiplt,skipgtは小さすぎる値や大きすぎるを値を無視するためのオプションです。skiplt=800とか入れると800未満の数値は無視します。

線量計は窓際の書類棚背面と窓の間にあります。自分の線量計を持ってきた人は、書類棚の上あたりで測定して、結果をここにコメントで書いてもらえればと思います。そのうちみんなが書き込める表を作るつもりです。線量計の機種名、測定値、測定時刻、測定時間、誤差範囲、その他参考になりそうな情報は何でも書いておいてもらえると役立ちます。